第35話

34話
254
2023/06/28 11:32
てひょんとじみんが洗い物をし、リビングを片付け終えた頃、お風呂から出てきたほそくはゆっくりじみんに近付いた。
ほそく
じみん、さっきはごめん
じみん
ひょん!いいんですよ
それより大丈夫ですか?
ほそく
うん、なんかおかしくなってたみたい
お風呂入ったら頭冷えたよ
じみん
えっまさか冷水で入ったんですか…?
ほそく
あははっそういう事じゃないよ!
部屋片付けてくれてありがとう
じみん
いや俺たちが散らかしたやつですし…
こっちこそ何もせずごめんなさい
ほそく
お前達もせっかくの休みだったんだ仕方ないよ
なむじゅん
なんだ?仲直りか?
ほそく
ま、そんなとこ
なむじゅなもごめんね
なむじゅん
元気なほばが1番だよ
ほそく
ふふ、ありがとう
てひょん
ほそぎひょん、ごめんなさい…
ほそく
僕もごめんね、てひょんあ
てひょん
もう大丈夫なんですか?
ほそく
うん、ちょっと…気持ちの整理がついてなかったのかな
じみん
仕事で何かあったとかですか?
ほそく
いや!多分…僕の……うーんまぁ気にする事ないよ!
どんな理由で自分があんな態度をとってしまったのかは薄々分かり始めたほそく。
まだ曖昧な気持ちのまま、どう答えていいのか分からず表情を曇らせてしまった。
そんなほそくの変化を読み取り瞬時に心配するなむじゅん。
なむじゅん
…ほば、何かあったら言ってね?
ほそく
うん、ありがとうなむじゅな
そくじん
ただいまー
なむじゅんにいつもの笑顔を向けるほそく。
同時に、玄関の扉が開き、そくじんの声が聞こえてきた。
てひょん
お?じんひょん達帰ってきた
ほそく
おかえりなさーい!
ゆんぎ
ただいま
そくじんに続き、ゆんぎやじょんぐくも順にゆっくりとリビングへ入ってきた。
ゆんぎ
ほば、なむじゅなありがとう買い出し
なむじゅん
いえいえ、早かったですね!
買い物どうでした?
ゆんぎ
あー…行かなかった
なむじゅん
え?
じょんぐく
ただいまです
じみん
おかえり……ん?じょんぐが大丈夫か?
じょんぐく
え?…あ、はい
じみん
何か顔強ばってるぞ〜
いつもの様にじみんはじょんぐくに近付き、表情の暗いじょんぐくの頬を両手で挟み、下から覗き込んだ。
じょんぐくは笑うことなく、そっとじみんの両手首を掴み、自分の頬から手を離させた。
じょんぐく
いや、俺ちょっと風呂入ってきます
てひょん
……?
じょんぐくはそういうとすぐ様自身の部屋の方へと向かっていった。
不思議とてひょんの身体はじょんぐくを追うように後ろをつけて行った。
じみん
何かあったんですか?
ゆんぎ
……
そくじん
俺のせいだよ…
じみん
え?
ほそく、なむじゅん、じみんはそくじんとゆんぎの方へと顔を向けると、2人の顔は眉間にしわをよせ辛そうな表情をしていた。
~数時間前~
そくじん
俺も好きだから
じょんぐく
そ、それは………この前言いましたよね
ヤってからそういう事言うのおかしいって
そくじん
何でおかしいんだ?
そこから気付くことだってあるだろ
じょんぐく
その好きはてひょんいひょんじゃなくててひょんいひょんの身体が好きって事になるんじゃないですか?
そくじん
何でそうなる?俺はてひょんの頑張る姿も悪戯をする姿も泣いてる姿も拗ねてる姿も全部好きだよ?
そくじん
お前達だってそうだろ?
好きの気持ちはお前達と同じはずだ
じょんぐく
一緒に、しないでください
ゆんぎ
じょんぐが
じょんぐく
俺は……俺はてひょんいひょんの
事が1人の人として好きなんです
じょんぐく
ムカつく時もめんどくさい時もあるけど、それでも俺は初めてあんなにカッコよくて可愛い人を目の当たりにして恋に落ちて…身体を重ねた後から好きだなんてそんなの、都合のいい相手で錯覚から生まれた上辺だけの恋なんじゃないですか?
ゆんぎ
じょんぐが、落ち着け!
そくじん
俺とお前達の好きになった瞬間が違うだけで、気持ちは一緒だと思ってる
そくじん
俺は嫉妬もするよ?でも口にも出さないし表にも出そうと思わない……俺はお前達のひょんだから。てひょんに愛も囁かない、困らせるから
そくじん
分かるか?じょんぐが…一方的な愛ばかり語るお前とは違う。俺は大人だからてひょんの事も考えて行動するし周りを見て恋愛をしてる…お前はそんな余裕のある俺やゆんぎにビビってそうやって決めつけてるだけじゃないのか?
じょんぐく
………
ゆんぎ
ひょん、言い過ぎです!
じょんぐが気にするな、お前はお前だから
そくじん
………
じょんぐく
…確かに…俺は、ひょん達にビビってます…取られそうで怖くて、仕方ない…
でも、好き…好きなんです俺
簡単に言える好きとかじゃない…
心からあの人を愛しているんです
ゆんぎ
じょんぐが…
じょんぐく
だから、てひょんいひょんをまるで性処理のようにしてたじんひょんの好きを聞いて、俺は…信じられない…ごめんなさいひょん、俺…貴方の好きを認められない
そくじん
……いいよ、別に
俺が認められたい相手はてひょんだ
じょんぐく
……渡せない
そくじん
それは俺もだよ
そくじん
まだ子供のお前にてひょんを渡せない
じょんぐく
っ、
ゆんぎ
仲良く、しようよ……
こんなのてひょんは望まない…
ゆんぎ
俺はどっちにもてひょんを渡せない
好きなら…てひょんの幸せを第一に思うべきだよ
そくじん
ゆんぎ…
じょんぐく
ゆんぎひょん……
ゆんぎ
もう買い物はいいです、帰りましょう
そくじんは、数時間前に起こった出来事を簡単に3人に話した。
なむじゅんは大きなため息をつき、思っていた言葉を口から漏らす。
なむじゅん
はぁ…次から次に…
そくじん
え?
じみん
もー3人とも大バカですよ
ほそく
じんひょん大人気ないな〜
なむじゅん
どの口が言ってるんだか
そくじん
俺が一番子供だったな…ww
後でちゃんと話して仲直りするよ
ゆんぎ
……
そくじん
ゆんぎもごめんな
ゆんぎ
こんな喧嘩は、誰も望んでません
そくじん
うん、そうだね…
じょんぐが相手にカッとなっちゃった…
取られそうだとビビってるのは俺の方かも
ほそく
みんな考えてる事は…同じって事か
・ー・ー・ー・ー・
後をついて行ったてひょんは、部屋に入ろうとするじょんぐくを呼び止めた。
てひょん
……じょんぐが
じょんぐく
…ひょん?ごめんなさい
ちょっと疲れてて…貴方と話せない、です
てひょん
え?…あ、……分かった
ゆっくり休めよ
じょんぐく
はい…ありがとうございます
お風呂入ってすぐ寝ます
てひょん
ご飯は?
じょんぐく
いりません
てひょん
…後でじみなに持っていくよう頼んどくから…少しでも食べろよ?明日仕事だろ
じょんぐく
はい、……ありがとうございます
じゃあ、
無理したような作り笑顔でてひょんに返事をし、一刻も早く1人になりたそうなじょんぐくは再び部屋の中へと入ろうとする。
今にも消えてしまいそうな、そんなじょんぐくの大きな手をてひょんは小さな両手で必死に掴んだ。
てひょん
……あ、ま、待って!
じょんぐく
はい…?
てひょん
その、…な、何かあったら言えよ?
1人で抱えこまないで
じょんぐく
…ありがとうございます
おやすみなさい、てひょんいひょん
じょんぐくは掴まれた手を離し、部屋の扉をバタンと音を立て閉めてしまった。
閉められた扉の前でてひょんは小さく、じょんぐくの言葉に返事をした。
てひょん
……っ、お、やすみ
てひょん
(じょんぐが……)
じょんぐく
ごめんなさい、ひょん
少し1人になりたいんだ…
てひょんが去る足音を扉越しに聞くと、じょんぐくは背で扉を伝って座り込んだ。

・ー・ー・ー・ー・

てひょんは心がチクチクと痛む中、再びリビングへと戻った。リビングへと戻ると、そくじん達は夕飯の支度を始めていた。
皆にじょんぐくの事情を話すと、じみんはそのままじょんぐくの部屋へと走って向かった。
ついて行こうかと思ったが、先程のじょんぐくの表情を思い出し、てひょんは足を踏み出せなかった。
兄たちは顔を見合せ、てひょんへ目を向けると小さなてひょんがいつもよりやけに小さく見えた。
…To Be Continued.

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