至近距離で見つめてくる部長の瞳に
私は呼吸の仕方を忘れてしまった
部長は私の腰を引き寄せ
私を包み込むようにぎゅっと
抱きしめて倒れ込んだ
部長の手が私の背中を優しくトントンと叩く
飼い猫を愛でるみたいな手つきで
さっきの「寝かさない」って言葉の熱が
心地いい安心感に変わっていく
部長は体を少し離して、
私の前髪を指先でそっと分けた
そして、おでこに柔らかくキスを落とす
…やっぱりちょっと怖い、けど
それ以上に愛されてるのが伝わってくる
部長は私の手を自身の胸に当てる
トクンットクンッと早い鼓動の音
部長は私の首筋に鼻先を寄せて
「んー……」と幸せそうに声を漏らした
そう言って、彼は私をさらに
強く抱きしめ直した
結局朝までこうして腕の中で
私の名前を何度も優しく呼びかけていた
言葉にしなくても、繋いだ手の温度だけで
通じ合っている気がした
ホテルの窓から見える夜景よりも
目の前の彼の存在が
何よりも眩しくて、愛おしかった
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!