栗花落カナヲside
あなた姉さんの着けていた赤色の蝶飾り。
伊之助の叫びも虚しく、それは揺れて、消えていった。
奥の部屋から出てきた師範はぐっと下唇を噛んで。
今にも泣きそうだった。
伊之助は項垂れ、地面に座り込んで。
私はあなた姉さんを救えなかった未熟さに刀を握りしめた。
持ち手がギシギシと鳴るけどそんなことどうでも良くて。
やっと部屋に戻った頃には朝方だった。
あなた姉さんに渡された紙切れを、自分の部屋で開く。
中には いくつかのドライフラワーと、姉さんの言葉が添えられていた。
1行目には、紫 ピンク そして、マリーゴールドの花
2行目には 赤薔薇。
3行目は 15M
と書かれていた。
なんの事か全く分からず頭を抱えていると師範が部屋に入ってきた。
咄嗟に手紙を隠したけど、師範は気が付かないほどやつれていたのか、
「カナヲ。 ごはん…」
とだけ言って出ていった。
ポケットにあなた姉さんの手紙を突っ込んで、席を立つ。
姉さん。
これは一体どういう意味でしょうか。
貴方はどうしてこうも難しい御方なのでしょうか___












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!