最近、やけにアイツの事が
気になって仕方がない。
意外と危なっかしいとこ、
案外無理しがちなとことか…
不器用にハサミを使ってる時とかも
俺が手伝ってやりたくなる。
偶然、大量のノートの束を運んでいる
アイツに出会した。
…こういうとこだ。
手が滑って足とかに当たったり、
階段登ってる時に滑ったら…
考えているだけで口には出せない。
少し強引に、俺はあなたの下の名前の手から
ノートを半分以上奪った。
あなたの下の名前はすん、と開き直ったように
歩き出した俺に合わせて歩き出す。
へら、と照れくさそうに
俺のことを見ながらあなたの下の名前は言った。
こんな事すんのも、お前にだけだ…
だなんて言う勇気はなかった。
今度は声のトーンを数段落として、
あなたの下の名前はそう問うてくる。
俺はその質問に
どう答えればいいのか分からず、
少し時間がかかってしまった。
そう、俺にも分からない。
この感情の名前も、どうしてあなたの下の名前が
立ち止まって驚いているのかも。
俺が首を傾げていると、
あなたの下の名前は首を振って再び歩き出した。
心にモヤモヤを残したまま
俺らは並んでA組に向かう。
後日
俺は突然、
にやにやとしている二人に話しかけられる。
何の話かさっぱり分からない。
ようやく今、
あの時のあなたの下の名前が言っていた
「自覚」という質問の意図がわかった。
アホ面の下っ手くそなフォローに
俺は手が出そうになるがとりあえずスルーした。
これを自覚した今、
アプローチしないという選択肢はなかった。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!