そういった陰口を叩かれるのは初めてだった。
私達もついに進級し、後輩が出来た。
それと同時に、
轟の人気が爆発的に上がった。
そう言ってもらえて私は心底安心した。
でも、その効果はずっとは続かない。
轟の人気は相変わらず、
勿論校内での人気も維持している。
そうして、前述の陰口を叩かれていた。
雄英高校という頭の良い高校でも、
馬鹿らしい陰口を叩く人は一定数いる。
私はあんな一部分の陰口でしょげる程
か弱い乙女ではなかった。
でも流石に傷付いたのだ。
だから、私は覚悟をした。
あれ以降、私は元々
欠片ほどしかなかった女子力を磨きに磨き、
見た目にも気を使うようになった。
私は鏡を見つめて
そうやって自分で自分を褒める。
もうすっかり朝のルーティンは
体に馴染んでいた。
少しぼそっと呟いたところに、
自室にノックの音が響いた。
ぎぃ、と扉が音を立てて
なんだか不満げな轟が入って来た。
ぎょっと目が飛び出るかと思った。
何故、どうして
そんな疑いがかかってるんだ?
轟はゆっくりと私を見た。
そして今度はゆっくり口を開く。
尻すぼみになって、だんだんと
声が小さくなっていった轟。
私は後半聞き取れなくて、
聞き返す。
俯いて、轟は照れた様子で言った。
珍しく自信のない轟に、
私は喝を入れるように言った。
轟は初耳だったらしく、
ぴき、と青筋を立てた。
私が一通り言い終えると、
轟は申し訳なさそうな顔をした。
そんな直接的な言葉を言われたのは
片手で数えられるほどだった。
すごく恥ずかしくて、
私は体温が上がる。
轟のまっすぐな眸が、
私のことを貫く。
私は、なんだか心が軽くなった。
後日
あれから轟の触れ合いの回数が
あからさまに増えた。
理由はある程度予想がついている。
おそらく牽制のためだ。
意外と轟は根に持っていた。
もう二度とあなたの下の名前の事を傷付けるな、
二度と釣り合ってないだなんて言わせないと
言わんばかりに牽制していた。
ぎゅ、と轟は手を繋ぐ。
こんなにいちゃついてたら
釣り合ってないだなんて言う余裕もなくなるだろ、
という算段らしい。
私は本当に恥ずかしくて死にそうだった。
轟の愛が、これほど膨大だなんて知らなかった。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!