第215話

お似合い[焦凍]
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2026/02/26 12:00 更新


モブ
 正直合ってなくない?轟先輩にはもっと 
 お似合いの人居ると思うんだけど 



  そういった陰口を叩かれるのは初めてだった。

  私達もついに進級し、後輩が出来た。

  それと同時に、
  轟の人気が爆発的に上がった。


轟 焦凍
 はぁ…    
あなた
 あはは、今日も大変だねぇ 
轟 焦凍
 あぁ…何だってんだ、
 俺にはあなたの下の名前だけだってのに 



  そう言ってもらえて私は心底安心した。
  でも、その効果はずっとは続かない。

  轟の人気は相変わらず、
  勿論校内での人気も維持している。


あなた
 …    



  そうして、前述の陰口を叩かれていた。

  雄英高校という頭の良い高校でも、
  馬鹿らしい陰口を叩く人は一定数いる。


あなた
 …轟の人気が変わらないなら、 
 私が変わらなくちゃ



  私はあんな一部分の陰口でしょげる程
  か弱い乙女ではなかった。
  でも流石に傷付いたのだ。

  だから、私は覚悟をした。





  あれ以降、私は元々
  欠片ほどしかなかった女子力を磨きに磨き、
  見た目にも気を使うようになった。


あなた
 結構、いいんじゃない? 



  私は鏡を見つめて
  そうやって自分で自分を褒める。

  もうすっかり朝のルーティンは
  体に馴染んでいた。


あなた
 これで轟にも、 



  少しぼそっと呟いたところに、
  自室にノックの音が響いた。


轟 焦凍
 …あなたの下の名前、入ってもいいか 
あなた
 あ、轟!いいよ〜 



  ぎぃ、と扉が音を立てて
  なんだか不満げな轟が入って来た。


あなた
 え、えっと…轟? 
 どうかしたの?
轟 焦凍
 あなたの下の名前って、俺以外に男居るのか、? 



  ぎょっと目が飛び出るかと思った。

  何故、どうして
  そんな疑いがかかってるんだ?


あなた
 なっ、なんで!? 
 違うよ!!断固として!! 



  轟はゆっくりと私を見た。
  そして今度はゆっくり口を開く。


轟 焦凍
 最近、あなたの下の名前が…    



  尻すぼみになって、だんだんと
  声が小さくなっていった轟。

  私は後半聞き取れなくて、
  聞き返す。


あなた
 え?なんて? 
轟 焦凍
 さ、最近…あなたの下の名前が 
 もっと可愛くなってっから…



  俯いて、轟は照れた様子で言った。


轟 焦凍
 もしかしたら俺以外に男できて、 
轟 焦凍
 そいつの為に
 可愛くなってんじゃねぇかって思って、 
あなた
 違うよ!!轟のためだよ! 



  珍しく自信のない轟に、
  私は喝を入れるように言った。


あなた
 言うの迷ったんだけど…実は 
 「轟と釣り合ってない」って 
あなた
 前まで陰口叩かれてたの 
轟 焦凍
 っは…? 



  轟は初耳だったらしく、
  ぴき、と青筋を立てた。


あなた
 ま、待って落ち着いて! 
 だから、私悔しくってさ! 
轟 焦凍
 …    
あなた
 なんか、悲しいし
 言い返せない自信の無さも情けなくてさ 
あなた
 だから、轟のためにやってたの!でも
 可愛いって思ってもらえてるなら良かった 



  私が一通り言い終えると、
  轟は申し訳なさそうな顔をした。


轟 焦凍
 すまねぇ、
 もっと俺が牽制しときゃ良かったのに 
轟 焦凍
 分かってるだろうけど、今のあなたの下の名前も、 
 これからもずっとあなたの下の名前が一番可愛い 



  そんな直接的な言葉を言われたのは
  片手で数えられるほどだった。

  すごく恥ずかしくて、
  私は体温が上がる。


轟 焦凍
 だからそんな陰口気にするな、
 そんなの意味ねぇし、俺はあなたの下の名前だけだから 



  轟のまっすぐなぼうが、
  私のことを貫く。


あなた
 う、うん…ありがとう 



  私は、なんだか心が軽くなった。





  後日



あなた
 ちょ、轟、ここ学校…!! 
轟 焦凍
 ちょっと手ぇ繋ぐだけだし、
 ほぼ人来ないだろ、大丈夫だ 



  あれから轟の触れ合いの回数が
  あからさまに増えた。

  理由はある程度予想がついている。
  おそらく牽制のためだ。


あなた
 う、うう…    



  意外と轟は根に持っていた。

  もう二度とあなたの下の名前の事を傷付けるな、
  二度と釣り合ってないだなんて言わせないと
  言わんばかりに牽制していた。


轟 焦凍
 俺があなたの下の名前に触れられるし、 
 周りにもアピールできるだろ 
轟 焦凍
 俺にとってはメリットしかないからな 
 もっと人がいる所でだって触れ合ってたい 



  ぎゅ、と轟は手を繋ぐ。

  こんなにいちゃついてたら
  釣り合ってないだなんて言う余裕もなくなるだろ、
  という算段らしい。


あなた
 は、恥ずかしいよ…   



  私は本当に恥ずかしくて死にそうだった。

  轟の愛が、これほど膨大だなんて知らなかった。


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