第8話

1-7 学校地位、「虐められっ子」。
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2025/08/31 12:43 更新
急に目の前に現れた建物を呆然と見つめていた私は、
右腕につけていた腕時計の針の音で我に返った。

足元にまで木の板が敷かれていることにようやく気付く。
どうして今まで気が付かなかったのだろう。私が少し怖い。

取り敢えず、何か余計な事を考える前に入ってしまおう。

私は緊張しながら扉に触れ、ぐっと押した。



あれ…中々開かない。どうしてだろう。
もしかして、選ばれる必要があるとか_
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
 いらっしゃいま…あっ 

誰かの声が聞こえたとき、私は扉にぶつかって尻餅をついた。

…どうやら引き戸だったみたいだ。

扉を開けた女性は焦り気味に私に声をかける。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
 すみません!大丈夫ですか!? 
_宮川@ミヤカワ_ _恵那@エナ_
宮川ミヤカワ 恵那エナ
 あ、はい…大丈夫です 
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
 い、今すぐ案内しますね!ええっと… 
_秋宵@シュウショウ_
秋宵シュウショウ
 副店長の秋宵と申します。ようこそ、何でも取引屋へ 

秋宵。国語の教科書に載っていた熟語だ。意味は漢字そのままで、
「秋の夜」とか「秋の宵」とかだった気がする。

人名に使われる印象はないけれど、「秋宵さん」のオレンジがかった
茶色の髪と合っていて良い名前なのかもしれない。


秋宵さんはそのまま私をお店の中に案内してくれた。

初めに見えたのは、向かいの位置に置かれたソファと間にある机。

それより向こうには肩ほどの高さのパーテーションがあって
その先は上手く見えなかった。
_秋宵@シュウショウ_
秋宵シュウショウ
 じゃ、こちらのソファへどうぞ! 
_宮川@ミヤカワ_ _恵那@エナ_
宮川ミヤカワ 恵那エナ
 …ありがとうございます 
座るよう促されて私は浅めにソファに座る。

見た目とは違ってかなり柔らかい。質感は家のベッドに似ていた。
_秋宵@シュウショウ_
秋宵シュウショウ
 初めに、名前をお伺いしても? 
_宮川@ミヤカワ_ _恵那@エナ_
宮川ミヤカワ 恵那エナ
 宮川恵那…です 
_秋宵@シュウショウ_
秋宵シュウショウ
 エナさんですか、良い名前ですね!絵に名前、ですか? 
 それとも恵むに那覇の方ですかね?
_宮川@ミヤカワ_ _恵那@エナ_
宮川ミヤカワ 恵那エナ
 「恵む」の方です。…何だか自分に合っていないような気がします 
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
 "自分に合っていない"? 
なんとなく秋宵さんの質問に答えていたら、不意に男性の声が聞こえた。
私の言葉を確かめているようだから、店側の人かもしれない。

そういえばホームページに店員は2人と書いてあったかもしれない、と
思いながら手元から視線を外して声のした方を見た。
_秋宵@シュウショウ_
秋宵シュウショウ
 り…店長。奥に居てもいいって言ったのに 
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
 こっちとしては向こうからでも声は聞こえるからいいんですけどね。 
 永遠に本題に入らなそうだったので
_柳@ヤナギ_
ヤナギ
 店長の柳と申します。早速ですが「宮川さん」と 
 お呼びしてもよろしいでしょうか
_宮川@ミヤカワ_ _恵那@エナ_
宮川ミヤカワ 恵那エナ
 …それで大丈夫です 
細い目、整った黒髪。どこかの小説に出てきそうな見た目だ。

この場に私がいていいのだろうか。
_柳@ヤナギ_
ヤナギ
 本題に入ります。貴方の悩み事を教えてください 
柳さんがそう言うと、一瞬場が静まり返った。
_秋宵@シュウショウ_
秋宵シュウショウ
 いきなり過ぎませんか…? 
_柳@ヤナギ_
ヤナギ
 この店は、零時しか開店しない。つまり60分しかないんです。 
 もう、10分が経過しようとしています
確かに机に置いてある時計が0時9分を指していた。

秋宵さんの明るさで忘れそうになっていたけれど、
助けてもらうためにここに来たんだった。

柳さん達を完全に信用した訳じゃないけれど、
あの事を話す練習はしてきた。
_宮川@ミヤカワ_ _恵那@エナ_
宮川ミヤカワ 恵那エナ
 お話します。私のクラスメイトの事です 



偏差値ギリギリで合格した高校での生活は、始めからかなり苦痛だった。

元々の人見知りに緊張も加わって誰にも話しかけることができなかったし、
誰かに話しかけられることもなかったから友達0人のスタートダッシュ。

少し離れている目や低い鼻、口元にある大きなほくろの事を考えると
第一印象は最悪だろうから仕方のないことなのかもしれない。

クラスでは名前を覚えられているだけの「そこにいる人間」のような
立場になりがちで、悪目立ちしかしない、その時だけ思い出される。

お母さんには友達ができたと嘘をついた。

それからしばらくは1人で必死に追いつこうと勉強をするだけの日が続いた。

でも、そんな毎日は急に終わった。
担任教師
 前に話はしたと思うが、今日 修学旅行の班を決めようと思う。 
 偏りによっては考えるが一応くじ引きのメンバーで仮決定だ
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
 ええっ、偏りによっては考えるって何ですか!? 
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
 陽くん…は正直どうでもいいけど… 
誰かと絶対に関わることになってしまう地獄のくじ引き。

ドキドキしながらも、選んでも意味がないので目立たないように
さっさと引いて席に戻る。
_宮川@ミヤカワ_ _恵那@エナ_
宮川ミヤカワ 恵那エナ
(私は3、メンバーは誰だろう)

_白波瀬@シラハゼ_ _心愛@ココア_
白波瀬シラハゼ 心愛ココア
 2+1は3!あー3番かぁ…星歌ちゃん分かれちゃったね… 
_白波瀬@シラハゼ_ _心愛@ココア_
白波瀬シラハゼ 心愛ココア
 ん?宮川さんも3なんだ。よろしくね! 
人気者の「白波瀬さん」と修学旅行で同じ班になった、その日から。

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