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第2話

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2023/10/09 15:02 更新
私の名前は日和空。どこにでもいる普通の中学一年生。
好きなのは、絵を描くことと静かな場所。
苦手なのは、目立つことと......男の子。
空!おはよう!
朝。学校近くで、親友の海ちゃんと会った。
海ちゃんとは、小学五年生の頃からずっと仲良しの友達。
空
海ちゃん、おはよう!
一緒に行こ〜
空
うん!
笑顔でうなずいて、2人で並んで歩いた。
私は、私立天空学園という中学校に通っている。
校舎が綺麗で、お城みたいな学校。制服も可愛くて、女の子から人気みたい。
私がここを選んだ理由は校舎や制服じゃなく、学校推薦を貰うことが出来たから。
学費が高い中学校だけど、特待生として学費免除で通うことが出来ているんだ。
もちろん、勉強は頑張らなきゃいけないから、学年三位の成績を収めるという特待生の条件を守るため勉強を頑張っている。
学校は大好きだから、毎日が楽しい。
にしても、この建物いつ見てもでかいよねぇ
学校の隣に立っているおうちを見て、海ちゃんが顔をひきつらせていた。
お城みたいな学校の隣には、本物のお城があるんだ。
ここには、理事長が住んでいるとか......こんなおうちに住めるなんて、理事長はお金持ちなんだろうな......。
そんなことを思いながら、正門をくぐった。
2人並んで、一緒に教室に向かう。
あー、外暑かった〜!
海ちゃんは手でパタパタと風を作るように仰いでいた。
今年は例年より暖かく、まだ五月の下旬なのに夏本番くらいの暑さだ。
空
毎日いい天気だね
私も暑さに強い方ではないけど、真っ青な空を見るのは好き。
今日も、一点の曇りもない青い空が広がっていた。
気持ちがいい朝だなぁ。
廊下の窓から空を見ながらそんな事を思っていた時、誰かとぶつかった。
空
きゃっ......
......空!
思わずふらついたけど、海ちゃんが支えてくれたら転ばずに済んだ。
モブ
あ、ごめん!
ぶつかった相手は、男の子だった。
男の子だと気づいた瞬間、私の身体が金縛りにあったみたいにこわばってしまう。
怖いという感情が浮かんで、思わず視線を下げた。
空
こ、こちらこそ、ごめんなさいっ......
相手と目を合わせないまま、私も謝る。
って、感じが悪いかな......。
空、大丈夫?
空
う、うん、平気。海ちゃんありがとう
あいつ、ちゃんと前見て歩きなさいよね
海ちゃんははっきり言えるタイプの女の子だから、そう言ってさっきぶつかった子を睨みつけていた。
行こ!
海ちゃんが私の手を引っ張って、歩き出す。
はぁ......怖かった......。海ちゃんが一緒にいてくれてよかった......。
空
海ちゃん、ありがとう
もー、何回もお礼なんていらないって!
そう言って微笑んでくれる海ちゃん。私はいつも、海ちゃんに助けられてばっかりだ。
モブ
なあ、今のって日和空?
さっきぶつかった男の子の声が、後ろから聞こえた。
モブ
噂には聞いてたけど、ほんと地味だなぁ
モブ
男子嫌いらしいぜ
モブ
えー?別にこっちもアイツに用なんてないよな
コソコソと話している会話の内容に、ちくりと胸が痛んだ。
なにあいつら!ムカつく!!
海ちゃんも聞こえていたのか、鬼の形相で振り返った。
放っておいたら、このままあの男の子達に掴みかかっていきそうな勢いだ。
空
う、海ちゃん、落ち着いて......!
私はぎゅうっと海ちゃんに抱きついて、必死に海ちゃんをなだめる。
私のために怒ってくれるのは嬉しいけど、海ちゃんが誰かとケンカをしちゃうのはイヤだっ......!
離して空!一発殴ってやる!
空
わ、私は平気だから......!
そう言えば、海ちゃんは納得してくれたのか、振りあげていた腕を下ろした。
はぁ......もー、空もいい加減、こんな地味な格好するのやめればいいのに!
海ちゃんが言ってるのは、このメガネと、シンプルにふたつにくくった髪型の事だと思う。
私はいつも、分厚いメガネをかけているから。
ちなみに、視力はどっちも2.0でとてもいい。
このメガネも伊達メガネ。
あたし知ってるんだから!空がメガネ外したら、めちゃくちゃかわいいとこ!
空
か、可愛くなんかないよ......
実は、海ちゃんと2人きりの時はメガネは外している。
家でもつけないし、つけるのは外に行く時と、学校にいる間。
あいつらも、空の素顔見たらびっくりするんだから......!
びっくり......?私はメガネがあってもなくても、そこまで見た目に変化はないと思うけどな......。
髪型はいいけど、せめてメガネは外しなよ
空
でも......メガネがなきゃ、怖くて顔も見れないから、これは手放せなくて......
このメガネは、私にとってお守りみたいなものだ。
男の子が苦手になったのは、まだ小学校低学年の時だった。
私はいつもクラスメイトの男の子達からからかわれたり、いじめられていた。
ブスだって言われたり、スカートをめくられたり......そんなイヤがらせを受けて、いつの間にか男の子が怖くなってしまったんだ。
学校に行くのも怖くなって、一週間家に引きこもった。
そんな私に、お母さんがこのメガネをくれたんだ。
どう?レンズ越しなら、怖くない?
次の日メガネをかけて学校に行くと、少しだけ恐怖心が薄れていた。
このレンズ1枚が、私と男の子達の間に壁を作ってくれているみたいで、安心出来たんだ。
それから......私はこのメガネを、手放せなくなった。
ま、空がいいならいいけどさ〜。
でも、空が地味だって言われるのは許せない!
瞳の奥に、メラメラと怒りの炎を燃やしている海ちゃん。
空
海ちゃん、いつも私のことで怒ってくれてありがとう
こんな親友を持って......私は幸せだなぁと感じた。
も〜!可愛いなぁ〜!
海ちゃんが、ぎゅっと私を抱きしめてくれる。
優しい空はなにも言い返さないから、あたしがその分やり返してやるんだから!
ふふっ、ありがとう海ちゃん。本当は口に出して言いたかったけど、また言い過ぎだって怒られる気がしたから、心の中でお礼を言った。

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