前の家、橘家
私を引き取ってもらったという御恩があるお家
恨むだなんてお門違いもいい所です
悪夢だなんて滅相もない、素敵な夢
旦那様に触られる感触
お嬢様の心無いお言葉
奥様の教育という名目で受けた傷
全てが私の体に刻み込まれている
これはしばらくは消えませんね
翌日の朝になるとおじ様は居なくなっていた
お仕事が入ったんでしょうね
昨日は一日中おじ様が居たのでなんだかそわそわしてしまいます
といってもそろそろ朝ご飯を看護師様が持ってきてくださるのでそわそわも薄れるとは思いますが
バァンッ!!!
そう思っているうちに来ましたね
若村様は明るくているだけで楽しい人です
こうして私に世話を焼いてくれるのもお仕事だと言うのは分かっているのですが
それ以外にも彼女自身の献身も入っているようでなんだか申し訳ない
早く退院したいですね
橘家の事を聞かれたら何と答えましょうか
暴力についてはこの傷が証拠ですし……
でも私は訴える気なんてありません
ここは何とか誤魔化すしかなさそうですね
ガラッ
私の病室に入ってきたのは
私が想像していたよりも遥かに予想外な人だった















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!