朝。
目覚まし時計の音が
静かな部屋に響いた。
布団の中でもぞもぞと動いて
枕元のスマートフォンを手に取る。
画面に表示された時刻を確認して
そのまま布団を頭まで被った。
5分後。
飛び起きた。
制服に着替えて、髪を整えて
朝ごはんを口に詰め込む。
玄関を飛び出したところで
ふと足を止めた。
ー 昨日のことを思い出す。
白い狐面。
黒い服。
そしてダンジョンで自分が一撃で倒した魔物。
スマホで軽く検索する。
すると。
『 謎の狐面少女
Sランク級魔物を一撃!? 』
頭を抱えた。
昨日、ちょっと人助けをしただけ。
それなのに朝からネットは大騒ぎだ。
けれど
今日も学校。
それも
そっちのほうが気になる。
どんな子たちなんだろう。
友達になれたらいいな。
そんなことを考えながら、教室の扉を開けた。
いつもの友達に手を振って
自分の席へ向かう。
すると
興味深そうに話す友達の横で
鞄を置く。
その瞬間
担任が教室に入ってきた。
教室がざわつく。
担任が教室の扉を開けた。
最初に入ってきたのは、白髪の青年。
どこか気だるそうな表情で教室を見回す。
短い自己紹介。
続いて、褐色肌の青年。
その後ろから、明るい笑顔の男
最後に入って来た青年が
教室を見渡して軽く笑った。
教室中が一瞬、静まり返る。
そして ー
一気に騒がしくなった。
友達が隣で叫ぶ。
そんなに有名なのか。
なんだか申し訳なくなってくる。
4人はクラスメイトたちに囲まれながら
順番に質問されていた。
そんな中。
葛葉がふと、教室を見渡す。
昨日の少女を探している。
当然そんなことを私は知らない。
すると、不破がこちらを指差した。
4人の視線が集まる。
少し考えて
不破が大げさに驚いた。
イブラヒムが小さく笑う。
ローレンは面白そうにこちらを見る。
葛葉だけは何も言わなかった。
ただ、じっとこちらを見ている。
なんだろう。
少しだけ居心地が悪くて
目を逸らした。
担任が座席表を確認する。
振り返る。
私の後ろの席
そこに葛葉が鞄を置いた。
それだけ。
本当に、それだけだった。
ー その日の私は知らなかった。
昨日、ダンジョンで助けた4人のうち1人が。
今、私のすぐ後ろの席に座っていることを。
放課後。
葛葉が突然、私に声をかけた。
彼は言葉を飲み込んだ。
昨日の狐面の少女と
目の前の少女。
なぜか、ほんの少しだけ
似ている気がした。
ー けれど、
まさか同一人物だなんて。
そんなこと
まだ、誰も知らない。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。