第35話

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2025/05/05 17:42 更新
あなた
はッ、はぁ゛ッ、ゲホッ、ゲホッゲホッ


視界が白けてる、何か叫んでる人がいる、?

音が膜に覆われているみたいに反響していて

時間がゆっくり進んでるような、変な感じがする

あれ、誰だこの人、なんて言ってんだ、

看護師
……すか、……ん、…さん、


なんて言ってんのか、わかんねぇ

あなた
ゲホッ、ゲホッゲホッ、はっ、ヒュゥ、ゲホッゲホ
kyng
…あなたのカゲツ⇒ぅー、あなたの下の名前(カタカナ)、聞こえるか?


見慣れた深い青の髪の人が走って来て、誰かの手を握った。そして、低く優しい音が響く。

あれ、俺はこの人知ってる、握ってる手は、俺の、?

あなた
ヒュッ、はッ、ゲホッゲホッ、ろ、ぉ、ゲホッゲホッ


膜が弾けたように、一気に音が耳に入ってくる。

呼吸が苦しくて、咳をするのがしんどい。

うるさくて、頭がごちゃごちゃして、耳を塞ぐ。

生理的な涙が止まらず、ただひたすらに何かが




怖い


kyng
音うるさいか。俺が耳ふさぐから、
一旦手外そ。

近くで安心できる人の声がして、手から力が抜ける。
kyng
ごめん、ちょっと染みるかも。

両耳に、冷たい布かなにかが触れた瞬間、
鋭い痛みが走り、身体を震わせる。
kyng
ごめんごめん。もう終わり。

優しく手が触れて、耳を包まれる。

嫌な音がある程度遮断されて、声だけが耳まで通る。
kyng
あなたの下の名前(カタカナ)?
あなた
はッ、ヒュゥ、はぁ、グスッ、ゲホッゲホッ
kyng
大丈夫だから。俺の事わかる?
あなた
ん、ッゲホッ、ろぉ、ヒュッ、ゲホッ
kyng
ん、そー。せーかい。
俺ら居なくて不安なった?
あなた
ゲホッゲホッ、わか、なぃ、ゲホッ、グスッ、
kyng
わかんないか、耳まだうるさい?
あなた
ん、ヒュッゲホッ、も、ゲホッだいじょぶ、
kyng
ん、わかった。一旦吸入するか。






少し時間が経ってから一つ一つを思い出した。

今日は襲撃予告に予告された当日の5日前で、みんなとは10日間、1回も会っていなかった。

その間みんなを呼び出す事にだけはしたくなかったため、本部からの司令で来てくださった看護師の方、数名に看病していただいていた。

けど、8人と会えないことで知らない内にストレスが溜まっていたのか、今日それが爆発したようで。

看護師さんが本部に連絡したら、ちょうどその時訓練していたロウが途中で切り上げて来てくれたらしい。

成人済みの男が人に会えないストレスでこんなんなるとか、情けないし恥ずかしいし申し訳ない、

kyng
全然来れんくてマジですまん。
耳、血出てたけどもう大丈夫か?
あなた
耳は、大丈夫。俺の方がごめん、負担かけないようにって、思ってたのに。
kyng
あと5日だから、ラストスパート入ってるし、多分他の奴らは来れねぇ。だから終わってからちゃんと全員で話そうな。
あなた
うん、ごめん、訓練切り上げて来て貰って。もしみんなに会ったら、死ぬなよって伝えて。
kyng
ん、わかった。でも、死なねぇよ?笑
あなた
誰も死なせないでよ、白狼さん
kyng
あったりまえですー笑、じゃあもうそろそろ行くわ。
あなた
うん、ごめん、ありがとね、
kyng
あいよ、じゃ、またな







1週間後にはまた会える、なんて。
彼らは強く望むがあまり、思い込んでしまっていた。

ヒーローには、明日生きている保証すらないのに。




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