2月14日。
寒さもピーク。
マジで寒い。無理。
厚着は嫌いだけど、寒いのも苦手。
だから若い頃からパーカーに、革ジャンが定番。
(ばりばり中にヒートテック着るけど)
今日、たまたまロケで行った有名なパティシエのお店で、チョコレートケーキを買ってきた。
あなたにバレンタインデーで逆チョコ。(ケーキだけど)
コーヒー好きのあなたは、
チョコも大好きだからきっと喜ぶはず、と
柄にもなくひとりでちょっとだけ
ホクホクした気持ちになりながら
玄関のドアを開けた。
あなたが喜ぶ顔を想像すると
やっぱテンション上がる。
ガチャ
『ただいまー!』
『...........』
何も返事がない。
部屋の中が真っ暗だった。
『............え? あなた?』
まさか逆にサプライズとかしてくれてる?
とか思いながら
ゆっくりリビングに近づく。
『...............あなた?』
耳を澄ました。
人の気配がない。
物音ひとつせず、シンとした部屋だった。
リビングの灯りをつけた。
すると、テーブルの上に
一枚の書き置きと、部屋の合鍵が置いてあるのを見つけた。
買ってきたケーキを置き、メモを手に取る。
--- 翔太さんへ
たくさんの幸せをありがとう。
一緒に暮らしたのはたった4ヶ月だったけど、私の人生の中で一番幸せな時間でした。
突然、いなくなるのを許してください。
翔太さんは何も悪くないし、私が勝手に決めたことです。
翔太さんが大大大大大スターになるのを、心から願ってるし、誰よりも楽しみにしてます。
ずっとずっと呼んでみたかったの。
愛してるよ、翔太。
あなた ---
頭の中が
真っ白になった。
『........は....?』
何が起こった?
まったく状況を飲み込めなかった。
その晩、
その足で、思い当たるところを探し回った。
と言っても、
東京に、あなたとの思い出の場所なんてほとんどなかったし
行く当てなんてあるわけがない。
夜遅くて"タマ"の店も、もう閉まっていた。
探しながら、ずっと考えた。
昨日まであなたは普通だった。
はず。
普通を装っていたのか?
俺があなたの異変に気づけなかったから?
仕事で忙しくしすぎたから?
潔癖すぎた?
甘えすぎた?
俺ってそんなに頼りない?
なんでだ、
普段は気づかないような
自分の欠点がどんどんどんどん湧き上がる。
あなたのこと思い出すと全部が笑顔。
なんで。
結局、頭に浮かぶのはこの文字。
もう、歩く気力がなくなり、一歩も進めなかった。
人のいない夜の歩道に立ちすくんだ。
★












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!