その日はいつも通り午前の授業を受けた。
お昼休みになり、ふぅ……と息を吐く。
……よし、行こうかな。
いつもお昼休みに入ったらすぐ皆で食堂に向かうため、そう伝える。
急いでいこうとしたけど、しのくんに手を掴まれた。
ついてきてくれようとしている3人に、「ごめんね」と謝った。
そう言って、逃げるように教室を出た。
今朝、下見した西館の地下。
走った西館に行き、地下に入る前に立ち止まる。
全身の神経を研ぎ澄ませて、気配を探した。
……あ、もういるみたいだ。
複数人の気配を感じて、間に合ってよかったと胸を撫で下ろす。
……さ、急いで片付けて、食堂に向かおう。
薄暗いから、向こうもはっきりと私の姿は見えていないだろう。
できるだけ足音を立てて、〝現れた〟と気づかせる。
身長でバレないように、木箱のような物を伝えながら歩いた。
向こうが、こっちに気づいたのが手に取るようにわかる。
隠れているつもりだろうけど、バレバレだ。
目を瞑って、神経を尖らせた。
その声を合図に、一斉に6人の気配が飛んできた。
目を瞑ったまま、相手が私に近づくのを待つ。
__今だ。
その場にしゃがみ込むと、相手が相打ちをする形でぶつかった。
そして、ダメージを受けているその一瞬の隙に、的確に拳を入れる。
両手両足を使って、まずは4人の急所を突いた。
倒れたのを確認し、残りの2人に構える。
目を細めて、相手の顔を確認した。
意図的にボス格の人は残したから、今後どこで会っても目をつけられるように顔を記憶する。
見たことない顔だ……。
まあ、マンモス校だし、まだ入ったばかりだから知っている顔の方が少ないか。
さすがにこの距離で、相手も気づいたらしい。
私の顔を覚えられるわけにはいかないので、すぐに片をつけないと。
相手の拳が飛んできて、右手で止める。
攻撃がいちいち荒いなぁ……。
適当にケンカして適当に強くなった戦い方だ。
きっとこんなんじゃ、たろさんは倒せないんじゃないかな。
たろさんがどれだけ強いか私は知らないけど……。
この人達ならきっと、睨まれただけで腰を抜かしそう。
そんなことを考えながら、鳩尾に膝を入れた。
後ろからももう1人が攻撃を入れてきたので、避けて背中を叩く。
……落ちたかな。
全員の意識がなくなっていることを確認し、ふぅ……と息を吐いた。
食い止められてよかった。
たろさんが来る前に、私は出ていかないとっ……。
後のことは、たろさんに任せよう。
この状態なら、たろさんを袋叩きにするどころではないだろうし、彼らの処分は私が決めることではない。
久しぶりにケンカ……というか、人を殴ったなぁ。
やっぱりあんまり気持ちいいものではないし、ケンカはできるだけしたくない。
そう思いながら、私は急いで食堂へと向かった。
まさか、すべてを__見られていたとも知らずに。









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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!