僕達は、相澤先生とオールマイトにあなたの家を
案内していた。
中は荒れ果て、物の抜け殻で静かで嫌な空気が
僕達四人を刺す様に包んでいた。
転がってるのは、割れた皿や破れたカーテン。
何か写真が入ってたであろう壊れた写真立てと
何か燃やしたであろう炭だらけの台所。
此処まで家もボロボロになっていたのか…。
かっちゃんがあなたの部屋に入ってゆくのに続き
僕達もあなたの部屋に入る。
あなたの部屋には、毛布の掛かってないベッドと
必需品を漁ったタンスが散らかって居た。
足の踏み場の無い程、服や物が落ちて居る。
ドカッ、とベッドに腰を下ろすかっちゃんには
目の下に隈が出来ていた。
此処数日間、ずっと思い詰めてて上の空だ。
夜も眠れないのか、数少ない最近までのあなたの
写真を見てベランダで外を見上げて居る。
過去の出来事からあなたは信用せず、笑顔を失い、
心を透過しなくなった。
相澤先生は、散らかったタンスの棚を全て取り
出して念入りに何か証拠を調べて居る。
中には古い写真やボロボロのキーホルダーなど
タンスの奥に保管されていた物が多かった。
指摘された場所を僕達も見ると、確かに奥側に
何か紙が引っ掛かっている。
何とか破れない様に慎重に取り出す。
それを四人で覗くと、僕達は驚いて目を見開く。
其処には、五人の人物が笑顔で映っていた。
あなたの、弟…?
オールマイトの云う通り、かっちゃんは何か
あなたの弟の事を知ってるみたいだ。
僕は覚えていないのに、どうしてだろう。
目を覚ました時、あなたに似た男が目の前で青い
瞳を覗かして俺の事を見て居た。
最初は、あなたかと思ったが、声の低さも身長も
全部違った。
誰だ此奴…他人の空似か?
あなたに似てるのは、肉親だからなのか。
それとも、ただの他人の空似なのか。
何方にせよ、隣のソファに寝ているあなたが居る
状況で暴れるのはリスクが高い。
他人の空似でも、此処まで顔と容姿が似ている
なんてあるんか?
…記憶を、消した…?
俺の前に屈んで目を合わせてくる此奴を見ると
あなたの昔に重ねてしまう。
そのくらい、瓜二つなのだ。
あなた、の…双子の弟…?
知らねぇ…そんな奴が居た覚えは無い。
俺の記憶の中でその名前も、存在も、何もかも
覚えて居ない。
だが、声引…あなたの双子という事は肉親…。
つまり、あなたの家族はまだ生きていたのか…っ
“ヴィラン”として…生き残って居たんか。
巫山戯るな…巫山戯んじゃねぇ…。
キョトン、とあなたと同じ顔で目を丸くする双子。
その後、ギザギザした歯を見せて不気味に笑い
ながらあなたの寝るソファに座った。
あなたの健康的で、綺麗な肌をした顔を愛おしい
物を見つめる様な顔で撫でる双子野郎。
まるで自分の姫みたいに扱う双子野郎はあなたの
頭やら頬を撫でながら俺に言った。
目の前であなたを抱き締めたり、唇以外の場所に
口付けを落としたりして俺に話す双子野郎。
どうも気が散って上手く話が入って来ない。
事故で“死んだ”…だァ??
此奴…なら一体どうして生きて此処に居んだよ。
高揚した表情で、あなたへの愛に酔っている変態
野郎に流石の俺も引いた。
何よりあなたに瓜二つな顔でその顔はグッとくる。
シンプルに辞めろ ꐦ
あなたを愛してる…?
ついカッとなった俺の口から出たのは、日頃で
有り得ない言葉だった。
でも、何故かそのくらい双子野郎や半分野郎に
あなたを取られんのが嫌だったんだ。
俺が口出した言葉を聞いて、静かになるも周りは
笑い出したりして雰囲気をぶち壊す。
死柄木と荼毘って野郎は、仲が悪いのか視線で
喧嘩をし始める。
暗い暗い、深い瞳に吸い込まれる様に覗かれて
流石の俺も息を呑んだ。
まるで、過去のトラウマを呼び起こすかの様に。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!