第88話

🌑
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2025/05/24 14:42 更新














緑谷
 ___先生、此処があなたの家です 

  僕達は、相澤先生とオールマイトにあなたの家を
  案内していた。
  中は荒れ果て、物の抜け殻で静かで嫌な空気が
  僕達四人を刺す様に包んでいた。
  転がってるのは、割れた皿や破れたカーテン。
  何か写真が入ってたであろう壊れた写真立てと
  何か燃やしたであろう炭だらけの台所。
  此処まで家もボロボロになっていたのか…。



爆豪勝己
 おい、こっちがあなたの部屋だ 
相澤消太イレイザーヘッド
 嗚呼 

  かっちゃんがあなたの部屋に入ってゆくのに続き
  僕達もあなたの部屋に入る。
  あなたの部屋には、毛布の掛かってないベッドと
  必需品を漁ったタンスが散らかって居た。
八木俊典オールマイト
 かなり、部屋も散らばってるね… 
  足の踏み場の無い程、服や物が落ちて居る。

爆豪勝己
 …全部の事の出来事は俺のせいだ 


  ドカッ、とベッドに腰を下ろすかっちゃんには
  目の下に隈が出来ていた。
  此処数日間、ずっと思い詰めてて上の空だ。
  夜も眠れないのか、数少ない最近までのあなたの
  写真を見てベランダで外を見上げて居る。
  過去の出来事からあなたは信用せず、笑顔を失い、
  心を透過しなくなった。





緑谷
 先生、何か手掛かりありそうですか? 
相澤消太イレイザーヘッド
 …特に無さそうだが… 

  相澤先生は、散らかったタンスの棚を全て取り
  出して念入りに何か証拠を調べて居る。
  中には古い写真やボロボロのキーホルダーなど
  タンスの奥に保管されていた物が多かった。
八木俊典オールマイト
 相澤君、二段目の段に何か引っ掛かって 
いないかい?紙みたいなのが



  指摘された場所を僕達も見ると、確かに奥側に
  何か紙が引っ掛かっている。
  何とか破れない様に慎重に取り出す。
 
  それを四人で覗くと、僕達は驚いて目を見開く。


  其処には、五人の人物が笑顔で映っていた。
緑谷
 あなたと、男の子…? 
爆豪勝己
 …っ!!此奴、あなたの弟だ… 
緑谷
 えっ…? 








  あなたの、弟…?
爆豪勝己
 っ間違いねぇ…“声引りつ”…あなたの双子の 
弟って名乗った奴にそっくりだ…っ!!
相澤消太イレイザーヘッド
 爆豪、“名乗った”ってどういう事だ 
八木俊典オールマイト
 爆豪少年…まるで、君は何か知っている 
みたいな口振りだね



  オールマイトの云う通り、かっちゃんは何か
  あなたの弟の事を知ってるみたいだ。


  僕は覚えていないのに、どうしてだろう。
爆豪勝己
 …林間合宿ん時の話だ 






爆豪
 あ゛ぁ…?
 お!起きた 
 おはよう、“かっちゃん”。僕は君に 
会えて光栄だよ


  目を覚ました時、あなたに似た男が目の前で青い
  瞳を覗かして俺の事を見て居た。
  最初は、あなたかと思ったが、声の低さも身長も
  全部違った。
  誰だ此奴…他人の空似か? 
死柄木弔
 法律屋ルーリティ、何してやがる 
荼毘
 起きたのか爆豪勝己 
爆豪
 んだよこの拘束は!! 
荼毘
 暴れねぇ為の拘束だ。お前起きたら 
直ぐに暴れそうだからな
 いんや~?違うよ荼毘君 
 かっちゃんはこう見えて意外と冷静沈着 
この状況で暴れる可能性は低いよ~
爆豪
 かっちゃん言うなァ!!
爆豪
 というかテメェ誰だ!!あ゛?!?! 



  あなたに似てるのは、肉親だからなのか。
  それとも、ただの他人の空似なのか。
  何方にせよ、隣のソファに寝ているあなたが居る
  状況で暴れるのはリスクが高い。
  他人の空似でも、此処まで顔と容姿が似ている
  なんてあるんか?



 …?どうしたのかな?僕の顔を見て… 
 何か付いてるのかな? 
死柄木弔
 お前の容姿が気になって仕方ねぇんだろ 
自己紹介ぐらいしてやれ
 嗚呼!そう云う事か!…そっか、記憶は 
全部“消しちゃった”からね


  …記憶を、消した…?
 久し振りだね、かっちゃん 
 知らないと思うから教えてあげるよ 



  俺の前に屈んで目を合わせてくる此奴を見ると
  あなたの昔に重ねてしまう。
  そのくらい、瓜二つなのだ。


声引律こえひき りつ
 僕の名前は声引律、ヴィラン名は法律屋ルーリティ 
あなたお姉様の“双子の弟”です!
爆豪
 …は、っ? 



  あなた、の…双子の弟…?
  知らねぇ…そんな奴が居た覚えは無い。
  俺の記憶の中でその名前も、存在も、何もかも
  覚えて居ない。
  だが、声引…あなたの双子という事は肉親…。
  つまり、あなたの家族はまだ生きていたのか…っ
  “ヴィラン”として…生き残って居たんか。





爆豪
 あなたの双子が…ヴィランだと…? 



  巫山戯るな…巫山戯んじゃねぇ…。
爆豪
 巫山戯んじゃねぇ…あなたはヒーローに 
俺等よりも憧れてたんだっ…
爆豪
 そんなあなたをっ…裏切る様な真似なんか 
してんじゃねェぞ!!この野郎!!


  キョトン、とあなたと同じ顔で目を丸くする双子。
  その後、ギザギザした歯を見せて不気味に笑い
  ながらあなたの寝るソファに座った。



声引律こえひき りつ
 何言ってるんだよ、かっちゃん 
  あなたの健康的で、綺麗な肌をした顔を愛おしい
  物を見つめる様な顔で撫でる双子野郎。
  まるで自分の姫みたいに扱う双子野郎はあなたの
  頭やら頬を撫でながら俺に言った。
声引律こえひき りつ
 あなたお姉様は“僕”と一緒にヒーローに 
なりたかったのさ
声引律こえひき りつ
 僕はあなたお姉様を一番のヒーローとして 
目立たせる為にサポートすると決めた
声引律こえひき りつ
 無論、それは叶わなかったがね 



  目の前であなたを抱き締めたり、唇以外の場所に
  口付けを落としたりして俺に話す双子野郎。
  どうも気が散って上手く話が入って来ない。


声引律こえひき りつ
 僕がある日、事故で“死んだ”と警察から 
告白された時のあなたお姉様の顔…
声引律こえひき りつ
 悲しみで泣き崩れるあのあなたお姉様の 
泣き顔には僕は心を撃たれたんだ
爆豪
 は、ァ…?? 


  事故で“死んだ”…だァ??
  此奴…なら一体どうして生きて此処に居んだよ。


声引律こえひき りつ
 愛おしいっ…美しいっ!可愛らしい!! 
声引律こえひき りつ
 あなたお姉様はら僕を何よりも、誰よりも 
大切にしてくれていたんだっ…!!
声引律こえひき りつ
 これは、もう…あなたお姉様が僕へと送る 
“愛”なんだとっ!僕は確信している!!


  高揚した表情で、あなたへの愛に酔っている変態
  野郎に流石の俺も引いた。
  何よりあなたに瓜二つな顔でその顔はグッとくる。
  シンプルに辞めろ ꐦ 





声引律こえひき りつ
 愛しのあなたお姉様…僕だけのあなたお姉様 
声引律こえひき りつ
 顔から声まで全てが魔性で魔声な僕の 
あなたお姉様を宇宙一愛している!


  あなたを愛してる…?
爆豪
 っうるせぇ…!あなたを宇宙一愛してんのは 
お前みてぇな肉親じゃねぇ…!
爆豪
 “俺”がこの世の何よりも愛してんだ!! 


  ついカッとなった俺の口から出たのは、日頃で
  有り得ない言葉だった。
  でも、何故かそのくらい双子野郎や半分野郎に
  あなたを取られんのが嫌だったんだ。



  俺が口出した言葉を聞いて、静かになるも周りは
  笑い出したりして雰囲気をぶち壊す。


死柄木弔
 へぇ…随分とヒーロー志望共に愛されてる
んだなぁ、あなたちゃんは
荼毘
 笑わせんな、あなたちゃんは俺が愛してる 
荼毘
 死柄木や双子、テメェが入る余地は無い 
既に俺が愛してやってるからな



  死柄木と荼毘って野郎は、仲が悪いのか視線で
  喧嘩をし始める。

声引律こえひき りつ
 弔君、燈矢君、幾ら君達でもあなたお姉様を 
愛する権利は僕が与えないよ
声引律こえひき りつ
 それと、かっちゃん 
爆豪
 あ? 
声引律こえひき りつ
 今…あなたお姉様を僕より愛してるとか 
言っていたけれども
声引律こえひき りつ
 君達があなたお姉様を“傷付けた”んだよね? 




  暗い暗い、深い瞳に吸い込まれる様に覗かれて
  流石の俺も息を呑んだ。
  まるで、過去のトラウマを呼び起こすかの様に。

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