弁解の余地はない
そう思って、とりあえず謝った
本当の理由がそうじゃないにしても、
迷惑をかけていることに変わりはないから
バタンっ
扉を閉めた瞬間に広がる暗闇と静寂
そして恐怖
今も誰かに見られているんじゃないかと思うと
怖くて動けない
相談してしまえば楽なんだろうな…
「助けて」って口に出して言えれば、
すぐ助けてくれるんだろうな…
でも、そんな自分が、私には想像できなかった
こんなことも言えない私は、
何に向かって頑張っているんだろう
周りまで巻き込むわけにはいかない
被害を受けるのは私1人でいい
少しだけ暗い街中を1人で足早に歩く
街灯もあまりなくて、地域の人の気配もない
こつ、こつ…
また足音が聞こえて、
今日もか…と、少し諦めも入ったため息を漏らす
撒かないとな…
家に帰ってみんなに迷惑かけるわけにはいかない
寒い夜道をまた長々と歩く
怖い、寒い
そんな感情は、誰にも共有されることなく
白い吐息と共に、宙に散った











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。