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第1話

プロローグ
23
2022/12/03 10:31
その日は突然やってきた。


いつもと変わらない楽しい一日だったのに。


「あなた…」


愛おしいその人はもう目を覚まさない。


「やく、そく…したのに……」


ギュッと抱きしめたあなたの身体はしだいに冷たくなっていく。


救急車と、警察車両のサイレン音がうるさい。


もう何もかもがおそい。


どうしてもっと早く、気づいてやれなかった…?


あなたはずっと…


「なぁ、あなた…目を覚ましてくれよ……」


一生返ってくることのない返事を期待して、喉が枯れてしまうほど名前を呼び続けた。

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