第2話

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2024/03/20 04:14





     『 マドル家 』

     名家の中の名家。
     天才の中の天才。
     当たり前のように、
     必然的に、
     当然のように、
     魔法への才覚を持って生まれる家系。
     魔法が使えて当たり前の世界で、
     魔法に優れていて当たり前の家系。
     完璧を重んじる家系。
     価値の有無を重んじる家系。
     それがマドル家である。

     3人の子がいる家である。




     xxxx年 4月

あなた
今日から、ここイーストン魔法学校が私の居場所…
あなた
まって ちょーデカいし!!
あなた
上がるんですけど!!
     この少女は あなた・バスタルド 。
     否、バスタルドというバスタルド出来損ない
     16年前、名家マドル家で生まれたバスタルド出来損ない
     12歳で親に捨てられ、
     4年間1人で生きてきた孤独な少女。
     それが、あなた・バスタルド 基
     かつてあなた・マドルであった少女である。
     魔法の才を持たなかった少女である。
あなた
空も元気でアタシも元気!
あなた
ありがたいっ!!
あなた
てか今日のアタシまぢビジュヤバい!!
あなた
ちょー盛れ過ぎてない!?
あなた
我ながらかわいしゅぎゆ~♡♡♡
あなた
あ…!
あなた
     傷…まだ跡残っちゃってるな~
     辛すぎ~ まぢなえw
     やっぱり似てるな、アイツオーターと…
あなた
最悪wあんなのと似てるとかw
     この少し癖のある黒みがかった茶髪も
     このグルグルとした金眼も
      気を抜くとすぐ無表情になってしまう口も
      ましてや両頬にある痣でさえもが
      全く同じではないにしろ、
     やはりそっくりで、嫌でもアイツオーターを思い出す
     なんなら間違えられた事だって嫌というほどある。
あなた
どうせ似るならアイツオーターじゃなくて、ワース御兄様に似たかったな…
     大きな違いといえば、性別と性格、
     そして明らかに違う、魔法の才… だろうか
あなた
マドル…か
     あなた・マドルという名前。
     初めて聞く人には、それはもう新鮮で
     違和感極まりない言葉であるそれ。
     しかし、アタシからしてみれば、
     既に過去のものとなっているもの。
     過去。
     昔。
     終わったこと。
     あるいは なかったこと。
     あったかどうかも、定かでないこと。
     そんな風に、思い出と共に語られる何かであり、
     言ってしまえば今のアタシとは、
     なんら関係がなかったりする。
     無関係。
     言うまでもなく過去の自分なんてのは、
     ちょっとした他人よりもよっぽど他人であり、
     自己嫌悪とは全く違う嫌悪を抱く対象だ。
     特にアタシにとっては、
     消したくても消せない
     離したくても離れない
     そんな
     憎悪抱くような、
     嫌悪するような、
     罵詈雑言を浴びせられたような、
     剣ヶ峰のような、
     虎口のような言葉である。
あなた
まぁ今はあなた・バスタルドだし!
     あなた・バスタルドという名前も、
     初めこそ考えるだけで
     欣喜雀躍するような言葉ではあったものの、
     今では既に十分に馴染んでいて、
     特段聞いて嬉しくなってしまうこともないし、
     逆に言えば、アタシにとっては何の違和感もなく、
     胸にすとんと落ちるものである。
     今までも、これからも、
     アタシにとっては、
     アタシはあなた・バスタルドでしかないのである。
     永遠に、
     一生、
     永久に、
     変わることはないのである。
あなた
とりま部屋いこ!
あなた
てか流石に広すぎない!?
あなた
ちょー迷子なうなんだけど!
あなた
まぢうけるw
あなた
ん~
あなた
とりま誰かに聞こ!
     10分後
あなた
え、てか流石にここ人いなさ過ぎじゃない!?
あなた
まってホントにここであってる!?
あなた
アドラってどこにあんの!?
あなた
てかまずここどこ?って感じなんですけど
あなた
…!
あなた
むむむ…?
    足音が近づいてきている。
     コツコツと規則正しい音を立てた足音が。
     こちらへと向かってきているのだ。
あなた
よし!驚かせついでに道聞こ!!
     曲がり角という名の角を、曲がることなく、
     ただの角、
     言わば障壁として使う自分に
     多少の優越感を覚えつつ、
     高鳴る心と共に、徐々に近づく足音に
     耳を済ました。
あなた
(お!今な気がする!!)
     すると彼女はただ道を尋ねるという行為には
     似つかわしくないほどの
     声量で、
     勢いで、
     やや悪い満面の笑みで、
     その人に尋ねた。
あなた
わ!!!!!!!!
あなた
こんにちは!!!!!!!
あなた
初めまして!!!!!!!
あなた
アドラ寮ってどこに__________
     否、尋ねようとした。
あなた
え?
ワース・マドル
は?
ワース・マドル
なんでテメェがこんなとこにいんだよ、あなた

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  自分の中で長男はお前、次男はテメェだと思ってます✌🏻

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