🦶スタ…スタ…スタ…
あなたは、そういって
肩に頭を預けたまま
わしの顔を見てそう言った
カン!…カン!…カン!…
懐かしい音が聞こえる……
カン!…カン!…カン!……ガチャーン!!…
…あ……
「すまん…力を込めすぎたな…
だが…美しい刀身だ…刀でなくとも
お前を鍛えてやろうな…」
…この声…覚えてる…三条様の声だ…
…懐かしい…嬉しい…
「では、こちらは貰い受けます」
「よろしくお願いします…
いつか、お主のもとへ兄が行くから…
それまで待っておれよ…__…」
いつかとは…いつですか?…
いつになったら兄上に会えるのですか?
ずっと暗い場所に一人なのですか?
嫌だ…行かないで!…
🚪ススス…
🚪ススス…
僕は、今
部屋の外の縁側に
座って付きを見ている…
よく、こうして蔵の外へ出されるたび
月の光を浴びたものだ…
蔵と言えば…
🚪カタンッ!
僕が、一人で付きを見ている時
三日月兄様と兄上のいる部屋の襖が開いた
それが気になり振り向くと
少し焦った表情のお二人が立っていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!