<胡蝶side>
冨岡さんが蝶屋敷で療養し始めてから3日が経った。
もうすっかり熱は下がり、今日から機能回復訓練に参加する予定だ。
といっても、冨岡さんは柱。
苦戦するのは冨岡さんではなく、冨岡さんの相手をするアオイやカナヲだろう。
こちらとしては、カナヲの訓練になるので嬉しい。
そう思いながら見ていると、やはり冨岡さんに誰も着いていけていない。
思わず吹き出すと、カナヲとアオイに軽く睨まれた。
病室でそんなやり取りを交わす。
冨岡さん本人はもう大丈夫だと思っているようだが、まだ体調や心情が万全ではないことを私は知っている。
未だ、夜な夜な悪夢に魘されているし、たまにふらついている。
そんな冨岡さんを柱合会議に出すわけにはいかなかった。
<産屋敷side>
義勇は今日の柱合会議を休むらしい。
先日、過労で倒れてしまい、未だ体調が万全ではないそうだ。
義勇は自分のことよりも他の人のことを優先してしまうから、体調が悪くても、結局無理をして倒れてしまったのだろう。
そんな事を考えながら、私は皆に挨拶をした。
そう言うと、みんなはそれに返事をしてくれる。
それが、たまらなく嬉しかった。
その言葉に、誰もが息を呑んだ。
<胡蝶side>
私がそう言うと、この場にいた皆が息を呑んだ。
あのお館様でさえも、驚いたような表情をなさっている。
聞き出せた、とは人聞きの悪い。
それじゃあまるで、私が無理矢理話させたようじゃないか。
そう思って、小さくため息を吐き、私は話し始めた。
冨岡さんは毎晩、眠ろうと目を閉じてしばらくすると、いつも悪夢に魘されている。
目を覚ましてからも、しばらくその光景が頭から離れないようで、制御しきれない恐怖、嫌悪、憎悪、憤怒、後悔、悲哀などの感情を持て余し、1人で震えていることが多い。
しばらく傍についていてあげると落ち着くが、やはり心配でならない。
そんな冨岡さんが年相応に、いや、それ以上も幼く見えて。
それぞれの反応を示す柱達の表情に共通して浮かんでいたのは、申し訳なさと、罪悪感だった。
___これから、貴方への皆さんの態度が変わると良いですね、冨岡さん。
私はこっそり、心の中で冨岡さんにそう語りかけた。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!