第35話

怪談 中編
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2025/11/17 09:20 更新
近藤 勲
じゃあ次は俺が話すぞ!
土方 十四朗
いや、もう終わりでいいだろ
あなた
とーしろー怖いんだぁ?
土方 十四朗
こ、怖くねェよ!!
沖田 総悟
じゃあ近藤さん話していいだろィ
土方 十四朗
うっ…そうだな
近藤 勲
俺が今から話すのは八尺様だ
真選組のみんな
うわ…怖いやつじゃん

八尺様



​ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ…







ある村に封印されていた、身長が八尺(240cm)もある正体不明の怪異。

見る人によってその容姿が異なり、若い女の格好だったり老婆だったりと様々。

服装もバラバラだが、身長と被り物だけは共通している。

東北地方で目撃されることが多く、

地蔵に封印されておりその地区からは出られないらしい。

もし八尺様に魅入られてしまうと、数日の間に取り殺されてしまうと言われている。

彼女が魅入る対象は、成人前の男性、あるいは子どもが多いとされる。













これは体験者が高校生だった頃の春休みに父親の実家に滞在した時の話。

縁側で寛いでいると、どこからともなく奇声が聞こえてきた。





ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ…





生垣の切れ目から見えたのは・・・

いや、生垣から帽子を被った白いワンピースの女が頭を出していた。

生垣の高さは2メートルもあるというに・・・。

その話を祖父母にすると態度が急変した。

話を聞くとその大女は、封印されていたはずの「八尺様」と呼ばれる化け物だと言う。

何でも魅入った人間を取り殺してしまうのだとか。

つまり、魅入られてしまったのだ。

すぐさま八尺様から逃がすために、

まず祖父が1人の老婆を連れてきて、

お札を渡される。



そしてお札が貼られ、

四隅には盛り塩・仏像が置かれた2階の1室に閉じ込められる。

祖父曰く、「朝までここから出るな」と。

そして「自分たちは話しかけることも呼ぶこともない」



祖父たちの態度に、

恐怖に震えながらもいつの間にか眠ってしまう。

目覚めたのは午前1時すぎ。

窓ガラスを叩く音がした。

そして聞こえてきた祖父の声。





「おーい大丈夫か。こっちに来てもいいぞ」





思わずドアに近づいたが、

「自分たちから話しかけることも呼ぶこともない」

という祖父の言葉を思い出し、

思いとどまったのだ。

隅に目をやると、盛り塩は変色していた。









翌日、祖父母に迎えられ1階に下りると、

9人乗りのワンボックスのバンに乗るよう促された体験者。

9人中、座る席は中列の中央で八方塞がりの状態である。

「これからは目を閉じて下を向け、

目を開けてはならない」という指示に従い、

バンは発車。



そのうち、「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ…」という声が聞こえてきた。

薄目を開けてみると、白いワンピースが目に入る。

「見るな!」と言われ、慌てて目を瞑る。

さらに、「コツ…コツ…コツ…」とガラスを叩く音まで聞こえてくる。

声と音が途切れた時に、周囲の緊張感が解ける。



特定の地区から脱出できたようで、

八尺様から逃げ出せた。

握りしめていたお札を見ると、黒く変色していた。

しかしいつまた魅入られるか分からないので、

それ以降、祖父母の家には行けなくなってしまった。



後に父親から聞かされた話によると、

車に乗っていたのは

全員投稿者と血縁関係にある者だった。

少しでも八尺様の目をごまかそうと

親族を集めたそうだ。

最悪、祖父と父親は、

自分達が身代わりになる覚悟だったという。



真選組のみんな
ひぃ!怖すぎだろ!
あなた
祖父達、優しすぎだろ
山崎 退
だよね!ちょっと感動した!
土方 十四朗
だ、だなァ!
あなた
十四朗!大丈夫だって!
あなた
もう成人してんだから
土方 十四朗
た、たしかに!
















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