隣で聞こえる規則正しい寝息
正直こんな大人しく寝てくれると思ってなかった
正確には喋らなければ。だけど
30代の男の人とは思えないきめ細かな肌
つり目の形のいい目
くせっ毛の黒髪はふわふわしていて
加齢臭なんてしない。なんならオシャレな香水の匂いがする
なんか…
確実に寝たのを確認してから、音を立てずに立ち上がろうとすると
いつの間にか掴まれていた裾に引っ張られた
手を開いて離させようとするも、思った以上にガッツリ掴まれている
なんでこの人こんな握る力強いんだよ
だからといってこのままここに座っていたら私も寝落ちしそうだし
早めにご飯を作りたいから少し強引に引っ張って離させようとした時
淡い部屋の光に彼の目元が少し反射してるのが見えた
驚いた
だって、寝てる彼が泣いてるんだもの
焦った顔や煽る顔。悲しむ顔は見た事あったけど、泣いてるのは初めて見た
寝言で呟かれているのは誰かの名前のよう
ヴィラン連合の仲間のことを思い出しているのかな
別に慰めてあげるつもりもないが、こんなに辛そうな顔をして泣かれるとこっちも気が参っちゃう
ふわふわの髪の毛に手を置き、ゆっくり頭を撫でてあげると
悪夢を見なくなったのか、眉間のシワがなくなり涙も少し止まった
意外と子供っぽいんだな。この人
…ご飯はまた後ででいいか
なんて考えながら、ベッドフレームに腰掛けていた体を少しずらして彼の横に寝転ぶ
ここから抜け出して、一人で生活するのはまだもう少し後にしようか
彼がお腹の機械を自分でメンテナンス出来るように教えてあげてから
それまでは。まだ彼のお世話をしてあげよう












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!