数分が経って少し落ち着いたのか、太宰は何時もの調子に戻っていた。
本当に、綺麗さっぱり無くなっている
確か、、彼奴と離れて歩いてた記憶はある
けど、そこからの記憶が全く無い
俺何してたんだっけ?
綺麗だったなぁーあの蝶々
真っ暗闇の中でもハッキリ見えた
、、?、真っ暗闇?何言ってんだ俺、
ニコニコと笑いそう言った太宰に、俺はゲンナリしたように顔を引きずらせた
先程からずっと俺の両手を握っている太宰
マジで辞めろよ
普通にイヤだ
野郎に手ぇ握られても嬉しかねぇよ莫迦
あぁ本当に面倒くせぇ
気は乗らねぇけど彼奴顔だけは良いからなぁ
……もう少ししたらヤレそうだし仕事だから我慢するしかねぇ
これでもかと言うぐらいいい笑顔で言った太宰は、呆気に取られている俺の手を自分の頬に擦り付けて続ける
頬から手を離し、今度は割れ物の様に優しい手つきで撫でたり、手を絡めたりを繰り返す
俺は即座に太宰に掴まれていた手を振り上げる
それを軽々と避けニヤリと笑う
マジで巫山戯んなよ!
俺がどれだけ苦労したと思ってんだ!
タイプでもねぇ女を相手するのクッソ面倒臭いんだからな!!?!
あぁもう本当信じらん無いっマジでクソ!!!
巫山戯た事を抜かしている太宰を無視して、ドワノブを掴む
ガチャ
開かない?
その時、悪寒がした
不味い、此処から逃げなければ
そう思うには、少し遅過ぎた様だ
身体から力が抜け、倒れ込む
そんな俺を横抱きし、太宰はそう言っていつもと変わらぬ笑みを浮かべた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。