第10話

すれちがい
57
2019/07/28 11:28
後夜祭の帰り道。何故だか、いつもより少し暗く、長いような気がする。
蓮
そうだ!あのね、先輩と付き合う事になった!!
皇成
皇成
っ!!……先輩って、洸センパイ?
蓮
他にいないよー
皇成
皇成
そ…だよね
蓮
あ、沙彩ちゃんとは?どうだった?
皇成
皇成
フツーに楽しかったよ
蓮
そっかー!で、付き合うの?
皇成
皇成
は!?なっ、でっ!?
蓮
あは、相談されてたの。
皇成
皇成
へー。…別に。考え中だよ。
蓮
もー。早く返事してあげなよ!
皇成
皇成
……
皇成は立ち止まった。拳を握りしめて、黙りこんでいる。
蓮
こーくん?
皇成
皇成
…なんで
蓮
え?
皇成
皇成
なんでそんなこと言うの?
皇成
皇成
. . . .
黒川さんに何でそんなこと言われなきゃいけないの?
蓮
え…
皇成
皇成
ふぅ。何でもない。
皇成
皇成
おめでとう!先輩とお幸せにね!
蓮
あ、うん。
皇成
皇成
てか、そしたら俺が家まで送る必要も無いのか!!
蓮
そ…れは……
皇成
皇成
あ、着いた。あー、朝も一緒に行くの止めよっか。これからはお互いに相手がいるわけだし。それじゃあ明日学校でね。
蓮
あっ!!
皇成
皇成
なに?
蓮
…ううん、何でもない。じゃあ学校でね。





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ガチャ
皇成
皇成
ただいま
皇成 父・母
おかえりー
皇成
皇成
ごめん、今日疲れて食欲ないや。明日食べるから、夕飯とっといて。
皇成 母
分かったわ。お化け屋敷、恐かったわよ〜。お疲れさま。
皇成
皇成
ありがとう。おやすみなさい。
皇成 父・母
おやすみ


バタン

1人だけの空間。一階に両親がいるが、部屋にいる間は気を遣ってご飯以外に声をかけないでくれる。


ドサッ
カバンを放り投げて、ベッドへ倒れこむ。枕に顔を埋めて、皇成はただひたすらに叫んだ。







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皇成
皇成
じゃあね。
蓮
あっ!!
皇成
皇成
なに?
蓮
(沙彩ちゃんとホントに付き合うの?…なんて聞けない。聞いたって、どうしようもないし)
蓮
ううん、何でもない。じゃあ学校でね。


バタンッ
部屋のドアを閉めたとき。どうにもならない、後悔の波にさらわれた。
ズルズル

そのまま座りこみ、静かに肩を震わせた。

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