後夜祭の帰り道。何故だか、いつもより少し暗く、長いような気がする。
皇成は立ち止まった。拳を握りしめて、黙りこんでいる。
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ガチャ
バタン
1人だけの空間。一階に両親がいるが、部屋にいる間は気を遣ってご飯以外に声をかけないでくれる。
ドサッ
カバンを放り投げて、ベッドへ倒れこむ。枕に顔を埋めて、皇成はただひたすらに叫んだ。
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バタンッ
部屋のドアを閉めたとき。どうにもならない、後悔の波にさらわれた。
ズルズル
そのまま座りこみ、静かに肩を震わせた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!