樹「はあ…お前やっぱ最高だな」
樹は珍しく顔を赤くしながら感嘆した。
メンバー各々が解散し、それはもう可愛い顔をしたあなたは上機嫌に大我とタクシーに乗り込んで行った。
それを見送って素直に帰る気分にはなれなくて。
ちょうどよくこっそりと声をかけてくれた人。
ジェシー「AHAHA!!なあに言ってんだよ!!」
照れ隠しも含めて大きな声で笑うジェシーに、樹も笑う。
ねえねえもう一軒付き合ってよ、という彼の誘いに本当に救われる。
ジェシーの行きつけのバーには、顔の広い彼の知り合いがちらほらいて、先程までさまざま喋って飲んでいたけれど。
最後に落ち着いたのは、カウンターでジェシーと2人。
樹「いや、まじで」
人に悩みを相談ではないし、彼も何も聞かない。
その人となりが、昔から信頼している所以だ。
へへ、なんて言ってジェシーはやっぱり照れている。
樹「…なーんかさあ、」
持っていたグラスのお酒を飲み干して呟く。
樹「6周年じゃん?」
ジェシー「来年ね」
樹「…俺らが目指すとこって、」
6年どころじゃない、結成からこれまで6人で走ってきた。
あなたは自分たちよりももっと長くこの世界を駆け抜けてきた。
姿形は変えても、事務所は変わらずに。
樹は言葉を濁して止まる。
ジェシー「ええ?」
ジェシーがちょっと口元を歪ませて笑って、グラスを傾けた。
ジェシー「俺はー、6人で6人でしかできないことしたい」
ああ、やっぱりこいつだ。
信じてついてきたのは間違いない。
樹「…だよなあ、!!」
ジェシー「うわ!なあんだよ!ちょっとこぼれた!!」
酔いに任せて抱きついたら、大きな身体で受け止めてくれる。
こんな姿を彼女にはとても見せられない。
自分たちがいつでも優先してきた大切なこと。
樹「そう、なんだよなあ、」
同じとは言えないけれど、
何より大事なことは、上原あなたが上原あなたであること。
どこにいようか誰と歌おうが、彼女が彼女らしくいてくれればそれでいい。
自分たちがそうであるように。
樹「…ジェシー愛してるぜ」
ジェシー「EHEHEHEH!!なあんだよー」













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。