あなた「え、悩む」
あなたは目の前に広げられた衣装の数々に、言葉通り頭を抱えた。
衣装『分かります!私のおすすめはコレとコレとコレとコレと、あとコレです!』
あなた「いやせめてもう少し絞って…」
専属の衣装さんがいつもよりテンション高く、目を輝かせている。
メイク『分っかるぅ〜!え!やだ!コレ◯◯じゃない?!かっわい〜!!』
それ以上に圧の強いメイクさん、例の事件から大事をとって休みを取っていたが本日ようやく本格復帰だ。
実際には部下を従えて現場には普通に出入りして、あーでもないこーでもないと口出ししていたけれど、彼女なりにかなりフラストレーションを貯めていたに違いない。
衣装『とりあえず順に全部着てみましょう!』
あなた「ダメダメ、着たら余計に悩むー!!」
メイク『見てたって決まんないわよ!まずこれ着て!』
実に騒々しい女子会、
マネージャーもこれにかかる時間は相当だと見越してスケジュールは押さえてある。
わちゃわちゃと着替えが始まるので、幸い事務所内のためさっさと事務室に引っ込むことにした。
衣装『めちゃくちゃいい!!』
あなた「あー、可愛い。ひたすらに可愛い」
メイク『でっしょー?!アタシの目に狂いはないのよ!』
一着目に着替えて、あなたはその場で一回転してみた。
衣装映えするように初っ端から施されたメイクを、メイクさんが本番前のようにさっとパウダーで直す。
あなた「んー、いやー、でもなあ、」
衣装『?何に悩んでます?』
次はどれにしようと悩む衣装さんが鏡の前でにらめっこしているあなたに尋ねる。
あなた「流石に年齢的にここまで足を出すのやめとこうかな…」
少し前から考えていた。
専門家から教えられて流行には乗ってきたつもりだが、果たして年相応なのだろうか。
衣装に限らず、パフォーマンスも。
最近旧友たちのライブを見てきて、漠然としていたその思いがまた込み上げてきたのだ。
衣装『とんでもなく似合ってますよ?』
あなた「うん…ありがと」
メイク『なあに言ってんのよ!こんな綺麗な足今出さなくていつ出すのよ?!20年後に悩みなさい!!』
あなた「ふはっ、」
久しぶりの仕事に切れ味の凄いメイクさんに思わず吹き出す。
あなた「、ちょっと誰かに見せてきてもいい?」
衣装『勿論です!』
メイク『次の候補練っておくわね!!』
頼もしい友人たちに、あなたは笑顔で手を振った。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。