第6話

初めて
4,797
2023/01/06 15:00 更新
阿部 side


大介は、俺が恋人になったというあまりにも
イレギュラーなこの状況を少しずつだけど
受け入れはじめてくれている今日この頃。


お互い仕事が終わるのが早ければいつも電話する。


寝落ち電話とかもしたし...


俺はやっぱりアイドルだから、
恋人がいることはもちろん隠したくはないけど
今は大事な時期だし、メンバー達にも隠さざるを得ない。

それでもこの想いは止められなかった。



それにやっぱり同性であろうと何だろうと仕事終わり、
夜遅くに出歩いて人と逢うのは良くない。






だからやっぱり俺たちにとっては唯一、
電話が恋人らしく居られる時間だった。






でも…!


やっと。やっと!!!(

二人でデートの約束が出来た。



楽しみすぎる…



電話をする度に、

声を聞く度に、

自分でも驚くくらい好きになっていく。












〜 デート 当日 〜



行く所は…水族館。

大介がたまたま会社の人にもらったそうだ。


軽く変装して、準備完了。



















「おまたせ、!」


待ち合わせ場所で待っていたら大介がやってきた。

やっと会えたのが嬉しくて思わず顔が綻ぶ。



いやまじで…可愛すぎるんだけど。




「これ、チケット!」

「ありがとう。行こっか?」

「うん!」


さりげなく手に触れると、大介から軽く握ってくれた。


こっちがいい。


そう呟いて俺から恋人繋ぎにした。

大介は少し照れて、でも握り返してくれた。







俺たちが来た水族館はそんなに有名な所じゃないし、
平日だから人は少なめだった。




たくさんの魚たちは本当に綺麗で。


解説文を見てると凄く勉強になったんだけど…


それよりも、綺麗な魚達よりも、何よりも、






それを見て無邪気にはしゃぐ大介が、何よりも綺麗で。




あぁ、好きだな、って。
















少し薄暗い空間。キラキラ光る水面に海月が揺れる。




そのフロアはほぼ人が居なくて、
二人だけの、空間。雰囲気。時間。







「すごぉ……めっちゃ綺麗だね!亮平っっ」


そう言って笑顔で俺の方を振り返った大介。


すぐに目が合ったから少し驚いている。











「ごめん、今日、大介の事しか見れてないや」



ピンク色に染まっていく大介の頬。

優しく撫でて顎に手を添える。











揺れる水面の青い煌めきに照らされて、


俺たちは、優しくキスをした。


















俺にとっても、大介にとっても。


一生に一度の、ファーストキスだった。












































佐久間 side



綺麗な魚たちと、大好きな人。

これ以上ないくらい楽しかった。



ふと振り返ると解説文を一生懸命読んでる亮平がいて、

あぁほんとにかっこいいな、って。


あれ綺麗だね、って言ったら
本当に嬉しそうに笑い返してくれて。




幸せすぎて。
夢なら覚めないで欲しい、、、いやほんとに。






そして、

海月のゾーンで。



亮平も、海月に見蕩れているんだと思ったら、

俺を、じっと見て。










「ごめん、今日、大介の事しか見れてないや。」





そんな、









初めてのキスは、そんな甘い台詞だった。







もう、自分が少女漫画のヒロインになっちゃったのか
って錯覚するくらい。



優しい声で、優しい微笑みで、




その後、水族館を出るまで
お互い恥ずかしくて顔真っ赤だし、
全く目を合わせられなかった。

プリ小説オーディオドラマ