阿部 side
大介は、俺が恋人になったというあまりにも
イレギュラーなこの状況を少しずつだけど
受け入れはじめてくれている今日この頃。
お互い仕事が終わるのが早ければいつも電話する。
寝落ち電話とかもしたし...
俺はやっぱりアイドルだから、
恋人がいることはもちろん隠したくはないけど
今は大事な時期だし、メンバー達にも隠さざるを得ない。
それでもこの想いは止められなかった。
それにやっぱり同性であろうと何だろうと仕事終わり、
夜遅くに出歩いて人と逢うのは良くない。
だからやっぱり俺たちにとっては唯一、
電話が恋人らしく居られる時間だった。
でも…!
やっと。やっと!!!(
二人でデートの約束が出来た。
楽しみすぎる…
電話をする度に、
声を聞く度に、
自分でも驚くくらい好きになっていく。
〜 デート 当日 〜
行く所は…水族館。
大介がたまたま会社の人にもらったそうだ。
軽く変装して、準備完了。
…
「おまたせ、!」
待ち合わせ場所で待っていたら大介がやってきた。
やっと会えたのが嬉しくて思わず顔が綻ぶ。
いやまじで…可愛すぎるんだけど。
「これ、チケット!」
「ありがとう。行こっか?」
「うん!」
さりげなく手に触れると、大介から軽く握ってくれた。
「こっちがいい。」
そう呟いて俺から恋人繋ぎにした。
大介は少し照れて、でも握り返してくれた。
俺たちが来た水族館はそんなに有名な所じゃないし、
平日だから人は少なめだった。
たくさんの魚たちは本当に綺麗で。
解説文を見てると凄く勉強になったんだけど…
それよりも、綺麗な魚達よりも、何よりも、
それを見て無邪気にはしゃぐ大介が、何よりも綺麗で。
あぁ、好きだな、って。
少し薄暗い空間。キラキラ光る水面に海月が揺れる。
そのフロアはほぼ人が居なくて、
二人だけの、空間。雰囲気。時間。
「すごぉ……めっちゃ綺麗だね!亮平っっ」
そう言って笑顔で俺の方を振り返った大介。
すぐに目が合ったから少し驚いている。
「ごめん、今日、大介の事しか見れてないや」
ピンク色に染まっていく大介の頬。
優しく撫でて顎に手を添える。
揺れる水面の青い煌めきに照らされて、
俺たちは、優しくキスをした。
俺にとっても、大介にとっても。
一生に一度の、ファーストキスだった。
佐久間 side
綺麗な魚たちと、大好きな人。
これ以上ないくらい楽しかった。
ふと振り返ると解説文を一生懸命読んでる亮平がいて、
あぁほんとにかっこいいな、って。
あれ綺麗だね、って言ったら
本当に嬉しそうに笑い返してくれて。
幸せすぎて。
夢なら覚めないで欲しい、、、いやほんとに。
そして、
海月のゾーンで。
亮平も、海月に見蕩れているんだと思ったら、
俺を、じっと見て。
「ごめん、今日、大介の事しか見れてないや。」
そんな、
初めてのキスは、そんな甘い台詞だった。
もう、自分が少女漫画のヒロインになっちゃったのか
って錯覚するくらい。
優しい声で、優しい微笑みで、
その後、水族館を出るまで
お互い恥ずかしくて顔真っ赤だし、
全く目を合わせられなかった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。