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第6話

22
2026/02/09 07:24 更新
この話にはグロ、ゴア表現を多分に含みます。


苦手だなっていう人はブラウザバック願います。





追記:デイリーランキング入ってました!ありがとうございます!!
ガタン、ゴトンと小刻みに体が揺れることで目が覚める。





「……ん?」




揺れるわけなくね?



なぜ、どうしてなんて考えている間に取り敢えず瞼を開けてみる。


その光景を見て更に驚く。



自分は電車の中にいたからだ。


しかもどこぞかのテーマパークにありそうなほど、夢かわいい内装の。




「はッ?え、ここ何処???」



俺以外にも複数の人々が乗車しているようだが、微睡んでいるのかみんな上の空だ。


隣には、裕一さんが眠っている。




俺が寝ている間に何かあったのか……?



起こすために声をかけようとしたその時だった。




スピーカーのノイズ混じりな音が車内に響く。




きっと、次の駅名を告げるアナウンスだろう。





ガガッ……。










低く掠れた、声が流れる。




”活け造り”……?



あぁ、あの刺身の盛り合わせのことかぁ…。


食べたいな、なんかお腹も空いてきたし……。




珍しい駅名だよな、そんな駅知らんかったわ。



アナウンスが流れ、暫くすると運転席の方の扉が開き、1つの人影がこちらに向かって歩みを進めてくる。

【はぁ…】



アナウンスと同じような、機械じみた声。


確かに"人"ではあるのだが、何かがおかしい……。



何かの動物の尻尾と、耳が付いているのだ。

何だろ、あの動物……。



「……猿?」


猿と形容するのがいちばん近いであろう者が、自分の向かいへと座る人物に足を進める。



手には細長い何かを持っている。


よく見ると糸鋸のようなものだった。



車掌の服を着た猿のような男性は、さっきから指1本動かさず、虚ろな目でいる男性の頬を優しく撫でた。



【……いいネ、すっごくいいヨ。】


【このままの姿だったらもっといいのだけド……。】


【上からの命令だからサ……ごめんネ?】


そう言いながら、顎を掴み、少し上に向ける。



【口、開けて貰えル?……いい子だからサ、お願イ。】


男性は、意志とは関係がないようにあんぐりと口を開けた。



車掌は嬉しそうに口角を上げて微笑むと男性の頭を撫でる。


【ん、ありがとウ……いいコ、いいコ〜……】





あまりにも異様な光景ではあったが、案外危険な状況じゃないのか……?と思い始めたところだった。



さっきまで撫でたり、見つめたりしていた車掌に異変が起きる。


【嗚呼、そう云えば仕事中だったんダ……。】


【趣味の時間はそろそろ終わりにしなきゃネ……?】





【……ごめんネ、バイバ〜イ。】


すると手に持っていた糸鋸を、開いた口の中に勢いよく突き立てた。


「ガッ……ぁぅ゛!!!!あ"ぁぁああああああああああああああ""あぁぁぁあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁああああああああああぁぁぁぁああああああぁぁぁああああああ""」



今まで一言も発していなかった男性から鋭い呻き声が漏れる。



そりゃそうだ、あの位置、あの角度的に糸鋸が刺さっている場所は____





『『脊髄』』




神経を直接傷付けられる苦しみは想像を絶するだろう。


目の前で事件が起きてるんだから、もちろん俺は動こうとした。



だけど動けなかった。



それは恐怖からではない。





何か、金縛りにも似た、窮屈さだった。



車掌が手を止めることはない。




ガクガクと体が揺れる。


あまりの痛みに、血の涙が零れ落ちる。



目は、飛び出んばかりに剥き出しになり、




口からは何処から出てきたのかも分からない臓器が漏れ出る。


舌は力む歯に巻き込まれ、やがてズタズタになっていく。




そうなっても、車掌はゴリ、ッ、ゴリゴリゴリゴリゴリゴリと一心不乱に刃を突き立てる。




可愛らしい内装とは不釣り合いな地獄。




【あっははははははははははははははははァ!!!】


車掌は楽しげに笑う。


『あははッ……。』



突如、笑い声が聞こえた。


車掌のものではない。


勿論、俺のものでもない。



じゃあ何処から……?




隣にちらりと見やる。


先程までは眠っていた、裕一さんが変わらずそこにいた。




ただ、恍惚に顔を染めて、愉悦で歪みきった口元を携えて。



『裕一、さん……?』



声をかけても気付く様子はない。



車掌は手を止めない。



耳を塞ぎたくなるような断末魔は、どんどん弱くなっていく。



骨があらぬ方向に曲がっていき、段々体が哀れな肉塊へと姿を変える。



『ッぁ……。』



男性から最期に発せられた音。



車掌は動かなくなったことを確認すると、少し寂しそうに微笑んだ。



【痛かったよネ、辛かったよネ?……あぁ、でも今が1番綺麗だヨ?】



次は、大きな包丁を取り出す。



そして男性の首元に宛てがうと力任せに勢いよくガクンと振り下ろした。



すると、おむすびころりんよろしく、落ちた頭部がころころと転げ落ち、俺の足元へとやってきた。



血溜まりに突撃し、真っ赤に染まった頭部が。


その拍子で、ボトリと瞳が落ちた。



それを気にする様子もなく、皮膚に包丁を入れて、魚を捌くように切っていく。


ただ見ていることしかできない状況で、文字通り『活け造り』になっていく姿を眺める。




突然視界が歪む。


まるで、夢から醒めるような、そんな感覚。





夢?そうだ、きっとこれは夢なんだ。



醒めてしまえばいい。



もう一度、視界が歪んだ。


今度はさっきよりも確実に。




すると、車掌の首がグルりと此方を向く。


ここに来て初めての認識。



先程までの笑顔は嘘のように、顔からは表情が剥がれ落ちている。




ゾッと背筋を凍らせる声と共に、意識が暗闇に沈んでいった。

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