炎天下の空の下、クーラーの効いた涼しい自室で俺はパソコンの画面に向かっていた
カチッカチッというマウスのクリック音だけが室内に響く
画面の中には美しいグラフィックデザインが広がっていた
カチッ……カチカチッ
『最新作!なりきり勇者の異世界転生奇譚DX』
俺はこのゲームの発表を1年以上前から待ち望んでいた
タイトルの通り、異世界に転生した主人公が仲間と共に冒険をしていくごく普通のRPGなのだが
ありとあらゆる異世界転生モノを読破した俺が惹かれた一番の理由、それは…
仲間のキャラクリができること!!
主人公はもちろん、仲間にしていくキャラクターまでもオリジナルで作成することができ、職業の設定も可能。
とにかく、ゲーム配信にはもってこいの作品なのだ
そして今、配信の準備としてキャラクリをしている最中である
ただ単にオリキャラを作り育成してもあまり愛着が湧かないと思い、仲間を全員知り合いの配信者達にしたのだ
その方がきっとリスナーさんも楽しく見ることができるだろう
実際にプレイするのがさらに楽しみになってきた
カチッ…
ガバッ(開)
財布を持ち、俺は猛暑の外へと飛び出した
ミーンミンミンミンミンミーン ミーンミンミンミンミンミーン
白く輝く太陽がギラギラと地面を照りつける
じわじわ出てくる汗を拭き取りながら、俺は横断歩道の前で足を止めた
青信号が点滅し、今まさに赤に切り替わろうとしている
なんとかそれを回避しようと、自転車に乗った小学生くらいの男の子2人組が全力でペダルをこいでこちらに向かってきていた
先頭を走っていた男の子が横断歩道を渡りきり、かなりの距離を離されてしまった男の子が焦りながら向かってきている
信号はもう既に赤に切り替わっているし、渡ってくることはないだろう
そう安心している時だった
男の子はスピードを変えることなく、そのまま歩道を渡ろうとしている
瞬時に俺は右を向いた
青信号を見ているトラックが勢いよくこちらに向かってきているのがわかる
一方で男の子はまだ渡り切れていない状態だ
このままだとぶつかっちゃう!!!
最悪の光景が脳裏に浮かんだ
ブォォォォォォォォォォ🚚
反射的に自分の足が前に出る
そのまま男の子の元へと全力で走り込んだ
男の子を強く抱きしめたのを最後に、俺の記憶はそこで終わっていた
強い衝撃と真っ赤になっていく世界とたくさんの呼びかける声だけが身体に残っている
俺は深い眠りの中へと落ちていった
【祝!フォロワー100人突破!】
たくさんの方に読んで頂いたお陰で、無事フォロワーが100人を突破いたしました!いつも本当にありがとうございます。
この度は予定しておりました100人突破記念の新ストーリー『⚔️転生勇者は配信者🛡』を公開いたしました。他作も含め、本作を楽しみにしていただけると幸いです。よろしくお願いいたします!












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!