─髙地優吾 side
深夜、夕焼け三丁目の公園───
残業帰りの俺は自販機の前で伸びをした。
ふと見上げると、皮肉なほど星が綺麗だ。
街灯のすぐ下。
巨大なシルバーのスーツケースの横に、一人の男が力なくうずくまっていた。
声をかけると、男はゆっくりと顔を上げた。
街灯に照らされた瞳が、不安げに揺れる。
男は自嘲気味に笑ったが、その指先は寒さで白く震えていた。
北斗が、じっと俺を見上げてくる。
その瞳は、雨に濡れた仔犬が縋り付いてくるような、形容しがたい熱を帯びていた。
『俺を拾ってください』
潤んだ瞳で真っ直ぐに見つめられる。
お節介なのは分かってるけど、このまま放置したら、こいつは本当に夜の闇に消えてしまいそうだった。
これが、俺たちの奇妙な同居生活の始まり。
この時の俺は、この『迷い犬』が想像以上に俺の生活を引っ掻き回すことになるなんて、一ミリも想像していなかった。
─── 𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭 ♡












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。