やってきたのは若井たちの学校。
涼架が飾りつけた教室で、人間たちが寝静まった今、サクの誕生日パーティーが始まる。
明るい魔法で辺りを満たし、涼架はサクの手を取った。
下手くそなドラムロールを口で言って、後ろから本を取り出す。
いつも完璧な涼架だが、珍しく不器用な一面を見せた。
サクはすぐに魔導書を開き、まじまじと見つめる。ちらっと覗いてみるとそこにはバカみたいに長ったらしい式や説明、わけのわからない文字がびっしり詰まっていた。魔導書で喜ぶ子供って、どうなんだろうか。
納得いってないような、キリの悪そうな顔をしながら、サクは魔力を込めた。
型に流れた魔力は形を成し、教室を包む。魔導書は光を無くし、突如としてふわりと優しい匂いで包まれた。
不思議そうに教室の匂いを確かめているサクに、涼架は目線を合わせた。
無駄なことしか言わなそうなコクアの口を咄嗟に塞いだ。
ブルーメは勢いよく俺の方を見てくるが、俺が言ったわけではないので首を振った。
涼架は小さく咳払いをしたあと、そう言った。
スキルは元々体に刻まれるもの。元人間だったサクにはスキルがなかったし、用意していなかった。
いつかなにかしら用意してやろうと思っていたし、ちょうどいい。
抱きしめていた魔導書を預かり、魔力を流してざっと形を取る。
サクの手に触れ、魔力を固く硬化させる。体の中に込めるイメージ、…
サクは自分の手を不思議そうに見つめた後、
ぽんっ
俺の頭の上に手を置いた。
突如として香る、揚げ物の匂い。
しまった、
そういえば涼架に見つかった時には塩がちょからを頼んでいなかった!
ブルーメが涼架の肩を叩いて、ブルーメが言うならと涼架は下がった。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。