第13話

7 キラキララビリンス1 太陽と飴と笑顔と
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2024/05/29 06:57
一歩アトラクションに入ると、中は…ミリアやゼツに聞いた通り、「鏡張りでキラキラ」していた
須々木 サヤ
須々木 サヤ
す、すごい…!でも、進みづらそうだな
ラナン
ラナン
行くぞピンク!俺に着いてこい!!
アメ
アメ
あいあいさー!
おいおい開幕初手で危惧していたことが起きてんぞ

目にも止まらぬ早さで駆け出していく戦隊コンビ
トア
トア
待って待って!うちも行く~!
ユキ
ユキ
トア…!一人で行動したら危ないよ!
こっちの台詞だよ!!!
ローレン
ローレン
………………………?!
ローレンは一瞬何かに怯えたような顔をして、走り出してしまった…………って君も?!
ミツル
ミツル
…おいエリナ。シャルランがいない気がするが気のせいだよな…?
エリナ
エリナ
……気のせい…じゃなさそうだね。あいつ集団行動嫌いだって言ってたから……にしても限度があるでしょ…
ミツル
ミツル
仕方ない……俺は右を探すから、エリナは左な。ゴールで会おう
エリナ
エリナ
りょーかい!あ、先生も頑張ってね~
須々木 サヤ
須々木 サヤ
頑張ってね~じゃないよ!!ちょっと!
怒涛の速さで消えてったな…残ったのは…
須々木 サヤ
須々木 サヤ
イチナとシズネ、イヨリの3人か…
イチナ
イチナ
…なあ、俺もう先行って良いか?お前といるとろくに進む気がしない
グサッと来たよ今の
須々木 サヤ
須々木 サヤ
…ええと…勝手に行動するのは…
イチナ
イチナ
お前、分かれ道で毎回どっちに進むか迷いそうだし…俺はもう行くぞ
えええええそんなあ……

いや確かにそうだけど!!ぐうの音も出ないけど!!

追いかけたい…けど、こっちにもシズネとイヨリが…ど、どうしよう…どうしたら…

選ばなくちゃ、二人をつれていく分やっぱりリスクは上がる…でも、ここに置いていく訳にも…
シズネ
シズネ
…先生、先に行って構いませんよ
イヨリ
イヨリ
ええ、私たちは大丈夫ですから
…二人がそう言うなら…いや、でも…
シズネ
シズネ
ほ、ほら…早く行かないとイチナさん見失っちゃいますよ!
須々木 サヤ
須々木 サヤ
うわわ…!本当だ…ごめんね、危なくなったらすぐ助け呼ぶんだよ!
イヨリ
イヨリ
はい、大丈夫です
そう言ってあわててイチナを追いかける 

少し息が荒いし頭も痛い…

……これで、園児達のほとんどがバラバラだ…
ラナン
ラナン
…さて、ピンク!ここはどこだ!?
………あれ?

ピンクの…アメの返事がない

まさか、途中ではぐれてしまったんだろうか?

そういえば、少し前から足音が遠ざかっていったような…
ラナン
ラナン
んー…まあ、俺のスピードについて来られなかったってことだよな!さすが俺!
???
…もう少し、周りに合わせられないの?
ラナン
ラナン
っ?!
何だ?!誰…?

周りを見渡すが、鏡に映った自分しかいない

…気のせい、だよな
???
いつもいつも自分が一番、周りの事なんてこれっぽっちも見てないじゃん
鏡に映った、自分…が…

………喋ってる
ラナン…?
ラナン…?
ただ怯えることしかできない癖にリーダーぶって…そんなんじゃ、みんな僕のこと嫌いになっちゃうよ?
ラナン
ラナン
な、何だよ…何なんだよ、お前…
ラナン…?
ラナン…?
…僕がいちばん知ってるくせに。戦隊だってそうだ、付き合わされる子たちの気持ちなんて考えたこともない
ラナン…?
ラナン…?
セレンも、テルルも、そしてアメも…本当は僕のことや戦隊のこと、どう思ってるんだろうね
ラナン…?
ラナン…?
極めつけはリトだ…気づいてるでしょ!本当はリトは戦隊のこと…
ラナン
ラナン
うるさい!!!
そんなこと、あるはずない

だって、だっておれは…!
ラナン…?
ラナン…?
それだけじゃない!!僕だって分かる!!!ずっと僕が憧れてるヒーローなんて本当は…
それを聞きたくなくて、走り出した

だって、その言葉はおれの全部を否定してしまいそうだったから

でももうどこに行けばいいのかも分からなくて
ラナン…?
ラナン…?
……そうやって逃げる「僕」が、本当の「僕」でしょ?いつまで気付かないふりするつもり?
うるさいうるさいうるさい!!!

おれは認めない!!そんなこと!!!

おれは……



いつか絶対、ヒーローになるんだから…
アメ
アメ
ラナーン!!どこー?
困ったな…完全に見失った

ラナンのやつ、待ってって何度言っても止まりゃしない
アメ
アメ
何が「着いてこい」だよ…もー…
さすがにこんなに広い場所に一人は心細い
アメ
アメ
はぁ…やっぱり先生達に着いていけばよかったかなあ…
???
…あなたにそんな権利無いでしょ?
アメ
アメ
…何?!誰?誰なの?!
周りを見渡すけど、あるのは鏡だけ…って

…鏡に映る自分の姿が、だんだん変化していく
???
???
もしかして、自分は隣にいる人を選べるなんて思い上がってる?
アメ
アメ
……………あ………
どうしよう…どうしようどうしようどうしよう…

今すぐここから逃げ出したい

でも、足は動いてくれなかった

その子の言葉は続く
???
???
みんなは、この頃の私を見たらどう思うんだろうね。私なんか一緒にいるにふさわしくないって思われちゃうかな?
アメ
アメ
ち、違う!!みんなは、そんなこと…言うわけ……ない…もん……
最後の方は声が小さくなってしまった
???
???
本当は自分だってそう思ってるでしょ?
???
???
ラナンも、リトも、シズネもニーナもマユもライアもテルルやリノだって…
???
???
みんな太陽みたいにキラキラしてて、ちゃんと「自分」を持ってるよね
やめて…やめて、聞きたくない…
???
???
でも私はどう?いつも演じてばかりの臆病者……こんな私が皆と一緒にいていいわけないでしょ
アメ
アメ
それっ……は…
???
???
それに、私みたいなどんなに努力したって垢抜けない地味な子は…
???
???
…仲間になんて、入れてもらえないよね
アメ
アメ
…っ!!!

震えていた足を無理やり動かし、急いで踵を返す

頭がぐるぐるして考えがまとまらない

どうして?どうしてこんなこと言われなくちゃいけないの?私、そんなに悪いことした?
???
???
…そうやって取り繕えるのも今の内だよ
その子が放つ一言が、ぐさりと重く突き刺さった
イチナ
イチナ
………………
…さっきからしばらく歩いているが…

正直簡単だ

何度か迷ったり鏡にぶつかったりすることもあったけど、それだけ。本当にそれだけ
イチナ
イチナ
ずっとこの調子ならニーナを連れてきても大丈夫かもな…
………?

今視界に映ったそれに違和感を覚える

鏡に映ったのは自分…のはずで

何もおかしいところなんて無いはずだった

鏡に映ったそれは、髪を下ろしていて

手には……血の、ついた…………
イチナ
イチナ
………あ…っ……
それが、ゆらりとこっちを向いた
???
???
…これで、取り返せたよ…
この光景は見覚えがあった

思い出しては蓋をした、あの記憶
???
???
俺は何も悪いことなんてしてないし、全部あの子のためだから…仕方ないよね
イチナ
イチナ
そう、だ…そうだよ、そうだ
落ち着け、落ち着け落ち着け

全部幻だ、幻覚だ

俺は何も悪いことなんてしてない
???
???
こうしないとあの子は笑えないから…だから、全部仕方ない…
???
???
………なーんて
???
???
これであの子が納得するわけないでしょ。バカじゃないの?
イチナ
イチナ
…………はっ…ぁ…
そいつの冷たい視線を向ける相手は、いつの間にか自分になっていて
???
???
あんなことをしておきながら、よく平然と普通のふりして生きてられるね
そんなこと、自分が一番よく分かってる
???
???
本当…何が取り返すだよ。あの時のあの子の顔、見なかったの?
そいつはだんだん可笑しくてたまらないというようにくすくすと笑い始める
???
???
………泣いてた!!泣いてたよ!!!
???
あぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!
???
やめて!!
イチナ
イチナ
……いやぁ!!違うっ…違う…っ…
鏡の中のそいつの笑い声が響く

ぺたりと地べたに力なく座り込んだ
イチナ
イチナ
私は…私は違うの!!あなたを…
あなたを、あんな顔にさせたい訳じゃなかったのに…
お久しぶりなぱくちーです
キララビ人数多くて…今から4回に分けてお送りしていきたいなと思ってます
期待させちゃってすみません
その代わり丁寧に闇を出せていければと思っていますので何卒…!
あとイチナの表情勝手に作っちゃった本当ごめん!!どうしてもあの顔させたかったの…嫌がられたら別のにします
コメントでのネタバレはご遠慮ください

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