一歩アトラクションに入ると、中は…ミリアやゼツに聞いた通り、「鏡張りでキラキラ」していた
おいおい開幕初手で危惧していたことが起きてんぞ
目にも止まらぬ早さで駆け出していく戦隊コンビ
こっちの台詞だよ!!!
ローレンは一瞬何かに怯えたような顔をして、走り出してしまった…………って君も?!
怒涛の速さで消えてったな…残ったのは…
グサッと来たよ今の
えええええそんなあ……
いや確かにそうだけど!!ぐうの音も出ないけど!!
追いかけたい…けど、こっちにもシズネとイヨリが…ど、どうしよう…どうしたら…
選ばなくちゃ、二人をつれていく分やっぱりリスクは上がる…でも、ここに置いていく訳にも…
…二人がそう言うなら…いや、でも…
そう言ってあわててイチナを追いかける
少し息が荒いし頭も痛い…
……これで、園児達のほとんどがバラバラだ…
………あれ?
ピンクの…アメの返事がない
まさか、途中ではぐれてしまったんだろうか?
そういえば、少し前から足音が遠ざかっていったような…
何だ?!誰…?
周りを見渡すが、鏡に映った自分しかいない
…気のせい、だよな
鏡に映った、自分…が…
………喋ってる
そんなこと、あるはずない
だって、だっておれは…!
それを聞きたくなくて、走り出した
だって、その言葉はおれの全部を否定してしまいそうだったから
でももうどこに行けばいいのかも分からなくて
うるさいうるさいうるさい!!!
おれは認めない!!そんなこと!!!
おれは……
いつか絶対、ヒーローになるんだから…
困ったな…完全に見失った
ラナンのやつ、待ってって何度言っても止まりゃしない
さすがにこんなに広い場所に一人は心細い
周りを見渡すけど、あるのは鏡だけ…って
…鏡に映る自分の姿が、だんだん変化していく
どうしよう…どうしようどうしようどうしよう…
今すぐここから逃げ出したい
でも、足は動いてくれなかった
その子の言葉は続く
最後の方は声が小さくなってしまった
やめて…やめて、聞きたくない…
震えていた足を無理やり動かし、急いで踵を返す
頭がぐるぐるして考えがまとまらない
どうして?どうしてこんなこと言われなくちゃいけないの?私、そんなに悪いことした?
その子が放つ一言が、ぐさりと重く突き刺さった
…さっきからしばらく歩いているが…
正直簡単だ
何度か迷ったり鏡にぶつかったりすることもあったけど、それだけ。本当にそれだけ
………?
今視界に映ったそれに違和感を覚える
鏡に映ったのは自分…のはずで
何もおかしいところなんて無いはずだった
鏡に映ったそれは、髪を下ろしていて
手には……血の、ついた…………
それが、ゆらりとこっちを向いた
この光景は見覚えがあった
思い出しては蓋をした、あの記憶
落ち着け、落ち着け落ち着け
全部幻だ、幻覚だ
俺は何も悪いことなんてしてない
そいつの冷たい視線を向ける相手は、いつの間にか自分になっていて
そんなこと、自分が一番よく分かってる
そいつはだんだん可笑しくてたまらないというようにくすくすと笑い始める
鏡の中のそいつの笑い声が響く
ぺたりと地べたに力なく座り込んだ
あなたを、あんな顔にさせたい訳じゃなかったのに…
お久しぶりなぱくちーです
キララビ人数多くて…今から4回に分けてお送りしていきたいなと思ってます
期待させちゃってすみません
その代わり丁寧に闇を出せていければと思っていますので何卒…!
あとイチナの表情勝手に作っちゃった本当ごめん!!どうしてもあの顔させたかったの…嫌がられたら別のにします
コメントでのネタバレはご遠慮ください
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。