第28話

仕打ち
77
2026/03/04 07:14 更新
佐狐と柊のタイマンが白熱している頃、本丸では長谷部と巴形が居間をぐるぐる歩き回っていた。
へし切長谷部
へし切長谷部
心配だ...心配だ...心配だ...心配だ...心配だ...
巴形薙刀
巴形薙刀
心配だ...心配だ...心配だ...心配だ...心配だ...
火車切
火車切
...いや、うるさいんだけど
もふもふが食べやすいようにどら焼きを半分に割ってやりながら、火車切かしゃぎりが二振りに苦情を申し立てると、長谷部がくわっ!と目を向いた。
へし切長谷部
へし切長谷部
火車切貴様!!主の身が心配ではないのか!?
火車切
火車切
そりゃ心配だけど...護衛もいるし大丈夫でしょ
巴形薙刀
巴形薙刀
護衛がいても行った場所はただでさえ不良の巣窟...
巴形薙刀
巴形薙刀
見目麗しく穏やかな主が襲われでもしたらどうする!!
火車切
火車切
そういう発想になる?
巴形薙刀
巴形薙刀
こうしてはおれん、長谷部!俺達も獅子頭連の根城へ行くぞ!!
へし切長谷部
へし切長谷部
ああ巴形!すべては主のために!!
大倶利伽羅
大倶利伽羅
おい待て。無断で転送装置を使った結果
どうなったかまさか一日で忘れた訳じゃないだろうな
政府から大量に送られてきた報告書類に追われたのはつい昨日の話である。
山鳥毛
山鳥毛
我が翼も篭手切もついている。小鳥の身辺は安全だ
姫鶴一文字
姫鶴一文字
...って言いながら山鳥毛も震えてんじゃん
ゴロゴロ転がっている南泉の腹を撫でながら姫鶴が指摘した瞬間に山鳥毛がちゃぶ台に突っ伏した。
山鳥毛
山鳥毛
心配だ...
姫鶴一文字
姫鶴一文字
おれはここにいる方が危ないと思うけどね
軟禁されそう、という姫鶴の論評に、巴形と長谷部を羽交い締めにした広光兄弟も転がった南泉も言い返さなかった。
豊前江
豊前江
主はまだ帰ってこねぇのかよ~~~!
稲葉江
稲葉江
夕餉までには帰ると言っていただろうが。騒ぐな
畳に大の字になってじたばたする豊前を稲葉が諭した。
富田江
富田江
様子を見に行くわけにもいかないしね。ここは我慢だよ豊前
桑名江
桑名江
そもそも主が行く必要ないでしょ。狙われてるならわざわざ敵の前にさらすのは愚の骨頂だしタイマン勝負で体力が削られる以上万全の状態で守れるとは言えないし、篭手切と日光だって万能じゃないんだから会場がいきなり遡行軍の襲撃に遭ったりしたら主を無事に逃がせるとも限らないのに何でそんな事もわからないの?本気で主を守るつもりがあったら連れてかないよね?普通。学校で待ってた方が安全だし主が行っても行かなくても勝敗を直接的に決めるのは試合に参加する当人達の技量であって主じゃないし主がいる事によって勝率が上がるとはとても思えないんだけど。その辺稲葉はどう考えてる?っていうか連れていくなら保護者の許可が必要なのに何で僕らに何の相談もなく決定事項として伝えるの?そもそも真っ暗になるまで女の子外に出してる時点で危機感がないと言わざるを得ないんだけど。そんなんでよく街の盾とか名乗れるよね。守るって前提があるなら何で連れてくんだよ。せめて護衛が十人は必要でしょ。ただでさえ主の身の回りは牽制の殺り合いが凄いのに更に激化したらどうしてくれるんだろう?篭手切と日光は確かに強いけど人前だと抜刀できないから戦闘手段だって限られてるのに。拳で対処できない敵が主を狙って押し掛けてきたら肉壁になって守る覚悟くらいはあるんだよね?そうじゃなきゃ連れていくわけないもんね
倶利伽羅江
倶利伽羅江
相当参ってるね桑名君
桑名はその明晰な頭脳で、タイマンへの同行がいかにあなたの結にとってデメリットの塊なのかを糾弾し始めた。倶利伽羅は松井の膝の上で若干引いている。
倶利伽羅江
倶利伽羅江
ねぇ松井君。そろそろ離してくれない?
松井江
松井江
ダメだ。今倶利伽羅江を離したら圧倒的な癒し不足で吐血してしまう
倶利伽羅江
倶利伽羅江
怖っ
本丸がそんな惨状(?)になっているとは露知らず、あなたの結は目の前のタイマンを真剣に見ていた。
(なまえ)
あなた
柊さんって強いんだね。当たり前だけど
蘇枋隼飛
蘇枋隼飛
そりゃあ、ボウフウリン四天王の一人だもん。
うちの街じゃ強くて有名なんだよ?
(なまえ)
あなた
でも強いなら最初からやってればよかったんじゃ...
桜遥
桜遥
だよな!もったいぶりやがって...
蘇枋隼飛
蘇枋隼飛
まぁ、柊さんが強いのは元からとして...
蘇枋隼飛
蘇枋隼飛
桜君とあなたの結ちゃんの激が効いたと思うんだよね
(なまえ)
あなた
激飛ばしたつもりはないけど...
むしろ嫌味言い過ぎたかな、くらいに反省している。
その時、柊の背後を取った佐狐が拳を構えて突進しようとして、柊に腹を蹴り飛ばされた。
佐狐浩太
佐狐浩太
がっ...
(なまえ)
あなた
うわぁ
佐狐浩太
佐狐浩太
負けるわけない...
佐狐浩太
佐狐浩太
人の下についたあんたに、負けるわけない!!
もはや鬼のような形相で柊に殴りかかろうとした佐狐の拳を、柊が大きな手で包み込むように受け止めた。
柊登馬
柊登馬
佐狐...
柊登馬
柊登馬
期待に応えてやれなくて、すまなかった
その言葉を聞いた佐狐の表情が歪んだのとほぼ同時に、柊渾身のボディブローが決まった。
すがるように柊のシャツを掴んだ佐狐の手から力が抜けて、やがて力なくステージに倒れ伏した。
(なまえ)
あなた
日光、回収行くよ
日光一文字
日光一文字
お前はまた面倒事に首を突っ込むんだな...
佐狐の惨敗にざわつき出した獅子頭連側の観客席の喧騒を聞きながらあなたの結が立ち上がり、ステージに上がる。
(なまえ)
あなた
柊さん。私が下ろしますよ
柊登馬
柊登馬
いや、オレが...
日光一文字
日光一文字
お嬢のワガママだ。悪いが聞き入れてくれ
眉間を押さえて言った日光から自分と同じ種類の匂いを感じ取ったらしい柊が、
柊登馬
柊登馬
ご苦労様です
と謎の労りを嘯いてスペースを開けた。開けてもらったスペースに入って佐狐を俵担ぎにしてステージを降りる。
柊登馬
柊登馬
重くねぇか?
(なまえ)
あなた
全然軽いですよ。ちゃんと食べてるのか心配になりますね
あなたの結の「軽い」の前には「酔い潰れた次郎太刀に比べれば」という注釈が入る。
(なまえ)
あなた
よっこいせ
人目につかない場所にあなたの結が佐狐を寝かせ、日光が自分の上着をかけてやる。
日光一文字
日光一文字
まだ冷え込むからな。風邪を引いてしまう
(なまえ)
あなた
何の言い訳?
突っ込んでから、隣で佐狐を見ている柊にちらりと視線を寄越して口を開いた。
(なまえ)
あなた
何があったかは聞かないでおきます
柊登馬
柊登馬
...いいのか?
(なまえ)
あなた
ええ。生きてるんだし言えない事の百や二百はあって当然だと思います
柊登馬
柊登馬
いや、そんなにねぇけど
(なまえ)
あなた
私調べなんで参考にしなくて大丈夫ですよ
緊張が弛緩してきたところに、下駄の音が割り込んできた。
十亀条
十亀条
いやーありがとうねぇ、あなたの結ちゃん
十亀条
十亀条
そんなに丁寧に扱うほどのもんじゃないのに...
言いながら佐狐のスカジャンを剥ごうとした十亀の手を掴む。
十亀条
十亀条
...なぁにぃ?
(なまえ)
あなた
彼の処遇はすべてが終わった後でもいいんじゃないですか?
(なまえ)
あなた
人生、何が起こるかなんてわかりませんし
十亀条
十亀条
それぇ...どういう意味ぃ?
(なまえ)
あなた
さぁ?こんな簡単な謎かけもわからないようだから
獅子頭連はここまで落ちたんだと思いますよ
十亀条
十亀条
言ってくれるねぇ。でもイラつかないのは何でだろぉ?
(なまえ)
あなた
自覚があるんじゃないですか?負けた仲間を使い古した
道具みたいに捨てるその思考回路が歪んでるって
(なまえ)
あなた
...運営状況が歪みまくってるから、牙が抜けたんじゃないですか?
立ち上がってくるりと踵を返し、日光を連れて観客席に戻る。後ろから柊もついてきた。
十亀の視線が、刺すようにあなたの結の背中を見送っていた。
四日間修行(?)して続ける事に決めました。お騒がせして申し訳ありませんでした。引き続き輝夜を応援してくださると嬉しかったりします。

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