初めての出来事だということもあり、あまりの緊張に心だけでは対処しきれず身体が反応していた。
やっと目を開けられたのは体感3秒後。そして私の手の掌はすっかり手汗で滑りが良くなっていた。
すかさず1折しているのを隠すためにクリップで留めているスカートの裾で拭く。
勢いと共に瞑った目は直ぐには天の眩しさには対応できず、私の眼が彼女を捉えるのには更に2秒は経っていた。
そこにいた少女は、よく見るJKとは少し変わっており、顔の前には1枚の紙が髪の上からテープで貼られている。本来顔は見えない筈だが、夢に満ち溢れた表情をしているのを直感した。
断られると思っていた私。そして喉で準備をしていた言葉は相手の返事すらも脳で理解する間もなく発せられた。
だが、それは全くの見当違いで目の前には眩しすぎる笑顔が紙の隙間から覗いて見え、OKを出されたことを実感する。
もはや彼女の言葉など耳に届いていない。
あーだこーだ足りない脳で次の台詞を考える。
だがそれも全くの無意味だ。
少しの間の静寂を打ち破ったのはgnmsさんの方だった。
名前も知らない相手を仲間にするなんてとても今更だが、自分から先に挨拶しておくべきだったと後悔する。
まさかの先輩。しかも寮学生。1年と2年の寮は同じ塔なため、普段生活していれば会うこともあっただろうが、今の今までこの人を見たことがなかったのは入学してから初めての夏休みをまだ迎えていなかったからだろう。
ていうか、先輩なら敬語で話してて正解だった。
でも、さっき失礼なことを言ってしまった気もする。
そんなことを気にしていても仕方がない。私は早く師匠を見つけないと行けないんだから。
それに、gnmsさんなら許してくれるはず、、!
またもや強行突破で自分の意見を押し通す。仕方がない。時間がないのだから。
そう言いポケットから雑に取り出し、彼女の手のひらに押し付けるように渡す。
困惑しながらも咄嗟に握った自身の手にあるものを確認しようとするgnmsさんを横目に、歩き出す。
次の目的地は懐かしながらの神社だ。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!