第11話

#10
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2025/06/27 14:49 更新

コウメイと追いかけっこをしているとき、あなたの一人称は高校生の時の鬼ごっこを思い出していた。


制限時間、残り12分にして、あと残るはあなたの一人称だけとなった。
開始から18分で、あなたの一人称以外の10人近くを捕まえたというのか、と
驚きと恐怖心を抱いたのを覚えている。


同級生「がんばれ、あなたの名字!お前が逃げ切ってくれれば俺たちの勝ちだぞ!」


『そんな無茶な、!相手はコウメイだぞ!?』


同級生「あなたの名字ならいける、頑張れ!!」


諸伏「土地勘は君の方があるんですから、少々有利でしょう?」


『うわ、いつのまにっ.....!』


気づいたら背後にいて、捕まりそうになる。反射神経のよさのおかげか、
かろうじてタッチはされずに済む。

転がるようによけたため、そのまま斜面を少し転がり落ちる。
多少痛かったが、コウメイとの距離をとることはできた。


『土地勘があるからって、勝てるとは限らんけどね』


諸伏「12分、楽しませてくださいよ?」


『なにその圧倒的強キャラみたいな台詞』


クスッと笑いながら冗談を言い合いつつも本気で鬼ごっこは継続される。
何度か捕まりかけるものの、山にはあなたの一人称の方が慣れていたため
コウメイは苦戦するような動きをしたり、予想外な抜け道などを使って
なんとかかわし続ける。


10分も続けて走っていると、そろそろ体力的にも厳しい感じになってきた。

『はぁ、はぁ、そろそろ、諦めたら、どう、だい?』


諸伏「あと、2分、でしょう?諦め、ません、よ」


互いに息が上がりながらも、足を止めることはない。


『あと、2分、だけ、ねぇ。絶対に、逃げ切る、から』


諸伏「あと、2分、も、あります、よ?」


『物、は、考えよう、だよ』



120、119、118と自分の中でカウントダウンをしながら逃げ続ける。
体力が尽きかけて、あなたの一人称の速度も落ちていたが、それはコウメイも同じようで
両者とも速度を落としながらも逃げ、追いかけ、を続ける。


60、59、58
残り1分を切ったあたりで、より複雑な地形をしたところに足を踏み入れる。
体力が底を尽きたに等しい今、地の利を活用できる方が圧倒的に有利だ。


30,29、28


『あと、30秒、だよ?』


諸伏「言われ、なくとも、わかって、います」







10

よし、残り10秒




このままいけば




大丈夫





間違いなく






勝て.....






『うわっ、』


諸伏「最後の一人、確保、です」


残り5秒となったその時、あなたの一人称は、足を滑らせて転んでしまったのだ。


『くそ、ここで踏み外しさえしなければ......!!!』


同級生「ナイスファイト!」


同級生「十分よくやったよ、あなたの名字は」



















そっか、あそこに行けば、追い詰められてもまだ、勝機がある!!

























『縄文のビーナス、安産祈願を願って作られたって説が有名だけど、実は迫りくる敵に対峙する守護神だったなんて説もあるんだ。今からその説が正しかったかどうかを立証しようか。この状態から、あなたの一人称が逃げ切ることで、ね?』



あなたの一人称がそういって少し動くと、コウメイはそれを止めようと足を動かす。

それと全く同時に、コウメイは足を滑らせ、地べたに手を付けた。


『昔のあなたの一人称の敗因で、負ける気分はどうだい?コウメイ名探偵


諸伏「流石ですね、としか、いいようがありません」


『それじゃ』


コウメイが起き上がる前に颯爽と逃げだす。
コウメイは諦めたのか、あるいは色々と考え事でもしていたのか、
これ以上あなたの一人称を追いかけてくることはなかった。














『それにしても、以心伝心、か』


そんなことができるほどに親しい友人がいたんだなって、少しうれしくなった。























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