「 次期国王を
ライ・イナミ・ヴァン・ディティカ
次期王妃を
あなたの下の名前 ( カタカナ )・ド・アストレアに定める 」
陛下の遺した言葉通り、私はライの隣に
ならんで今日、この国の王妃となる。
湧き上がる歓声の中、こうして私たちは
王冠とティアラを授かった。
この先の未来を紡ぐ者たちとして ─────。
・ ・ ・
二年後……
西国王城で開催された大規模な夜会に
他国からも数多くの人々が集まり、大広間は
これまででいちばん賑やかで、ごった返して
いるくらいだった。
だって今日は、西国の国王陛下である
ライの " 20歳 " の誕生日だから。
戴冠式の日からたったの2年で、西国
ディティカはこれまで以上に発展した国
となった。
東国との交流が深まったのもそのひとつ、
そして ─────
廃れ、奥へと追いやられつつあった魔術や
妖術を復旧し、今ではリリィが講師として
王都でも魔術や妖術の知識を広めていた。
なりたい夢を見つけた、と目を輝かせる
リリィとは、今では定期的にお茶を交わす
仲だ。
音楽に合わせてステップを取って、気恥ず
かしくなっては目を逸らす。
でも目を逸らせば腰を引かれ、距離が縮まって。
私を困らせるライを少し睨めば、ライは楽し
そうに笑っていた。
そうして、生誕祝賀夜会は暗い空に熱を
残したまま終わっていく。
人々が帰り、夜の静寂に包まれたバルコニー
から空を眺めながら、私はライの隣に並んだ。
20歳、それは輪廻の代償を払う歳。
でも今、ライは隣で私へ笑いかけてくれて
いる。
それが何よりも嬉しくて、幸せで。
満点の星空の下、小指を交わして笑い合う
私たちの話を、過去の私にしたら信じて
くれるだろうか。
また、怖くなって逃げ出すかもしれない。
挫けて泣いてしまうかもしれない。
でも、その度にきっと知るだろう。
この先の未来は、誰にも分からない。
分からないからこそ、私たちは何度だって
迷い、悩み、間違えながら選んでいくんだって。
───── これは、私の人生という
長い長いひとつの物語なのだから。
───── 終章.『 未来 』
嫌われ悪女様の二度目の人生.Fin














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!