私は、部活に戻ってからも、大和の言葉が忘れられないでいた。
結局、大和は何を伝えたかったんだろう…
マネージャーの仕事をしながら、そのことを考えていると…
いつの間にか、部活終了の時間になっていた。
片付けを終え、私は弦と一緒に帰った。
…どうしよう。
大和にさっき言われたことについて、誰かに言いたくてたまらない。
弦に言っちゃおっかな…
あ、やっぱりこの人私のエスパーだわ、うん。
「でもそっか~、まさかの大和がか~」と弦が呟く。
横を歩く弦の顔は、夕日に照らされてキラキラと光っている。
やばい、見惚れそう…
少し聞きたくなった。
弦は、私のことをどう思ってるんだろう…
そう言って、弦が無邪気に笑う。
ああ、弦は私のことまでちゃんと見ててくれたんだ。
こんなの、諦められるわけない。
駄目だ、もう抑えきれない。
弦の背後に傾く夕日は、どこか切ない表情をしていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。