第27話

青春ロマンス:gn
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2026/04/16 23:34 更新

▫️注意▫️

自転車の二人乗りは道路交通法で禁止されています!
フィクションとしてお楽しみください。





















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夏休みの図書室は、冷房が効きすぎている。
体にまとわりついた汗が急激に冷え、寒いと思うほど。




期末テストで解答欄を全て1個ずらしで書いてしまったが故に赤点だった数学の補習を終え、ちょっと涼んでから帰ろうと図書室へ来たけど・・・とんだ誤算だった。


あなた
・・・なんで補習終わりに勉強してるの


机に突っ伏しながら、向かいの席に座る幼なじみに問いかけた。

すると言ちゃんはすました顔で参考書を閉じる。

gn
勉強じゃない。
知的好奇心の延長です

鼻につくインテリキャラみたいに、かけているメガネをクイッと上げ直しながら言う。

あなた
言い方がウザい
gn
褒め言葉として受け取っておくよ


そんな風だから先生に目を付けられて、本来出なくてもいい補習に出ることになるんだぞと心の中でつっこむ。


gn
それはそれとして、


荷物をまとめ、立ち上がりリュックを背負う。


gn
あなた、このあと暇?
あなた
え、誘い方雑すぎない?
gn
じゃあ訂正。
このまままっすぐ帰るには惜しいくらいの天気なので、少し寄り道しませんか?
あなた
ふっ・・・
急に丁寧じゃん
gn
大切なのは知性と雰囲気だからね
あなた
言ちゃんごめん、
さすがにちょっとわからないわ


顔を見合せ、小さく笑い合う。


そうは言いつつ、補習で使った頭をスッキリさせたいのもあり、言ちゃんの誘いにのることにした。













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外へ出ると陽が沈みかけてもなお暑さは衰えておらず、冷えた身体はたちまち熱を帯びていく。


あなた
え、なんで自転車置き場?
gn
海行くから
あなた
は?


言葉の意味が理解できず、一瞬言葉を失う。

沈黙の隙間を縫うようにセミの声が響くと、言ちゃんは何食わぬ顔で続ける。

gn
高校最後の夏、
青春っぽいことしなきゃ
あなた
えーと・・・
距離の概念ありますか?
gn
うん、だから“自転車”
あなた
そういう問題じゃないのよ


抗議する間もなく、言ちゃんは自分の自転車の荷台を軽く叩いた。
gn
はい、乗って
あなた
え?!二人乗り?
gn
お?倫理観気にしちゃう感じ?
あなた
そりゃそうでしょう
gn
じゃあ、徒歩で行く?
あなた
それは無理だけど・・・
gn
それなら決まりだね



「はいはい、乗ってくださーい」と、自転車に跨る言ちゃんに半ば強引に荷台へ座らされた。

gn
落ちないでよ
あなた
いや、落とさないでよ!
gn
善処します


言ちゃんの顔は見えないのに、声色からニヤついた表情が容易に想像できた。

gn
じゃあ、しゅっぱ〜つ


ペダルを踏み込むとぐっと体が後ろへ引かれ、慌てて言ちゃんのシャツを掴んだ。

あなた
ちょっ、怖いんですけど?!


私の慌てる様が面白かったのか、ふっと小さく笑う言ちゃん。

gn
ほら、ちゃんと掴まってくださーい




その余裕さが悔しくて後ろからブツブツ文句を言うけど、言ちゃんの肩が少し揺れるたび、掴んだ背中越しに伝わる体温と匂いに不思議と胸が高鳴っていた。








どちらともなく笑いだして、じゃれ合うみたいな空気のまま夏の風を切って走り出す。








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海に着く頃には、水平線の向こうに太陽が沈み、焼けた空と夜の色が静かに混ざりはじめていた。


自転車を降りると、潮を含んだ風がふわりと頬を撫で、昼間の熱を残した砂浜の温かさが、スニーカー越しにもじんわりと伝わってくる。


gn
僕たち、
ちゃんと青春してるじゃん


隣で言ちゃんが満足げに笑う。

あなた
・・・誰のせいだと思ってるの
gn
僕の“おかげ”でしょ


得意げに胸を張るその横顔が、沈みかけた夕焼けに照らされて何故か眩しかった。


gn
向こうに座って飲もうか

腰掛けた堤防は、砂浜と同じように昼間の熱を残していてコンクリートから薄い服越しに温かさが伝わる。




言ちゃんはレジ袋から瓶サイダーを取り出す。

途中「青春には瓶のサイダーが必要だ!」なんて言ちゃんが言うから、呆れながらスーパーに寄り道して買ったものだ。



そしてお財布から10円玉を抜き取り、器用に王冠を抜くと、ぱしゅっと爽やかな音を立てて泡が弾けた。

あなた
すごっ、10円玉で開けられるんだ!
gn
すごいっしょ


関心しながら差し出された瓶を受け取ると、微かに残る冷たさが指先に滲んだ。

gn
はい、あなたの分
あなた
ありがとう

瓶の口を傾けると、しゅわりと弾ける炭酸が舌を刺して、少しぬるくなったサイダーが喉の奥へ流れていく。


あなた
ほんとに海じゃん



思わず零れた声は、波音に半分さらわれていく。


目の前には、橙から群青へ移り変わる空をそのまま溶かし込んだようなグラデーションが波打つ水面にきらきらと揺れている。




潮を含んだ風が吹き抜けるたび、火照った頬と汗ばんだ首筋が夜の気配を運んでくる気がした。

波は絶えず寄せては返し、私たち以外誰もいない浜辺が少しずつ夜の闇に溶けていく。



しばらく黙って海を眺めていた言ちゃんが、ふいに瓶を揺らしながら口を開いた。



gn
そういえば、
あなた
ん?
gn
東京の大学、受けるつもりなんだ


波音に紛れそうなくらいの声だったから、一瞬、何を言われたのかがわからなかった。

あなた
・・・え?
gn
第一志望、東京大学にした
あなた
と・・・う、きょう・・・

胸の奥が、すうっと冷えていく。

gn
受かったら、上京する
あなた
・・・聞いてない
gn
じゃあ、今言った
あなた
そういう問題じゃなくない?


思ったより強い声が出て、自分で驚く。

言ちゃんは目を丸くし、困ったように笑っている。


gn
・・・怒ってる?
あなた
怒ってない!
gn
その台詞、
怒ってる人しか使わないよ
あなた
うるさい!


俯くと、膝の上に置いた瓶の中でサイダーの炭酸がまだ小さく弾けていた。


言ちゃんは、静かに喋り出す。


gn
行きたいんだよね
gn
今よりもっと、刺激がある場所に


言ちゃんの方を見ると横顔だけど、それでもわかる迷いのない目だった。

きっともう、ここじゃないどこかへ行く自分をちゃんと想像できている目だ。




そんな言ちゃんはやっぱり凄いと思うし、幼なじみとして誇らしかった。

その分、どうしようもなく寂しくもなった。


あなた
そっか・・・

それしか言えなかった。


すると言ちゃんの視線が、私の視線とぶつかる。


gn
それで?
あなた
な、なに?
gn
あなたは来ないの?
あなた
・・・はい?
gn
東京



言ちゃんは、当たり前の事を言うように続ける。
gn
あなたの進路の選択肢にあるでしょ?
あなた
いやいやいやいや
gn
いやいやじゃなくってさ


冗談ぽい事を言ってるのに、顔は本気だ。
あなた
そんな簡単に進路決めないでよ
gn
決めてるんじゃなくて、提案です
あなた
それにしちゃ提案の圧が強くない?


言ちゃんの口角がちょっと上がるけど、すぐに真面目な顔になる。

gn
まぁ、正直に言うと
gn
離れたくないなって


波の音が、一瞬だけ大きく聞こえた気がした。

あなた
ん・・・?

どういうこと?と首を傾げる私から、言ちゃんは視線を逸らさない。

gn
好きだから



あまりにもサラッと言うから、これが告白と気付くまで時間がかかった。
gn
あなたと離れるなんて非効率的すぎるもん
あなた
知らないよそんな効率
gn
じゃあ感情論で言うね


言ちゃんは体ごとこちらへ向き直し、改めて私を見る。
gn
あなたと離れたくないから、
僕と一緒に東大目指そう
あなた
・・・・・・



告白って、もっとロマンチックなものだと思ってた。


ううん、シチュエーションは最高。
なのにどうして面白くなっちゃうんだろう?

あなた
これ、告白なわけ?
gn
少なくとも、僕の中では
あなた
なるほど

波の音が一定のリズムで聞こえてきて、いよいよ太陽が水平線へと消えていった。


言ちゃんは少しだけはにかみながら、
gn
僕らなら絶対合格出来るよ


と、柔らかく言う。

あなた
なによ、それ・・・
あなた
ほんっとにそういうとこ・・・



「好き」と言いかけて、私はやめた。


gn
・・・なに?


首を横に振り「なんでもない」と小さく呟く。

あなた
そこまで言うなら、
私も第一志望東京大学そこにしよっかな



志望校として悩んでいたのは事実だし、キッカケを貰えた気がした。


返事を聞いた瞬間、言ちゃんは満面の笑みを浮かべて、それからすぐにいつもの顔に戻そうとして失敗する。



あなた
ちょっと、なにその顔
gn
いや、思ったより嬉しくて




満点の星空と満月が私たちを照らし出す。


どちらともなく繋いだ手は、お互いの汗が混じり変な感覚で・・・なんだかこそばゆい。







私たちの青春はまだはじまったばかりなのだ。


















▫️あとがき▫️

危うく没作品になりかけたもの。
何とか書ききれたぁ・・・


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