扉の外に出てみると、夜の闇の中で発光しているかのようにも見える美しい男性たちが佇んでいる。
Vさんが声をあげるといっせいに彼らはこちらを向いて私を見るので、少し不安な気持ちになった。
思わず私のすぐ左隣に立っていたナムジュナのジャケットの袖を掴む。
彼は少し驚いた風に私を見て、どこか満足そうににこっと笑う。
ひときわ肌が白く綺麗なSUGAさん?がボソッと呟いた声は、元気で明るそうなj-hopeさん(だったよね?)の大きな声にかき消された。
j-hopeさんはニヤニヤ笑いながら近づいてきて、とても楽しそうにナムジュナの肩をバシバシ叩いている。
その横で、Jinさんが話しかけてくれた。
さっきVさんとJIMINさんに仲良くなりたいから、と聞かされたけど実際はどうなのだろう。
語尾にハートがつくような声で、ウインクまでもらってしまった。
たしかこの人、最年長だよね…?
こういう場に慣れているからこそのリラックスした雰囲気なのかと思っていたが、どうやらそれは違っていて、普段からこんな感じらしい。
初対面の人達(それもアイドル)に囲まれて緊張していた私をJIMINさんが気にかけてくれる。
優しくて気遣い上手なんだろうな。
Vさんがもぐもぐと口を動かしながら片手を差し出す。その手には、ここに来る途中でもらったのだろうか、いつのまにか美味しそうなサンドイッチが握られている。
呆れた顔でSUGAさんがVさんの手を優しく下ろす。
きっと、Vさんはみんなにフランクな人なのだろう。
のんびりしているように見えたVさんにどんどん話を進められて、良い印象を持ってもらえているのだと嬉しいが若干困惑してしまう。
j-hopeさんが優しい笑顔で言ってくれる。下がった目尻ときゅっと上がった口角が暗い中でもはっきり見えて、笑顔が似合う人だなあと思った。
BTSの人達は個性豊かだけどみんなとても優しそうで、私だって彼らみたいな人達とは仲良くなりたいし、友達になりたい。
親しくなれた人が増えたのが嬉しくて笑顔で言うと、ぱっとテヒョンが顔を輝かせる。
流れるように本名を告げられる。
他のメンバー、というかずっと真顔だったSUGAさん…ユンギにもそう言われると思っておらず内心驚いていると、
次々と名前を教えてもらう。名前を覚えるのは得意な方だがなにぶん人数が多いので、心の中で何度か反復して顔と一致させた。
不思議そうなテヒョンが声をかけた先にいたのは、まだ本名を教えてもらっていないJUNG KOOKさん。
ワイワイしていた私達を少し離れて眺めていたのか、ハッとした様子で私と向き合う。
彼の大きな黒い瞳の中は、まるで星空のように綺麗で吸い込まれそうだ。
視線が重なってから一瞬目を逸らされた後、またすぐ目を合わせて彼は早口に言う。私の気のせいだろうか、表情が硬い。
唯一の同い年だから、メンバーの中では一番呼び捨てもタメ口もやりやすいのだけど。反応を見るに、分かりやすく好意を持たれているわけではなさそうだから、近づきすぎないようにしようと考えた。
ずっと黙っていたナムジュナが近寄ってくる。私の正面に立って、左耳に顔を寄せた。
さっき踊っていた時もこれくらい近かったが、今は周りにメンバーがいる。この距離感を間近で人に見られる恥ずかしさで、きっとまた私の顔は赤くなっている。
周りに立っているメンバー達に聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな、あの低い魅力的な声でぼそっと呟かれる。ヒューという誰かの口笛が遠く聞こえた。
顔を離されたと思ったら今度は至近距離で見つめられる。
いったい、ナムジュナは私に何を求めているんだろう…?
なんとかそう返してみたものの、ナムジュナはこちらを見るばかりで何も言わない。何を考えているのか、表情も読めなかった。
なんでこんな、言い訳みたいになってしまうんだろう。どうして彼からえもいえぬ圧を感じるのだろうか。
付き合っているわけでもないのに。
なんだか彼が怒っているような気がし始めて、視線に耐えられず目を落とした先にあった手を思わず掴んでしまう。
ナムジュナを見上げる。
表情は変わらないが、眉だけぴくりと動いたのが分かった。
だけど、私ばかり彼の機嫌取りをしているようで、ひと泡吹かせたいといういたずら心が湧いてくる。それに、ずっとこっちがドキドキさせられるばかりなのも少し気に食わない。
背を伸ばして、さっきされたように彼の耳元に口を寄せた。小声で呟く。
体を離して彼を見ると、なぜか満足気に見える。
なんでそんな顔…?
内心戸惑っていると、ある声が飛んできた。




















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!