第4話

幸せ
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2025/01/06 15:19 更新
15巻、ファンブックネタバレ注意です⚠️
親戚
可哀想に。
まだ2人とも子供なのに
同時に両親を亡くすなんて。
親戚
全くだ。あの子らの身元は
どうしたもんか…。あ!美代さんの
とこはどうだい?直樹君が独り立ちして
からもう随分経つし、そろそろ
子供が恋しいんじゃ……
親戚
ほほ、ご冗談を。
うちに子供を養う余裕なんて
ありませんよ。
親戚
そりゃあ、そうだな。
…はあ。にしてもなんというか
……二人だけ残っちまうなんてなあ。
親戚
本当ですわね。どうせ
死ぬなら……____
「家族そろって死んだ方が
あの子達にとって幸せだったでしょうね。」

それに近い言葉を、母方の親族が心底哀れんだ
声色で喋ったところで咄嗟に足元に控える弟の
耳を塞いだ。


葬式の最中に流石に無神経が過ぎる。
押し付け合いなんてしなくていい、
貴方達には絶対に頼らないから。


そんな反論が喉元まで込み上げてきたが
これが先決すべき行動だと思ったから蔦子は黙っていた。
蔦子
寝る前にこうすると
いい夢が見られるのよ!
突然耳を塞がれて、不思議そうな顔を
浮かべる義勇に思いつきの出鱈目を教えると
幼い弟は「まだ眠たくない。」とそっぽを向く。

言葉を素直に受け取る、可愛い弟の態度に
思わず頬が緩んだが、空っぽのままの胸の奥では
親戚たちの会話が重く反芻している。
蔦子
(残されるのは可哀想…。)
悔しいけれど思うところはある。

そうだ、ある日突然家族に会えなくなるのは
悲しい。今だって凄く寂しい。

両親が亡くなった日は声が枯れるまでわんわん
泣いたし、今朝も弟の見ていないところで
密かに嗚咽を漏らした。

これからだって父と母のいない日々が続くのだと
思えば、不安で気絶してしまいそうだ。
蔦子
(でも…私にはこの子がいる。)
不安でいっぱいだけど、この子と二人で
生きていく未来は光に満ち溢れてるように思える。

だって、こんなに素直で優しくて可愛い子と
過ごす毎日が素敵じゃない筈が無い。
蔦子
(私達は不幸なんかじゃない。)
父と母が繋いでくれた命を精一杯
生きることの一体何が悪いのというだろうか。
蔦子
(私達は支え合って、
幸せに生きていくんだ。)
耳が痛くなったのか、拘束を解こうと
姉の甲に触れてきた小さな手がじんわりと温かくて
不意に涙が込み上げてきた。

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