15巻、ファンブックネタバレ注意です⚠️
「家族そろって死んだ方が
あの子達にとって幸せだったでしょうね。」
それに近い言葉を、母方の親族が心底哀れんだ
声色で喋ったところで咄嗟に足元に控える弟の
耳を塞いだ。
葬式の最中に流石に無神経が過ぎる。
押し付け合いなんてしなくていい、
貴方達には絶対に頼らないから。
そんな反論が喉元まで込み上げてきたが
これが先決すべき行動だと思ったから蔦子は黙っていた。
突然耳を塞がれて、不思議そうな顔を
浮かべる義勇に思いつきの出鱈目を教えると
幼い弟は「まだ眠たくない。」とそっぽを向く。
言葉を素直に受け取る、可愛い弟の態度に
思わず頬が緩んだが、空っぽのままの胸の奥では
親戚たちの会話が重く反芻している。
悔しいけれど思うところはある。
そうだ、ある日突然家族に会えなくなるのは
悲しい。今だって凄く寂しい。
両親が亡くなった日は声が枯れるまでわんわん
泣いたし、今朝も弟の見ていないところで
密かに嗚咽を漏らした。
これからだって父と母のいない日々が続くのだと
思えば、不安で気絶してしまいそうだ。
不安でいっぱいだけど、この子と二人で
生きていく未来は光に満ち溢れてるように思える。
だって、こんなに素直で優しくて可愛い子と
過ごす毎日が素敵じゃない筈が無い。
父と母が繋いでくれた命を精一杯
生きることの一体何が悪いのというだろうか。
耳が痛くなったのか、拘束を解こうと
姉の甲に触れてきた小さな手がじんわりと温かくて
不意に涙が込み上げてきた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!