その日の夜、女子部屋では同じ班の6人でババ抜きをしていた。
ポーカーフェイスの苦手な私は案の定残りの2人に残ってしまった。
「やったーーー!」
あなた「あ〜…」
負けた。
するとある1人が突然変なことを言い出した。
「罰ゲームどうする?」
え?
いやいや、そんなの聞いてない。
一発ギャグとか持ってないよ…
結菜「誰かに電話するとかは?」
ん?
結菜?
みんなもいいねーと盛り上がっている。
あなた「いや、だいたい電話する相手なんていないよ」
結菜「いるじゃん。木全君」
あなた「無理だよ〜…」
「なになに?」
「あなたちゃんの好きな人?」
みんなの盛り上がりに負けて私は電話することになった。
結菜「罰ゲームって言っちゃダメだよ。あくまで話したくなったという体で」
木全君とのトーク画面を開く。
どうしよう。
上手く話せるかな…
そう考えて通話ボタンを押すのを渋っていると結菜が隣から押してしまった。
あなた「ちょっ結菜!」
翔也「もしもし」
あなた「あっもしもし。今大丈夫?」
翔也「大丈夫だよ。どうしたの?」
あなた「いや、ちょっと話したくなって…」
翔也「そうなの笑 僕も話したかった」
木全君は不意打ちですごく嬉しいことを言ってくる。
だから天然たらしなんだ。
そこからは木全君の面白い話を聞いたり、今日のことや明日のことを話したりしたけど、ドキドキしすぎてあまり覚えていない。
まさか初めての電話がこんなに急に来るなんて。
恥ずかしくて部屋の端っこでしていた。
途中チラッとみんなの方を見たらすごくニヤニヤしていたことだけは覚えている。
6、7分くらい話して電話を切った。
顔が熱いままみんなの所へ戻った。
結菜「随分楽しそうだったね」
みんなからの冷やかしに恥ずかしくなったが、嬉しくもなった。
初めての電話は罰ゲームだったけど、修学旅行ならではのいい思い出だ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。