第43話

42話
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2023/07/01 14:27
あれからかなりの月日が経った。

まだ高校2年生の子供だった私は今はもうギリギリ大人と呼べる年になっている。
青い監獄ブルーロックを出てからというもの、私はお父さんの看病や、部活動、学業などで忙しい日々を送っていた。

約束通り玲王とはあれから会ってもいないし、連絡もとっていないが、
凪くんとは未だに頻繁に連絡を取り合っている。

たまに玲王の事や、玲王との写真などを送ってくれるのでそれのおかげで玲王不足になって死んでしまうこともなかった。本当に有難い、、、

もちろん寂しいけれど、玲王も夢の為に頑張っているんだと思うと自然と私も頑張ろうと思えた。

でも、どこかで不安に思っている自分がいた。夢を叶えたら玲王はそのまま私なんかでは無く、
別の美人な女の人と結婚してしまうのでは無いか、

いや、もしかしたらもう既になっているのでは無いかと時々考える。



実は、私は今玲王がどんな状況なのか知らないのだ。

ここ数年、本当に忙しくてテレビや、ネットニュースを見る暇が無かった、


というのは建前で、

本当は私から玲王の、青い監獄ブルーロックの情報を遮断していた。

理由はさっきも言った通りで、私の元に来ていないのに既に玲王が凪くんと世界一になっていたとしたら私は"見捨てられた"ということになる。

もし、本当にそうなっていたら、と怖くて青い監獄ブルーロックの情報を追っていなかった。
(なまえ)
あなた
はーっ、寒、、
今の季節は冬。はーっと息を吐くと空気中で白く曇った。

そして、今年は五年に一度のW杯がある年だ。

丁度、数日前に終わったところだろうか、もちろん私は見ていない。結果を知るのは怖いから。

話は変わるが、
大学の帰り道、私は大きな交差点を通らなければいけない。

そうしないと駅まで辿り着けないのだ。

だから仕方なく今日もその交差点の信号が青に変わるのを待つ。
ぼーっと夜空を見上げて、その場に立ち尽くす。


そして歩行者用信号は青になり、歩き出そうと一歩を踏み出す。




ーその瞬間

神様のイジワルなのか、何なのか、ビルの一角にある無駄に大きいモニター映像が切り変わる。

丁度、私が歩き出そうとしたその瞬間に。

そして嫌でも耳に入ってきてしまうアナウンスの声。
ーーー凪選手とのパス交換、そして御影選手のスーパーゴール!!!
日本、いや、世界を変えるゴールと言えるでしょう!
なぜならこのラストゴールで日本は初のW杯の優勝を勝ち取ることになったからです!!


そんな前代未聞のゴールを作り出したこの2人の名を必ず覚えて下さい!

日本をW杯優勝に導いたのは間違いなく、この、

御影 玲王と、 凪 誠志郎 だー!!!ーーー
(なまえ)
あなた
W杯、優勝、!?!?
夢かと思ってしまった。日本がW杯優勝を成し遂げている、数年前までベスト16止まりだったあの"日本"が。

そして、玲王と凪くんが世界一になっている、。

玲王なら叶えるとは思っていたけれど早すぎる、と
流石に驚いてしまった。

驚きと感動で何も考えられなくなる。

自然と帰路を辿っていた足も止まっていた。
(なまえ)
あなた
わっ、!
青信号になっている信号待ちの群衆は一斉に歩き出す。
そんな中で1人立ち止まっているものだから、人にぶつかられ、バランスを崩してしまう。
(なまえ)
あなた
いたっ、
? お姉さん、大丈夫?
そう言われ、誰かに手を差し伸べられる。

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