彼と初めて出会ったのは一昨年の春頃
元々、先に顔を出していたのは僕の方だった為、彼からは先輩扱いされることが多かった。
お互いあだ名で呼び合うようになる仲だった。
僕は彼が好き、でも君は?
「僕も、だぁくんが好きだよ?」
愛を伝える度君は不思議そうに首を傾げる
君の好きは友達としての好きなんだろう
腹立たしくて堪らない
誰にでもそんな態度で接している事自体気に食わない
彼は誰にでも好きという
僕には友達としての好きを何度か伝えて来てくれたが、彼はほかの人に、恋人としての愛を伝えているんじゃないかと不安で不安で仕方がなかった
いっそ殺して僕のものにしたい
そう思えば思う程、意思は強まっていくばかりだった
僕は彼をワンダーランドのセカイの1つの倉庫部屋に監禁することにした。
"座長以外立ち入り禁止"と書いた看板を見れば、入る人は居ないだろう。鍵もかかっている
倉庫部屋だよと誤魔化せば、みんな気にしなかった。
彼は泣きながら抵抗した
「なんでこんなことするの」「元のセカイに帰して」
そう何度も訴えて来たが、すぐに僕に依存してしまえば良い。みんなのことは忘れて?
一日目は優しく声をかけても怯えるばかり
震えながらも俯いて何も喋ろうとしない
ずっと俯いてばかりなのが気に入らなかったから、びぃくんの前髪を掴みあげた
ぐずぐずに濡れた顔が見えた。
ボロボロと大粒の涙を流しながら小さく口を開いた
まるで子供のように泣き出す君を見て、ほう と小さく息を吐いた。
君の泣き顔は僕にとって興奮材料でしかない。
白くて綺麗な君の頬を思いっきり手で叩いた
すぐに叩いた頬が赤くなる。
肌が白い分わかりやすい
ゔぅっ…と小さく唸り声をあげまた俯く
少し息が荒い、君をそっと抱きしめた。
冷たい、小刻みに震えているのがわかる
そう言って頭を撫でてあげる
僕の服が君の涙で濡れていった。君はただ泣くことしか出来ない、抵抗もせずにただ黙って抱きしめられていた。
2日目では、一日目では取らなかった食事を取るようになった。
食欲が無い、何も要らないと言っていたが、そう簡単に死なれても困る、君の体調を崩したい訳じゃない。
食べやすいように、お粥を作ってあげた
スプーンで1口分すくって、びぃくんの口に運ぶ
最初は抵抗して口をきゅっと噤んでいたが
スプーンを押し付けると諦めたように小さく口を開いた。
こく、と頷く
美味しいならいいんだ。
君はもぐもぐと食べ進める
口の前までスプーンを運んだら、びぃくんは首を振る
びぃくんが困ったように俯く、君はいつも俯いてばかり。何故食べないんだろうか
慌てて声を荒らげる君
思わず空いた、その口にスプーンを突っ込む、びぃくんはむせ返って、けほけほと咳き込んだ。
苦しそうに息をするびぃくんが愛おしいと思った。
涙目で口を押えている、少し体調が悪そうだった
3日目の朝
びぃくんはずっと唸り声しか上げない
おでこに手を当てるとすごく熱かった、熱だ。
頬は赤く染っていて、浅く息を繰り返している
大丈夫?と声を掛けると
とずっと蹲って呟き続けていた
何故?君は帰りたがる
思わず腹が立って、顔を殴る。
何も違わない
もう何度君のことを傷つけたか分からない
君は殴られたところを押さえ、震えていた
何度殴っても君はやめてと言うばかり。
好きになってくれない君が悪いんじゃないか
その頬を伝う涙も、抵抗する手足も、僕にかける言葉全てが僕のものだ。
なのに、どうしようもなく虚しい
僕は君の首に手をかけた
すごく細くて白い。少しでも力を入れたら、折れてしまいそうだった。
びぃくんが必死に僕の手を掴み、爪を立てて引っ掻く
すごく力が弱い。
熱で力が入らないのだろう。
ぎゅっと、首を絞めていく
じたばたと足をばたつかせていた。首を絞められることの恐怖感と、苦しさが君を襲う
涙と汗と、酸素を求めて空いただらしない口元から涎が垂れている。
僕のせいで、君の体はすごく鈍くて脆くなった
もういっそ、殺してしまえば
恐ろしい考えが頭をよぎった。でも殺してしまえば意味が無い。こうやって、君専用の部屋を準備した
ご飯も与える、布団もある。
全て君が好きだからやってきたこと。好きに変わりは無い。
君は青ざめて涙を切なげに流していた
もう限界だったのか、ビクビクと痙攣しながら震えていた。目はきゅっと瞑っている
ただの気絶だろう。
手を離した
彼が目覚めたら、また食事を与えよう
今まで以上に言うことを聞いてくれるだろうか
倉庫部屋を出ると、想いの持ち主と鉢合わせになった
毎日毎日、倉庫で何をしているんだと。
僕はただ"物"で遊んでいるだけ










![# 攻略対象より悪役に惚れました . [ 冬司ver ]](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/463Ienje96SMnaxqeg7tvIaFh9p1/cover/01K566339R5TNCGP01WCWNSK9G_resized_240x340.jpg)



編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!