私は石神くんが好きだ。
多分、ヒトメボレ?って奴だ。
石神くんのことがずっと頭から離れない。
私は重度の“恋愛症候群”なのだ…
ミーンミンミンミン…
新緑の季節・夏。
夜でもうるさく鳴く蝉の声がうっとおしくい。
いっそ、蝉みたいに告白しちゃえば楽なのかな?
…まぁ私にはできないけど。
今日はもう寝よ。
次の日の朝。
お母さんの手作りのサンドイッチを頬張って制服を着て、外に出る。
日差しが私の肌を照りつける。
今日も快晴だ。
3番目の角を曲がって、学校まで走ってみる。
肌に当たる風が心地よい。
爽快な気分でこのままずっと走っていたい。
周り角で友達と出会えて、話しながら踏切を渡る。
緑が綺麗な夏。
石神くんはこんな森似合って映えそうだ。
そうか、もう夏休みか。
残りの日数は…18日。2週間ちょっとか…
早いもんだなぁ…
夏祭り。
この町で夏休みの最後の時期に行われる、子供の楽しみ。
もう高校生だけど、やっぱりお祭りは好きだ。
私に彼氏とか、いないからなぁ…
本当はいるんだけど。
こんな時だけ勘が鋭いんだよなぁ…
目の前に学校が見えてきた事が、唯一の救いだった。
石神くんっていつも何考えてるのか良くわからない。
私によく話しかけてくれるけど…。
………
ライン?!?!ラ、ラ、ララライン!?!?
出会って二日目にしてラインですか!?
私はすぐにスマホを開いて、ラインを交換した。
石神くんはラインを友達と繋いだ事が全然ないらしくて、
私なんかと繋いでくれた事がホントに嬉しかった。
こうして、私達はより距離が縮まった。
今日の夜がもっと楽しみになった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!