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第12話

不安
2,276
2021/11/05 11:31
ジェルくんsiten
不意に、不安になった
俺なんかが、なーくんの隣に立ってていいのかって
なーくんはなんだって出来る
誰よりも信頼されるし、苦手だって言ってるゲームだって俺より上手いし、歌も上手くてラップも上手くて、更には株式会社STPRの社長
そんなハイスペックななーくんの隣に、俺なんかが立っていいのか……
不意に、わからんくなった
自分は愛されてるのか、自分は役に立ってるのか、自分は、本当は邪魔なんじゃないか
『邪魔』
『出来の悪い子』
『鬱陶しい』
幼少期に言われたそんな言葉が、頭から離れない
誰に言われたかなんて覚えてへん
ただ、俺は不必要やって、そう言われたのは鮮明に覚えてる
忘れようとしても忘れられない
トラウマとして頭に植え付けられている
───怖い
いつかみんなも、俺を捨てんのかなって、
いつか、大好きなメンバーに、リスナーに、なーくんに、俺は要らない、居なくなれ、って言われんのかなって
絶対ありえないことだとわかってても、不安になって、ネガティブな今の俺じゃ暗いことしか考えられんくて、
自分にもっと力があれば、もっと、みんなを笑顔に出来たら、なんて、ないものねだりをする
俺なんて、いっそいなくなればいいのに
そう思ってても体は、頭は、言うことを聞かなくて
ほんとはまだみんなといたくて、みんなで笑い合いたくて、
でもいつか来る別れがたまらなく怖くて、
どうしようもないこの気持ちに打ちひしがれながら、俺は夜を明かした

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