「はーい、じゃあとりあえず自己紹介していくか」
先生の一言で教室がザワつく
隣の席の君は一言も喋らずただ前を見ている
何を考えているのか悟らせない様な雰囲気
(そういや名前なんて言うんだろ)
そんな事を思いながら自分の自己紹介を考える
どんどん自己紹介が進んでいく
遂に自分の番が回ってくる
「えー、井上瑞稀です。特技は、、ローラースケートです。1年間よろしく」
ローラースケートだってー、
凄ー
少し注目を浴びてしまった
もうちょと当たり障りのないやつにした方が良かったかも
「えー井上くんローラースケート出来るんだ、凄いね〜」
彼女がふんわりとした笑顔でこっちを見てきた
「私もねスケート出来るんだよ〜フィギュアだけどw」
少し自慢げにどやっという効果音が着いてきそうな顔で言ってきた
そうやって話しかけてくれた事が嬉しくて自然と笑顔になった
「へーフィギュアやってんだ凄いね」
そう言った瞬間少し彼女の体が固まった
「もう辞めちゃったんだけどね〜」
少し眉を下げて君は言った
「はーい、次の人」
「あっ私だ」
少し緊張した表情
だけど声は柔らかかった
「えっと、あなたの名字あなたの下の名前です。好きな食べ物は桜餅です!1年間よろしくお願いします」
(あなたの名字さんって言うんだ)
心の中で名前を読んだ時少しむず痒く感じた
「あなたの名字さん、「あなたの下の名前でいいよ〜変な感じするし」
「じ、じゃああなたの下の名前、ちゃんって桜餅好きなんだ」
「うん何か似合うでしょ!」
悪戯っぽく笑った顔にどきっとする
「そうだね似合うよ」
俺の君へのイメージは桜だから
散っていく儚い雰囲気が君だから
「ふふっ井上くんは?桜餅好き?」
少し嬉しそうに笑いこてんと首を傾げる
「まあ、好きっちゃ好き」
「えーじゃあさ明日一緒にお昼食べようよ」
「持ってきてあげる」
「えっ!」
君からのお昼のお誘い
(ガチかよ!絶対食べたい!)
そんな嬉しい提案に心が踊った
「あっ!お友達も誘っていいよ!朝友達と話してたでしょ」
「うんありがとう。明日楽しみにしとく」
「楽しみにしといて〜」
「あっあとさっ」
「俺の事も名前で呼んでよ」
咄嗟に言ってしまった
急過ぎておかしい感じがしたけど
流石に名前呼ばれたがってるでキモいか?って思ったけど
やっぱずるいじゃん君だけ苗字で俺だけ名前で呼ぶのは
少し悪戯っぽく笑う
分かんないけど初日でお昼誘うぐらいならちょっと脈ありそうじゃん
誰のものにもしたくない友達と会わせたらあいつらならあなたの下の名前ちゃん落としそうだし
だからちょっと先手を打っとこうってぐらいの考えだった
君はびっくりした顔で少し耳が赤くなっていた
あれ案外効いてね?
「み、瑞稀、くん?」
顔真っ赤にして、少し困り顔で、目線逸らして
これ、
絶対いけるだろ
名前呼んでもらって嬉しすぎて
「顔真っ赤だよw照れてんの?」
「うるさいな〜」
そう言って机に突っ伏す
心臓の音がうるさいけど
柔らかな春風が俺の背中を押してくれるような
春の暖かい日差しが俺らを包み込んでくれるような気がした












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!