第25話

会いたい knpk
139
2024/04/04 06:00
かにちゃん
『でね〜……』
ポケカメン
まじ?災難だったな
かにちゃん
『ほんとだよもー…早くポケと会いたい!!癒し欲しい!!』
ポケカメン
…今度、いつ会えるの?
かにちゃん
『来週空けられるよ!』
ポケカメン
!…ほんと!?
かにちゃん
『うん!久しぶりに戻れるから!その時たくさん遊ぼうね!今日はもう夜遅いから明日また電話してその時色々話そ!』
ポケカメン
うん…!
かにちゃん
『それじゃあまた明日ね!』
ポケカメン
うん!またね!
そう言って通話は切られ、映し出されたトーク画面をじっと見つめる。するとすぐに「ポケおやすみ、早く来週が来たらいいな」と送られてきた
それに「おやすみ」とだけ返信をして画面を閉じ座っていたベッドに寝転がった
ポケカメン
かにちゃん今週も元気そうだったなぁ
俺とかにちゃんは付き合っている。だがかにちゃんとは遠く離れて暮らしている。いわば遠距離恋愛というやつだ。ほんとにどんな頻度で会えるか次いつ会えるかもわからない俺らは週に何度か通話をしてお互い寂しくなりすぎないようにしている
けど声は聞けても顔を見れないとどうしても寂しくなってしまう。だから来週は通話じゃなくてかにちゃんと顔を合わせられると思うと嬉しくてつい口角が上がってしまう
ポケカメン
……来週、早く来ないかな
その日はかにちゃんとの通話の余韻に浸りながら幸せな気持ちで眠りについた
ポケカメン
メイクもOK、服も…きっと大丈夫…
ポケカメン
……でもやっぱ変かな、
ポケカメン
いや…大丈夫、だよね、!かにちゃんいつもどんな俺でもかわいいって言ってくれるし…うん、きっと大丈夫
ずっと待ちわび続けた今日、かにちゃんと久しぶりに会える日が来た
ポケカメン
何ヶ月ぶりだろう、半年以上は会えてなかったし…
ポケカメン
…楽しみだな、
今日はどんな一日になるのかな
楽しみすぎて10分以上早く来ちゃった…まだかにちゃんいないだろうな、でも心の準備したかったから丁度いいかな
ポケカメン
…?あれは…
ポケカメン
かにちゃん…!
かにちゃん
?あ、ポケー!!
ポケカメン
かにちゃん!!
待ち合わせ場所に行くと既にかにちゃんは到着していて嬉しさと驚きでつい名前を呼んでしまった。距離もあるし声量もなかったから気づかないと思ったがかにちゃんはすぐに見つけてくれて俺の方へ走って抱きついてきた
ポケカメン
かにちゃんはやくない?まだ10分以上も余裕あるのに…
かにちゃん
待ちきれなくてちょっと早めに来ちゃったんだよね〜!…ポケもそうなんじゃないの?
ポケカメン
っ……う、うん…
かにちゃん
あははっポケかわいい〜!!
ポケカメン
ちょ、外だから…
俺の心を読んでいるかのようにドンピシャで当ててくる彼に付き合った当初に言われた「好きな人だもん、なんでもわかるよ」という言葉を思い出してしまい思わず顔が熱くなる
かにちゃん
ふふっ、今日は沢山遊ぼうね!!
ポケカメン
うん!
久しぶりのかにちゃんとのデートは本当に楽しかった
まず待ち合わせ場所の駅の近くのショッピングモールに行ってゲームセンターに行ったりお揃いの服を買ったりした、昼ごはんも一緒に食べて夜遅くまでたくさん遊んだ。
こんなにも楽しい日は久しぶりでやっぱりかにちゃんが好きだなと改めて実感できた日だ
かにちゃん
めちゃくちゃ楽しかった!今日もありがとね!
ポケカメン
ううん、こちらこそ。めちゃくちゃ楽しかった
ポケカメン
今日は、もう帰るの?
かにちゃん
うん…本当は今日一日いたかったんだけどなにか知らないけどあの上司明日はいつもより早く出勤しろってしつこくて…
ポケカメン
……そっか、気をつけてね、仕事頑張って!
かにちゃん
…うん…ごめんね、いつもありがとう
ポケカメン
…ううん
かにちゃん
今日はゆっくり寝るんだよ!また来週もたくさん電話しようね!
ポケカメン
うん!ありがとう!またね!
かにちゃん
またねー!
駅の前で少し話をしてホームへと歩いていくかにちゃんが見えなくなるまで手を振ってお別れをする。
ポケカメン
……またね、かにちゃん
ポケカメン
……
駅でかにちゃんと別れてそそくさと家に帰り倒れ込むようにソファに寝転がった
今日のかにちゃんとのデートは本当に楽しかった。ようやく会えてかにちゃんと沢山遊んで本当に楽しかったはずなのに、どこか寂しくて心が痛い
かにちゃんが働いているところは一人だけ嫌味な上司がいるらしい。同僚も社長さんとかもいい人みたいだけどその上司だけ何故かかにちゃんだけに仕事を押し付けたり嫌なことを言ってきたりするらしい
そんな会社に…というより上司に嫌気がさしているらしく最近は少し辛そうだ。今日も心做しか以前あった時より落ち込んでいるような感じがして少し心配だった。俺の都合でかにちゃんが休める時間を潰してしまっているんじゃないかって
ポケカメン
…しばらく、会わない方がいいのかな……
ポケカメン
…あぁ、なんかダメだな…今日の俺なんか変、 
もしかにちゃんがせっかくの休みなのに無理して俺に会いに来ているんだとしたら俺もかにちゃんに休んでほしいし無理してほしくない。それだったら電話だけにして会うことは極力控えるという形を取った方がかにちゃんは疲れないのか、とついマイナスなことを考えてしまって勝手に涙が出てくる
ポケカメン
……俺がこんなんじゃダメだよね、かにちゃんはもっと頑張ってるんだから
かにちゃんが忙しくて会えないって言うんだったら、俺はいくらでも待ち続ける。かにちゃんが無理をせず幸せでいられるように
ポケカメン
んん…
カーテンの隙間から漏れる眩しい光で目を覚ます
ポケカメン
ふぁぁ…いま何時…?
ポケカメン
…ん?かにちゃん?
時間を確認するために携帯の電源を入れると8:30という数字と共にたくさんの通知。その中に一つかにちゃんからのメッセージが届いていた
 
『ポケおはよ!まだ寝てるかな?昨日のデートめちゃくちゃ楽しかったね!!ポケ可愛すぎて思わず抱きしめちゃった!w頑張って予定空けるからまたデートしようね!!今日の通話楽しみにしてる!』
 
ポケカメン
ッ……かにちゃんのばか…
昨日かにちゃんのために会うのを控えようと決めたのに、こんなこと言われたらまた会いたくなっちゃうじゃん
 
 
 
ポケカメン
やっほ、かにちゃん
かにちゃん
『ポケー!今日も声聞けるの嬉しすぎる…!!ポケだけが癒しだよぉ…』
ポケカメン
大袈裟すぎ…元気?
大袈裟に言うかにちゃんに思わず笑いがこぼれる
かにちゃん
『そりゃもうポケの声聞けたもん!元気100倍だよ!!』
ポケカメン
ふふっ…かにちゃんらしいな
かにちゃん
『あーもう昨日あったのにもう会いたいよぉ…』
ポケカメン
…そうだね
俺も会いたい
なんて彼女としてかわいらしい言葉は出てこなかった
ポケカメン
かにちゃん明日も早いの?
かにちゃん
『うん、また仕事押し付けられて…しかもあいつの仕事だよ!?まじ自分でやれって感じ』
ポケカメン
…大変だね
かにちゃん
『うん、でも僕頑張るよ!頑張ってまたポケと会えるように時間作る!』
ポケカメン
…うん、ありがとう
かにちゃん
『ポケは明日なんかあるの?』
ポケカメン
……うん、高校の時の友達と遊ぶ約束してる!一日一緒に遊べるらしくて、楽しみなんだ!
そんなの嘘。予定なんて入れてない、ほんとは早めに通話を切る口実がほしいだけ
これ以上長く続けたら気持ちが抑えられなくなる。かにちゃんも朝早いみたいだしゆっくり寝てほしい
かにちゃん
『そっか〜、じゃあ今日は早く寝た方がいいよね…今日はもうお開きにしよっか!』
ポケカメン
うん、ごめんね
かにちゃん
『ううん!明日楽しんできてね!』
ポケカメン
ありがとう、じゃあまたね
かにちゃん
『またね〜!おやすみ!』
ポケカメン
おやすみ
 
 
 
ポケカメン
……ごめんね
それから約半年以上、俺とかにちゃんは一度も顔合わせることがなかった。
かにちゃんは休みができた日毎回「会えるよ」と伝えてくれたが俺はそれをはぐらかし続けた、毎日大変な彼に休んでほしかったから


通話は変わらず続けている、でもその度会いたい気持ちが強くなっていって、嘘をつき続けている罪悪感と嘘をつきたくないかにちゃんと会いたい気持ちで次第に通話をする時間が俺にとって幸せであり酷な時間になった
かにちゃん
『ポケ〜…』
ポケカメン
…今日疲れてるね
かにちゃん
『うん…仕事も多いしポケにも会えないし、もうクタクタ…』
ポケカメン
正直どうしたらいいのかわからない。
かにちゃんは俺と会うことを望んでくれている。でも俺はそれを素直に受け止められない。かにちゃんにゆっくり休んで元気でいてほしい。かにちゃんの休む時間を削ってまで俺のわがままに彼を付き合わせたくない
かにちゃん
『最近もまた忙しくなってきたし…まだしばらく会えなさそうなんだよね…』
ポケカメン
……そっか…いつもありがとう、ごめんね
かにちゃん
『なんで謝るの?ポケはなんも悪くないよ!』
かにちゃん
『こちらこそいつも寂しい思いさせてごめんね』
ポケカメン
違う!そんなことない!!かにちゃんが謝ることなんてなくて……えっと、
なにかがつっかえたみたいに声が出ない。その代わりとでもいうように次第に涙が溢れてくる
ポケカメン
……っ…
かにちゃん
『…ポケ?泣いてるの?』
ポケカメン
っ…ううん!ちがうよ…泣いて、ないよ…
かにちゃん
『……』
ポケカメン
……っごめん、切るね
かにちゃん
『え、ちょっと待っ…』
 
ポケカメン
っ…ごめん、ごめん……
電話を切っても一度零れた涙は止まってくれなくて次々と溢れ出す。次第に嗚咽も混じり本格的に泣きやめなくなってしまった
ポケカメン
ふっ…うぅ…ごめっ、なさい
ポケカメン
かにちゃんッ…かにちゃん……
それでも俺の思いを表すあの一言は出てこなかった
あの日から約一ヶ月、俺らは電話もトークでのやりとりもしなくなった
まぁ俺が一方的に未読無視を続けているだけだがそれを続ける度に心は痛くてすごく寂しくなる
まぁあの時はしばらく会えないと言っていたし既読をつけて返信する勇気も俺にはなくきっとこのまま自然消滅してしまうんだろう
たった一言なのに…伝えられない、言葉にできない
言葉にしたら思いがどっと溢れてきてしまいそうで怖い、この言葉を口にして溢れてしまった時俺はどうなってしまうのだろう
でも、もう限界だよ。
ポケカメン
かにちゃん…
 
ポケカメン
会いたい
 
ポケカメン
あぁ…っ会いたい…
今まで言葉にできなかった、まだ伝えられた訳でもないのに会いたいと言葉にするだけで涙が溢れてくる、毎日散々泣いたのに、俺は泣き虫だ。
ポケカメン
っ…あいたいよっ、かにちゃん……
すると突然インターホンがなった
ポケカメン
っ?だれ…?
宅配便…?いや、頼んだ覚えはない。友人か?でももう夜も遅いし来るならきっと連絡をするはずだが誰からも連絡なんて来ていなかった
急いで涙を拭き玄関に向かい扉を開ける
ポケカメン
はー……い…?
かにちゃん
…ポケ、よかった
開けた先に立っていたのはずっと思いを馳せ続けたかにちゃんだった
ポケカメン
……っ!?
かにちゃん
ちょっ…!?
最初は驚きすぎて放心状態だったがすぐに戻って衝動のままに扉を閉めようとしたがかにちゃんがそうはさせまいと扉の隙間に足を挟んできた
衝動的に閉めてしまっていたからガンッと鈍い音がしてかにちゃんが座り込んでしまった
かにちゃん
…ッ痛…
ポケカメン
!かにちゃん!!
ポケカメン
大丈夫?ごめっ…ぁッ…
怪我をしたんじゃないか心配で今までのことを忘れてかにちゃんのそばにしゃがみ込んだ。怪我をしてないか確認するためにかにちゃんに触れようとしたがふと今までしてきた失態に気づいてすぐ離れようとしたがかにちゃんに腕を掴まれて久しぶりのかにちゃんの体温と突然の出来事で身動きが取れなくなってしまった
ポケカメン
……離して
かにちゃん
いや
ポケカメン
っ…離して!
かにちゃん
絶対いや
かにちゃん
もう逃がさないから
ポケカメン
っ…
何を言っても引いてくれない彼をとりあえず家の中にいれてソファに座ったがろくに会話もできず沈黙が流れる
ポケカメン
…あー、飲み物持ってくるね、水でい
気まずい空気を何とかしようと声を絞り出して立ち上がりキッチンへ行こうとすると言葉を遮られるように座っていたソファに押し倒された
いつぶりだろう、彼に押し倒されるのは。いや、ソファに押し倒されるのは初めてか
なんて誤魔化してみるけど久しぶりに見る下から見上げる彼はすごくかっこよくて顔が熱くなっていく
かにちゃん
…もう逃がさないって言ったじゃん
ポケカメン
いや、今のは逃げたわけじゃなくて…
かにちゃん
じゃあなんで離れようとするの?久しぶりなんだし一緒にいようよ
かにちゃん
それとも俺の事嫌いだから一緒にいたくないの?
ポケカメン
っ…違う!!ッ…
かにちゃん
……よかったぁぁ…
ポケカメン
へ?
嫌いなわけない。ずっとあなたを好きでい続けた。あなたを嫌うわけない
ちゃんと否定しなきゃ伝わらないと思いつい大きな声が出てしまった。目の前の彼もびっくりした顔をしていてやってしまったと思ったら体の力が抜けたように覆いかぶさっていた彼が俺の上にストンと落ちてきた
ポケカメン
か、かにちゃ…?
かにちゃん
俺の事、嫌いじゃなかったんだ…
ポケカメン
……
何が彼をそう思わせたのか、なんてもうわかってる。
全部俺のせい
ポケカメン
…ごめん
かにちゃん
なんで謝るの?ポケは何も悪くない
ポケカメン
ちがう!!…全部、ぜんぶ俺のせい……
ポケカメン
ごめんなさいっ、おれっ、
かにちゃん
ポケ
ポケカメン
っ…?
かにちゃん
俺の話、聞いてくれる?
ポケカメン
……
かにちゃんは色々教えてくれた。なんでここにいるのか、そして俺が彼を避けていた時彼がどう思っていたのか
かにちゃん
俺ね、実はデートした次の日から気づいてたんだよ。ポケがおかしいこと
ポケカメン
えっ?
かにちゃん
ポケとデートした次の日電話したでしょ?その時からなんか様子おかしいなって思ってたの
かにちゃん
友達と遊んでるイメージ全くなかったしそんな話も全然聞いた事なかったからなんかあったのかなって思って、元気なさそうだったし
かにちゃん
でもなかなか聞きずらくて…その時にちゃんと聞いてあげればよかった
そっか、ちゃんと気づいてくれてたんだ
かにちゃん
ポケの話、聞いてもいい?
ポケカメン
…俺、かにちゃんに負担をかけてるのかと思ったんだ
ポケカメン
毎日上司のパワハラで大変で疲れてるかにちゃんに電話してもらったりデートしてもらったり…かにちゃんは疲れてるのに俺のために動いてくれて…俺の願いは私欲だったのかなって
ポケカメン
そう思ったら休みの日は俺に時間使わずにしっかり休んでもらった方がかにちゃん的にいいのかなって思って
ポケカメン
でもかにちゃんと話す度にどうしても会いたいって思いが強くなっちゃってかにちゃんを避けるようになった
ポケカメン
…ごめんなさい
かにちゃん
そっか、間違ってなかったんだ
ポケカメン
…?
かにちゃん
俺ね、あの職場やめたんだ
ポケカメン
…え?
かにちゃんはあの上司が嫌いだっただけであの会社や他の社員さんの事は大好きだと聞いていたから正直驚いた。
かにちゃん
俺気づいたの。ポケが悩んでる理由って俺の仕事の事なのかなって
かにちゃん
あの上司のせいでいらない残業させられたりミス押し付けられたり正直うんざりしてるところもあったし…なによりポケを不安にさせるくらいなら俺はどんなことがあってもポケのために行動する
ポケカメン
っ……あぁ…
かにちゃんは、どんな時でも俺を第一に考えてくれてたんだ。あんなに好きだった職場をやめてまで
かにちゃん
もー、泣かないでよ
ポケカメン
だって…かにちゃんがっ…
かにちゃん
嬉しい?
ポケカメン
…うん、嬉しい…
かにちゃん
俺も
泣いている俺にずっと優しく笑って抱きしめてくれる
彼の温もりを感じるのは本当に久しぶりでもっと涙が溢れてくる
かにちゃん
ずっと、ポケに会いたかった
ポケカメン
…うん!俺も…会いたかったっ…
ちゃんと、伝えられた
抱きしめられながらどちらからともなく顔を近づけて今までで、いや世界で一番幸せなキスをした
 
 
 
 
 
かにちゃん
目痛くない?
ポケカメン
うん、大丈夫。ありがとう
かにちゃん
ううん、目腫れたら大変だからね
ポケカメン
…かにちゃんこっち戻ってくるんだよね、仕事とか住む場所とかどうするの?
かにちゃん
仕事は友達が行ってる職場があって相談したら許可もらえたからそこで働く。ポケん家からも近いし最適かなって。住む場所はゆっくり探そうかなって、それまではホテル転々としようかなって感じ
ポケカメン
……あのさ、!住むところ、うちとか、どうですか…?
かにちゃん
えっ…?あ…え…?
ポケカメン
へ、部屋も空いてるとこあるし…職場も家から近いほうがかにちゃん的にも好都合なのかなって…
やばいやばいやばい、思いきって言っちゃった…!!敬語だし途切れ途切れになっちゃったし…!!めちゃくちゃ恥ずかしい…
かにちゃん
…いいの?
ポケカメン
…うん、
すごく顔が熱い。勢いでこんなこと言ってしまったがかにちゃんは嬉しそうながらも俺ほどじゃないのかもだが顔が赤くなっていて俺も余計に恥ずかしくなってさらに顔が熱くなった
かにちゃん
じゃあ、お言葉に甘えて…お願いします…
ポケカメン
こ、こちらこそ…
二人して敬語になってしまってそれが少しおかしくて二人で笑いあって…幸せだ
かにちゃん
後三日だけ待ってくれる?三日後、荷物も持ってこっちに戻ってくるから
ポケカメン
うん!
ポケカメン
…今日はもう、戻っちゃうの?
かにちゃん
戻ろうとは思ってたけど一応戻らなくても大丈夫。明日は戻っちゃうけどまたすぐここに帰ってくるよ
ポケカメン
じゃあさ…今日、泊まらない…?
かにちゃん
…ポケが、いいなら…
お互い照れてしまい変な沈黙が流れて少し変な気分になる
ポケカメン
……えっと…も、もうごはんは、食べた…の?
かにちゃん
あ、う、うん!食べてきたよ!
ポケカメン
あ、じゃあお、お風呂入ってきな!服は置いておくから…俺寝る準備、しておくね!
かにちゃん
う、うん…ありがとう!
かにちゃん
じゃあ、お、お借り、しまーす
ポケカメン
は、はーい…
 
 
 
ポケカメン
やばいやばい……絶対顔赤かった…
ポケカメン
…今までかにちゃんの家に泊まったりしたことは何度もあったけどうちでは初めてだよな…
ポケカメン
てことは……いやいやいや!!だめ、変なことは考えるな…ただ普通に寝泊まりするだけ。なんなら後3日後には一緒にここに住むんだから、それに何回も一緒に寝てるし…
ポケカメン
でもやっぱ恥ずかしいぃ……
ポケカメン
……とりあえずかにちゃんの寝るところ準備しなきゃ…
ポケカメン
てかどうやって寝るんだろ…これからのかにちゃんの部屋のベッドでいいかな…でもずっと使ってないから掃除した方がいいだろうし…リビングに布団敷いた方がいいのかな…でもうちの布団薄いから今の時期夜冷えるし風邪ひいちゃうかな…
ポケカメン
……俺のベッドで一緒に…
ポケカメン
って何考えてんだ俺のばか!!
ポケカメン
…とりあえずかにちゃんあがるまで待ってよ…
 
 
 
かにちゃん
えっと、あがったよ
ポケカメン
あ、うん。えっと、寝るとこなんだけど…リビングに布団敷こうと思ったんだけどうちの布団薄いから風邪ひいちゃうかなって…他の部屋にもベッドはあるんだけど一応換気とかはしてるんだけどずっと使ってないから埃っぽいと思うんだよね…
ポケカメン
それで、嫌じゃなければなんだけど…俺のベッドで一緒に…って……
かにちゃん
!?
かにちゃん
え…あ…
意味をなさない言葉を発した彼の顔はすごく真っ赤でこっちまで恥ずかしくなってくる
ポケカメン
い、嫌だったら全然……
かにちゃん
嫌なわけないよ!!寧ろ嬉し…あっ
ポケカメン
……ぁ…あ…
彼の不意の言葉にまた顔が熱くなる。なんか俺今日照れてばっかりだな
かにちゃん
ぽ、ぽけごめ、
ポケカメン
…っかにちゃんのばか!!
かにちゃん
え、ちょ、ポケ待って!!?
俺は耐えきれずかにちゃんを置いて自室へ走った
 
自室へ入りベッドへダイブするとかにちゃんも一緒に入ってきてベッドの横に優しく乗り俺を抱きしめる
かにちゃん
ポケごめんね…?
かにちゃん
ほんと、反射っていうか…また勘違いさせたくなくて自然と言葉に出てきちゃったっていうか…
ポケカメン
…も、もういい、やめて…恥ずかしくてしんじゃうっ…
かにちゃん
…かわい
無意識なんだろうけど、かにちゃんからの攻撃が多発して俺はもうキャパオーバー寸前
ポケカメン
…も、や……やめてぇぇぇ……
かにちゃん
ふふっ、ごめん、ポケかわいくてしょうがないんだもん
ポケカメン
…かにちゃんなんか前とちがう…
かにちゃん
え?
ポケカメン
なんか、いつもより余裕ある感じ…かっこよすぎてむり…
等々俺までおかしくなってしまったのか、いつもは言わないようなことを言ってしまった。やばいと思いすぐ手で口を塞ぐが時すでに遅し、彼の顔はみるみる赤くなっていく
かにちゃん
……まじずるすぎるって…
ポケカメン
ち、ちが…ごめ、無意識で…
かにちゃん
うん、なんとなくわかったから大丈夫だよ…
かにちゃん
も、もう寝よっか…?
ポケカメン
そう、だね…
いつもは感じないいい匂いが鼻を掠めてふと目が覚める
見覚えのあるようなないような天井といつもよりも質のいいベッド。カーテンはしまっていたが隙間から見える光はそう明るくなくまだ早い時間なのがわかる
かにちゃん
まだ癖抜けてないなぁ…
そう呟きながら伸びをすると腕になにか当たった
かにちゃん
ん?…ポケ?
ポケカメン
腕に当たったのはどうやらすぐ隣で寝ているポケだったらしい
そっか…僕たち一緒に…
へ、待って俺なんかしちゃってないよね?我慢できずに手出したりとか…まって記憶ないんだけど…
かにちゃん
うわああぁぁぁぁ………
ポケカメン
ん、んん……
ポケカメン
…んん?
かにちゃん
あ、ごめん…起こしちゃった…?
ポケカメン
かにちゃ…?
かにちゃん
う、うん
ポケカメン
んへへ…かにちゃぁ…
かにちゃん
っ…な、なぁに?
ポケカメン
んふっ、よんだだけぇ…
やばぁぁ…寝起きのポケ超かわいいぃぃぃ……♡
かにちゃん
そ、そっか…
ポケカメン
んん…ねむ……
かにちゃん
…まだ寝る?
ポケカメン
んー…
かにちゃん
今日帰ればいいだけだから今日は終電までは一緒にいられるよ
ポケカメン
……起きる
かにちゃん
え、いいよ?寝てても
ポケカメン
…かにちゃんと、できるだけ長くいたい……
かにちゃん
ん"っう"ん……そっか…じゃあ今日は一緒にいよっか…
ちょっと、僕の彼女かわいすぎやしません?
 
 
 
ポケカメン
あと二日か…
かにちゃん
楽しみにしててくれてる?
ポケカメン
え、まぁ……うん…
かにちゃん
…待っててね、
ポケカメン
…うん!
ポケカメン
寒…
今日はずっと待ち侘びた日。かにちゃんが俺の家に引っ越してくる日!!
かにちゃんが言ってた時間だともうそろそろ最寄り駅についている頃合いだろう
ポケカメン
…早く行こう
どこへ向かってるのかって?もちろんかにちゃんを迎えに最寄り駅まで
かにちゃんには外は寒いから待っててと言われたがようやく一緒にいられるようになったのに待ってるだなんて出来ない
ポケカメン
ついた…!
ポケカメン
かにちゃん、まだいないのかな…
辺りを見回すとちょうどホームからたくさんの人が出てきた。もしかしたらあの中にいるかもとしっかり見るとスーツケースを持ったかにちゃんが出てきた
ポケカメン
!!……かにちゃん…!
周りの人なんて気にせずかにちゃんの方へと走るとかにちゃんはすぐに俺に気づいてくれた
かにちゃん
ポケ!?なんでいるの?待っててって言ったのに…
ポケカメン
待ちきれなかったし早く会いたくて…ずっと乗り換えしてごはんもろくに食べてないって言ってたからごはんも一緒に食べたいなって…
かにちゃん
……俺のポケが尊い
ポケカメン
なっ…!うるさいな、もう…早く帰るよ!
かにちゃん
ちょっ、ポケ待ってよ〜!
 
 
 
ポケカメン
かにちゃん
ん?ポケどうしたの?急に立ち止まって
ポケカメン
……ずっと、ずっと会いたかった!会いに来てくれてありがとう!
 
 
 
 
 
こんな幸せな日が続きますように

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