最近よく行くカフェがあった。
大学から近くてお客さんも少ない、穴場のカフェ。
おまけに定員さんがイケメン。
あまりにも綺麗な顔で目が自然とその人を追ってしまう。
「こちらアメリカーノになります。」
イケメン店員さんが届けてくれる。
この人が運んでくれたってだけでいつもより美味しく感じるのは気のせいだろうか。
「あの、これ頼んでないんですけど」
アメリカーノと一緒に運ばれてきたパウンドケーキ。
疲れた時にたまに頼むけど、今日は頼んでない。
「俺からのサービスです、元気なさそうにみえたんで。」
小さな優しさが嬉しくて、つい笑みがこぼれてしまう。
今日はバイト先の先輩に怒られて落ち込んでいたのだ。
彼の顔を見れただけでも嬉しいのに、ケーキまでいただいて、嫌なことが全部吹き飛んでいった。
「ケーキ美味しかったです。ありがとうございました。」
お会計の時に伝えると、「気にしないで」とまたもやイケメンスマイルを向けられてしまった。
見ているだけでいいと思っていたけど、いざ話してみるともっとこの人の事を知りたいと思ってしまう。
「あの。」
「どうしたの?」
「連絡先、教えてくれませんか」
しぬほど勇気を出した。
普段の自分では絶対にできない行動だった。
「いいよ。もうバイト終わるからちょっと待っとける?」
「え!!はい!!」
まさかオーケーを貰えると思っていなくて、
驚いて大きな声が出て笑われる。
「はい。これでおっけー。」
無事に連絡先を交換でき、登録された名前をみる。
''イリオ''
リオさん。名前を知れたのが嬉しくて心の中で呼んでみる。
「ん、なに?」
「え?」
「いま名前呼んだでしょ」
「声に出てました??」
「うん笑笑」
心の中のつもりだったのに、声に出ていたみたいで一気に顔が熱くなる。
「明日も来る?」
「え?」
「毎日来てるでしょ」
「覚えてるんですか?」
「あたりまえじゃん」
あたりまえ。あたりまえ?ずっと俺だけが見てるもんだと思っていたら、俺も見られたていたみたい。
まさか覚えられてるなんて思ってなかったけど、毎日通ってたら誰でも顔ぐらい覚えられるか。
「綺麗な顔の子だなって思ってた。」
「え?」
さっきから驚いてばかりだ。
リオさんは俺の事からかって楽しんでるのかな。
ずっと爆笑してるけど。
「こんなに面白い子だと思ってなかったよ笑笑」
全然嬉しくない、けど。リオさんの笑顔が見れてるのは嬉しい。海外みたいな豪快な笑い方で癖になりそう。
「じゃあ俺、こっちだから。」
自然と一緒に歩いていたけど、リオさんとはここでお別れみたいだ。昨日までは眺めているだけだった人とこんな自然と会話ができるなんて夢のようだった。
俺みたいな口下手でも楽しく話せたのはリオさんのコミュニケーション能力が高かったからだろうな。
「連絡してもいいですか?」
カフェ以外でも話したくて、本日2回目の勇気を振り絞って聞いてみる。
「もちろんいいよ。待ってるね、サンウォン。」
え、なんで名前知ってるの。
そう聞こうとした時にはもうリオさんは歩き出していて、声をかけられなかった。
離れていく背中を見ていると、上下に動いているのが見える。あ、この人笑ってるな。
またからかわれたんだと思うと恥ずかしいけど、なんだか嫌な気はしなかった______ 。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!