「アリス?」
アリス・カーネル。
彼女の名前がスカイの口から出ると、ホープは首を傾げながら、コップの中のジンジャーエールを口に流し入れる。
スカイはホープの小さな呟きを聞き逃すことなく、静かに頷いた。
スカイからの恋愛の話題、そして出てきたアリスの名前。
その二つが繋がれば、導き出される答えは一つだ。
「…お前ロリコンだったのか?」
「ちっげぇよ。」
スカイはアリスが好き。
それも、恋愛対象として。
その答えをみちびき出したホープは、心配そうに眉を下げる。
ホープのロリコンという発言に慌てて否定を入れたスカイだったが、その直後には自分の額を手で押えていた。
「いや……まぁ否定はしきれねぇかもしれねぇ…。」
「にしても、まさか相手がアリスとはな。まだキョウカの方が納得できるんだが。」
「冗談はやめてくれ。」
チラリ、とアチコチ歩き回るキョウカを目で追うホープ。
そんな彼の頭を無理やり自分の方向へ戻すと、ジョッキを持って中身を半分以上飲み干す。
「おい、あんま飲みすぎんなよ。」
「うーーっせぇー…」
慌てて注意を入れるホープだが、スカイの手は止まりそうにない。
どうやら、酒の力を使って吐き出す算段のようだ。
それを察したホープは、呆れたようにため息を吐き出す。
半分以上飲んだビールを、更に胃に流し込むスカイ。
顔を上に向けて全部飲み干せば、乱暴にジョッキを机に叩きつけた。
「はぁーー…」
「にしてもアリスかぁ。なんかキッカケとかあるのか?」
スカイの苛立ちを察知すると、ホープは彼の気を逸らせるために話題を振る。
机に肘を付いたスカイはそれを聞くと、視線を斜めにやって「あー…」と低い声で唸った。
「冬頃に、俺が家出るようになっただろ?あれがアリスきっかけだったんだよな。色々、話して…それで…。」
ここ数ヶ月の記憶を辿りながら、ゆっくりと言葉を繋げていく。
ふと思い出されたのは、アリスが彼が外に出るように説得しに来たあの日のことだった。
『…ねぇ、私と一緒に行こうよ。失ったものは違うけど、私たち似た者同士でしょ?』
あの時のアリスは、綺麗と言うのに相応しいものだった。
アリスのことを思い出してぼんやりとするスカイを見ると、ホープは凝視をしてから息を吐き出す。
「…惚れてるのはガチっぽいな…。
まぁ、でも悩んでることはそっちじゃないっぽいな。」
「察しが良くて助かる。」
「この感情をどう消したらいいか、分からなくてな。」












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。