恵side
こんな話、簡単に話していい様な内容なんかじゃない。
それなのに、目の前にいる彼女は。
何事も無いように、ただただ、淡々と話を進めるだけ。
まるで、感情のないロボットの様に。
それは淡々と進んでいく。
…あなたは出会った時から、ずっと明るかった。
まるで絵に書いたような、根っこからの善人。
虎杖や津美紀と、同じ部類の人間なんだと。
出会った時から、自然とそう思う事が当たり前になっていた。
でも、あなたは自分の気持ちを、
俺達に、さらけ出したりはしなかった。
…もしかしたら、五条先生には言っていたのかもしれないが。
____五条あなた。
五条先生とは血の繋がってない義兄妹。
あなたの過去は、そこまで詳しくは知らないし、分からない。
____あなたが俺達に話そうとしなかったから。
でも、今目の前にいる彼女は。
自分の気持ちを、自分勝手なワガママを。
____自分の〈命〉を、俺達に捧げようとしている。
そんな事が、俺達に出来ないと分かっているはずなのに。
でもあなたは、そうして欲しいと俺達に伝えてくるだけ。
なんでそんな大事な事を、俺たちに任せるんだ。とか。
なんでそんな無表情のまま、淡々と話せるんだよ。とか。
もしそれまでに、俺達が死んでたらどうするんだよ。とか。
あなたに言いたい事、伝えたい事はたくさんあるはずなのに。
それを口に出して言う事は出来なかった。
俺が出した拳は、あなたの顔の寸前で止まったまま。
静かに拳を下ろすことしか出来なかった。
だって、俺にそう伝えてくれた、あなたの表情は。
____今まで見た事がないくらい、苦しくて
今にも消えてしまいそうな悲しい顔をしていたから。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。