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第3話

#003 高橋×大西|クラス替え
108
2024/05/15 07:12
学パロ
きょろりゅちぇ、同い年です。
高2
大西side
今日はクラス替え。
友達の恭平と同じクラスになりたい。
1年生の時に知り合って、俺は恭平の1番近くにいたし、恭平も俺の1番近くにいた。
けど、同じ「近く」でも俺と恭平とでは、お互いに抱いている感情が違う。
恭平は俺のこと、ただの友達だと思ってる。
恭平はそれなりに友達が多いのに対し、俺には恭平しかおらん。


それに俺は恭平が好き。
それは恋愛感情。
恭平と同じクラスでありますように
通学中ずっとそう祈ってた。
小声でそう繰り返してた。










なのに…
…」
昇降口に張り出された名簿を見ようと人だかりができていた。
校門で合流した恭平と2人で、人が落ち着いてから確認した。
でも何度見ても俺は1組だったし、何度見ても恭平は2組だった。
「恭平…俺2組になりたいなあ」
『俺は1組になりたいな』
「それやと入れ違うやん」
『ははは、ほんまや』
できるだけ軽い気持ちで会話をしようといつも通りを心がける。
そうして階段を上って各教室に着いたら、もうおしゃべりできない。
まあそんな深刻なことじゃないっていうのは分かってるんだけど。
だけど確認したところ1組に仲良く話せるような人はおらんかったし、どうしても不安になってしまう。
『2年の教室ってここなんや、めっちゃ遠いやん』
「けど2組の方がちょっとだけ近いね」
「じゃ!ばいばい」
手を振りながら自分で別れを切り出した。
このHRが終われば今日も無事帰宅できそう。
今日は、教室では孤立してしまっていたけど、休み時間はちょくちょく恭平が1組に来てくれた。
度々来ないこともあって初日だから移動教室もそんなないはずやのにな〜と2組に行ったら、教室で友達と話している恭平がいた。


なんだ、恭平は1人じゃないのか。
そう思って落胆する自分がいる。


あの2人…確か、前話してた道枝くんと長尾くん?
もしあの2人と同じクラスになったら、友達になりたいなと思っていたけど、それは叶わなかったな。
キーンコーンカーンコーン…
HRを知らせるチャイムが鳴ったが、変わらず続く担任の話。
あ、今年の担任は話長い系の人か…
とことんついてないな。


今日はどの部活もない。
早く終わらないかな。
3分オーバーでHRが終わった。
今日は俺1人で帰るのかな〜
恭平、あの2人と帰るだろうし。
そう思いつつ、ちょっと期待して教室を出て廊下を見渡す。
2組を覗いたけどもう恭平の姿はなかった。


ああ、もう帰ったのか。


昇降口まで降りて靴を履き替える。
靴を履き顔を上げたら…
無言で立って笑ってる恭平が靴箱の横から出てきた。
「え?恭平?」
「帰ったんじゃないの?」
『りゅちぇと帰りたかったから待ってた!』
「え〜?嬉しい、ありがと…///」
普段、あまり甘えたりすることが出来ない俺にしては、かなり頑張って気持ちを伝えた方だ。
こんな感じで恭平に好きだと伝えられたらいいのに…
今日も他愛のない話をしながら学校を去る。


しかし帰り際、こんなことを言われた。
『明日も話したいことあるから一緒に帰ろーや』
それで無事帰宅後、就寝前の今に至る。
が、なんで帰り際そんなことを言われたのか未だ考え中。
「話したいことがある」ってちょっと思わせぶりじゃない?とか
ただ単に俺と話したいと思ってもらえてるだけかもしれないし?とか
ずっと考えてるけど、考えはまとまらず。
とにかく!明日も恭平と帰れることが保証されてるなんて、ありがたいなと思いながら眠りについた。
高橋side
『明日も話したいことあるから一緒に帰ろーや』
昨日の帰る時、意を決してそう言った。
だからもう今日は気が気じゃなかった。
みっちーや謙杜にも『なんかあった?』って言われるほど。
それは「ちょっと眠い」で誤魔化したけど。
俺、今日こそはりゅちぇに告白しようと思ってる。
有言実行タイプだから、先に「話したいことある」って言っておいたら後がなくなって告白できるんやないかっていう俺の読み的な?
でもりゅちぇ、勘がいいからなんか気づかれてるのかもしれへんけど。
あ、もうちょっとで鳴る。3…2…1…
キーンコーンカーンコーン…
よし!
俺の新しい担任はHR短めなので、チャイムと同時に教室を出られるのがありがたい。
特に今日は。
1組を覗いてみたが、先生がまだ話していた。
えぇ…せっかく俺らはよ終わったのに…
仕方なく教室に戻る。
人はまあまあいたけど、もうちょっとしたらみんなでてくやろ。
とりあえず席に座った。
ねむっ
ほんまにねむくなってきた。
よし、待ってる間ねよー
『…へー?きょーへー?ねえ!』
体を揺さぶられる感じがして目が覚める。
「りゅちぇ?」
気づいたら教室に人はいなくて、俺と流星しかいなかった。
『もお…探してようやく見つけたと思ったら教室で寝てるんやもん』
『自由人すぎやろ』
「え?探したん?俺を?」
『昨日昇降口にいたから今日もそうなんやと思って、教室素通りしちゃってさ』
『今度は正門におるんかと思って正門にも行ったのにおらんかったし』
「あ…ごめん」
「でもそれでも探してくれてありがと…///」
『どーいたしまして…?///』
りゅちぇが目を伏せがちにしながら答える。
いつもツンなのに、今日は素直か?
あ〜かわいい…
「『………』」
やばい、今かな、告白今かな?
なんて言えばいいんやっけ?
りゅちぇ…好き
シーンとした教室に微かに俺の声が聞こえる。
声を発してから気づいた。
あ…いくら小声とは言え絶対聞こえてる…
『え?』
『…もう一回言って?』
え?聞こえてないの?
躊躇いがちにもう一度言う。
意を決して。
「えっその…りゅちぇのこと…好き…///」
『……』


沈黙が流れる。
やっぱあかんかった…?
どうしよ…
『ふふふ』
「…?」
『聞こえてるって!』
「え?どういうこと?」
『小声で言ってたのも気づいてたで?』
なっ……///」
絶対顔赤い。
恥ずかしすぎる。
なんでそんな意地悪するん…」
『………俺もっ、恭平が好きだから?…//』
「えっ?ほんまに?」
『うん…』
「じゃあ、俺と付き合ってくれますか?」
『…うん…』
大西side
まさかの恭平に告白された。
話したかったことってこれ?


OKしちゃった。
現実味がない…
「嬉しい…ずっと俺だけが恭平に片想いしてるんやと思ってた…」
『俺も…。俺ら両思いやったんやね?』
そっか恭平も俺に片想いしてたのか…
これって両片思いってやつ?
「じゃ、記念に写真撮ろっ」
『え?写真?キスじゃなくて?』
「え…キス…///」
「キスもしたいけど、キスは後で」
『…はいじゃあこっち向いて』
カシャッ
不意に写真を撮られてびっくりする。
キスの一言に動揺してる、照れた顔の俺が恭平のスマホにおさめられたのか。
ずるい。
恭平のスマホにはツーショットがあって。


そりゃ後で写真は送ってもらうけど。
俺も撮りたい。
「恭平、キスはいつするの〜?笑」
『えっ?』
…カシャッ
俺も恭平とのツーショットを撮った。
俺の声に反応してこっちを向いた恭平がバッチリ捉えられた。
ちょっとびっくりしてる顔?
恭平のたまに出るかわいいも好きだな。
「ふふ、ねえ、きょーへっ⁉︎…
ちゅっ
『キスいつするのって聞かれたから…今からする♡』
そう言って、また唇を近づけてくる恭平。
ちゅぅ♡
正面で向き合う形で、唇と唇が当たる。
「…やっぱずるっ」
『え?』
「や、なんでもな〜い」
「ほら、記念写真も記念キスもしたんだし、かえr
キーンコーンカーンコーン…
「ひぃ!」
『あははは』
2人しかいない教室に響いたチャイムに驚く俺と、笑う恭平。
『うん、帰ろ』
「んふ、ちょっとはクラス替えしても良かったかも」
『クラス違っても、いっぱいラブラブしよな?』

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