第2話

# 002 西畑×道枝|かまってよ
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2024/05/02 11:42
道枝side
最近、彼氏の大吾くんが構ってくれない。
俺は割とかまってちゃん。
対して大吾くんは砂糖。
同棲もし始め早半年。
こんなに構ってもらえないのは初めてで戸惑うばかり。
俺、なんか悪いことした?
「ねね、大吾くんっ!」
「一緒に寝よっ!」
『ん〜まだ映画終わりそうにないから先寝とってええで〜』
え〜…
大吾くんと一緒に寝たいのに。
口調は優しいものの、こちらを見ずにスマホで映画を見ている。
やっぱりいつもと違う。
仕方なく1人でダブルベットに入る。
なかなか眠れず、今日のことを思い出していた。
大「流星のほっぺ、ふにふにもちもち〜」
流「ちょっ、やめて」
流星くんのほっぺを人差し指でツンツンしたり、摘んだりする大吾くん。
それに対して両手で大吾くんの肩を押す流星くん。
いいなー俺も大吾くんにほっぺふにふにされたい。
流星くんずるいな。
大吾くん、なんで俺じゃないの?
そう思いながらじっと2人を見つめていると流星くんが視線に気付いたのか、こちらをチラッと見て俺と目が合った。
だけど、すぐ目線を逸らされる。
流星くん、俺と大吾くんが付き合ってるの知ってるのに…
俺が大吾くんのこと好きなの知ってるのに…
知っててそんなことするの??
大吾くんも、俺より流星くんなの?
俺のことも構ってよ…
「ん…」
あ、いつの間にか寝てたんだ。
右隣には僕の大好きな人。
ちゃんと隣で寝てくれた安心感からか、いつもに増して構って欲しくなった…
まずは起こさないと。
ぎゅっ
左腕を大吾くんの胸あたりに乗せて、寝たまま抱きしめた。
その状態のまま数秒が経った。
一向に大吾くんが起きる気配はない。
なら…
ちゅっ
大吾くんのほっぺに軽くちゅーをした。
これは前に俺も大吾くんにやられたことがある。
けど俺その時完全に寝てたらしく、起きていたかったと後悔している。
でももし大吾くんが今起きてるんやとしたらこれで分かると思う。
だって、ちゅーされて反応しない人なんかおらんやん。
ちゅっ…ちゅー
反応がないので2回続けてした。
2回目は長めに。
大吾くんの表情はというと…?
あれ…?ちょっと笑ってない?
目を閉じたまま笑ってる。
あ、大吾くん、狸寝入りか!
でも笑ってくれてるなら…もう一回。
「あ…」
もう一回ちゅーしようと思ったら大吾くんが反対側を向いてしまった。
どうしようかと思ったが、すぐ別の作戦を思いついた。
すっと大吾くんの脇腹に指を持ってきて…
こちょこちょ
『あははは、ふはっみっち、くすぐったいくすぐったい!」
こちょこちょ作戦、秒で上手くいった…笑
味を占めた俺はもっとくすぐった。
こちょこちょ
「大吾くん、起きてましたよね?」
『あはっみっちーちょっ、くすぐるんやめてや』
「で、いつから起きてたんですか?」
くすぐるのをやめて、大吾くんの話を聞く。
もうちょっと可愛い大吾くんを見てたかったけど。
『えっと…多分みっちーが起きる前から』
『眠いなって思って目閉じてたけど』
「え?//」
『だから〜みっちーがぎゅってしてたのも、ちゅーしてたのもばっちり分かってたで♡』
「…♡///っでも大吾くん、俺のことなんで構ってくれへんかったん…?」
久しぶりに感じる大吾くんの甘々な様子に照れたものの、ちょっとムッとした表情で尋ねる。
『頑張って俺に構ってもらおうとしてるみっちーが可愛くって…』
『ごめんな?』
大吾くんが申し訳なさそうに言うので返事をする代わりに、体を起こした大吾くんに抱きついた。
嫌われたのかと思って不安だった気持ちが徐々に安堵と嬉しさに変わっていく。
『ふふ、かわえっ♡』
『けどみっちーも悪いんやからおあいこやな』
「え?」
俺も悪い?
なんかあかんかったんかな?
『気づかん?』
『この前、流星の髪触りながら可愛いって言ってたのは誰ですか?』
「…あ…俺です…」
前に流星くんの髪触って、甘えてたのを思い出した。
そっか、俺の行動が原因だったのか。
「ごめんなさい…」
素直に謝る。
俺がなんか悪いことしたのかなとは少し思ってたけど、まさか本当にそうだったなんて。
『じゃあお詫びにちゅーしてくれたらええで♡』
「え//?…さっきもしたやんか…///」
なにを言い出すのかと思ったらキスして欲しいだって。
俺からちゃんとキスしたこと、多分ない。
『え〜、キスはすればするだけええんやから』
「んも〜///分かりましたからぁ〜」
ちゅっ
ちゃんと唇にした。
心臓バクバク…
唇と唇が離れて数秒後、また大吾くんの顔が近くにあった。
唇に温かさを感じる。
え…?
なにがあったのかわからないまま、ずっと時間が過ぎる。
「……///」
『ふふ、顔真っ赤やん』
『これからいっぱいかまわさせてな♡』

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